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第四十七話:チンピラになりたい

僕と天宮は互いの位置についた。

天宮は首をパキパキと鳴らしながら余裕な表情を浮かべている。

あ、もう美玲いないし良いか。

僕はつけていたモヒカン型のカツラを取り外す。


「いいの~?髪型元に戻しちゃって。強そうで良かったじゃん」


僕は指貫グローブをキュッと付け直し、少し天宮を見つめる。


「いいんだよ。僕の意思でつけてたわけじゃねぇし」


「どうしたの~?そんなに睨んじゃって、こわ~い」


全くそんな素振りを見せない天宮は可愛子振っている。

悪いな。元々結構目つき悪いんだ。


「えー、では神白塁対天宮禀。試合、開始!!!」


さぁ、戦いの火蓋が切って落とされた。

僕が走り出す構えを取ると、目の前から天宮が消えていた。


「あれ?」


が、突如背後からとてつもない殺気を感じる。


「ガっ!!!!」


首の付け根に衝撃を感じ、痛みを感じる暇もなく吹っ飛ばされる。

吹っ飛ばされた先で僕は天宮を睨む。


「あは、遅すぎ。もう私の勝ちで決定じゃん」


片足を上げながら嗤う天宮。

あ、パンツ見えた。スパッツくらいは履いとけよ。だが、感謝。


「おいおい、僕をナメるなよ?吹っ飛ばされたけど、ぜんぜん大丈夫だぜ?」


「その状態で言われてもね~」


「………」


確かに。

今の僕は壁に逆立ちの状態から腰を思いきり曲げ股の間から天宮を見ていた。

僕は地面に手をつき、ヒョイっと立ち上がる。

適当に服を叩いて汚れを落とす。


「ちょっと油断してただけだし」


「あっそ。でも弱いしね!!」


天宮はまたも僕へ超スピードで突進してくる。

そして、僕の顎の下辺りでほくそ笑み呟いた。


「はい、終了♡」


確かに今の僕では少しスピードに劣る。けど、いつから貴様は僕が本気を出していると錯覚していた?


ドン!!!!


瞬間、天宮の顎は何かに思いきりどつかれる。


「ッガ!!!」


それを認識する暇もなく、腹にとてつもない衝撃も加わる。

先程の僕のように吹っ飛び、なんなら僕よりも強く壁に衝突し、ヒビが入る。


「エ゙ホッ!!…ガハッ!!」


天宮が虚ろな目で僕を睨む。


「な”…何をした……!」


何って…。


「普通に蹴っただけだ」


僕は先程の天宮のマネをして、ほくそ笑む。


「それと…僕はお前みたいに油断するほど馬鹿じゃないし、詰めも甘くない」


ふらふらと立ち上がろうとする天宮の横に一瞬で移動しながら言う。

天宮はそれに驚愕しながら僕の方を向く。

向いたときにはもう遅く、天宮の目には塁がかかと落としをしている姿がスローモーションに写った。


「…っは」


抜けた声で笑う天宮の脳天にかかと落としを食らわせる。


ドガッ!!!!!


天宮は白目をむきながら鼻血もたらし、床に力なく横たわる。


「お前らみたいな自分が強いと思ってる馬鹿は速攻で終わらせようとしてくるからね、油断しまくりだ」


特にこういう「めんどくさいな~」みたいなのが口癖のやつとか。


「………」


写メ撮っとこ。

僕はポケットからスマホを取り出し白目を向いて気絶している天宮の髪の毛を掴み上げ写真を撮る。


「はい、チーズ!」


よーし、これでこいつがなんか言ってきたらこれ出してやろ。

あ?なんか周りの奴らの雰囲気が…。


「何やってんだ?終わったぞー!」


「え?ああ、終了!!」


いやー終わった終わった。

僕が肩を伸ばしていると空蹴が話しかけてくる。


「さっきのなんですか?僕とやり合ったときより早かったですよね?」


「ん?まぁね」


「あのときですら本気じゃなかったってことですか!?」


「いや、あのときはあのときで出せる分の力は出したさ」


「だったらさっきのは……?」


「ふっふっふ…クロックアップした僕は人間を遥かに超えた速度で活動できるのだよ」


僕がニヤリとしながら指をクルクルする。

空蹴は困ったように目をしながら口を開く。


「いや、そういうの大丈夫なんで」


めんどくさこいつ。カブト見てないのかよ。


「そもそも自分の手札を見せるわけねぇだろ。バカか」


           ◇


 さぁ、ここからが問題だ。

残っているのは僕と橘、そして波月。

霊力バケモン二人と霊力ウンコの僕という不釣り合いの状態+奇数人という戦う上では超めんどくせぇ状態にいるのだがこの後がどうなるか期待だな。

確か、最後は2対2のダブルスみたいな事するんだっけ?

でも、こうなるとできないよな。

空蹴は頭を抱えながら考え込んでいる。

そこで、波月が手を挙げる。


「提案なんですけど、これって3人で戦うのってできないんですか?」


「いえ、でもそれだと互いに同盟を組んで一人を倒そうとする人もいるのでちょっと……」


「でも、できないってわけじゃないんですよね?」


「まぁそうですけど…」


すると、波月は不敵な笑みを浮かべる。


「だったら、橘くんと神白くんとで組んでもいいので、3人でやりましょう」


その言葉に皆が驚く。

観戦席の方からも「おいおい、馬鹿かあいつ…」「2対1で勝てるわけ無いだろw」と聞こえる。

橘は黙ったままだ。


「いや、でもそれだと流石に厳しいんじゃない?」


さすがの僕も2対1で相手をボコボコにするほど外道じゃないしな。

そう言うと波月はため息を付いて僕に指を指す。


「はぁ…言わなきゃわかりませんか?悪いけど、君には興味がないんですよ。俺が戦いたいのは橘くんであって、君ではありません。先ほどの試合を見ていましたが、君は俺の相手にはならなそうだし。正直、足手まといになりそうなくらいですよ。だから、橘くんと組ませて俺が速攻であんたを倒し、その後、橘くんと一対一で戦わせてもらう。そういうわけです」


波月は僕に説明する。


「てめぇ…僕のことナメてんのか?お前みたいなチビに誰が負けるかってんだよ…!」


「あなたもそこまで大きくはないでしょう?」


「おい空蹴!こいつの言ってる案で行こう」


すると意外そうに空蹴が「えぇ!?良いんですか?」と驚く。

僕はギヒㇶと嗤いこう言った。


「だが、組むのは波月と橘だ。僕は一人で二人倒してやるぜ」


「あぁ、そっちのほうが良さそうですね。だめだな~俺は。雑魚狩りには慣れてないからこういう場合での正しい対処法を知らないんだよな~」


僕は髪を逆立たせ、顔に血管を浮かべる。


「てめぇ…今僕のことをなんつった?」


「聞こえませんでした?雑魚って言ったんですよ」


「ガキが…ナメてると殺すぞ!」


「殺せたらね♪」


僕は歪んだ笑顔を浮かべながら拳を強く握り込む。

それを見た空蹴が割って入り、フィールドへ立たせる。


「はいはーい、さっさと終わらせてくださいねー。そろそろ僕の定時なんでねー」


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