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第四十六話:ウィザードも好きだけど、見た目はゼロワンが一番好きかも

 その後も順調に戦闘は続いた。

次は美玲の番だ。

美玲は手のひらに拳を当てて、気合付けている。

対戦相手の男はいやらしい目つきで、蛇のような見た目をしていた。


「開始!!!」


美玲と男は駆ける。

美玲は男へ強烈な蹴りを食らわせる。

男はその攻撃を左腕で受け止めるが、その威力故にふっとばされる。

だが、ここまで登ってきた男。さすがにそんなすぐ終わらせてくれるはずがない。

軽やかに着地し、その勢いを殺すように壁に足をつけ思いきり美玲に向かって飛ぶ。

美玲はその攻撃を間一髪で反り返り避ける。

マトリックスかよ。


「チッ!!!」


男は舌打ちし、またも壁に着地する。重力仕事しろ。

だが、その速度に味をしめたのか足に霊力を集中させ、部屋中を駆け抜ける。

それはあのときの空蹴を彷彿とさせた。

今更だが結構かっこいいな。僕もやってみよ。

美玲はその動きに対応せず、ジットしながら静かに見ている。


「そこだ!!!!」


美玲は腕を横に広げるとジャストな位置で男の腹に直撃する。

美玲は結構動体視力が良い。というか全体的に性能が良い。

僕ほどではないが基礎身体能力がずば抜けており、運動部に入ればエースとしてチームを全国に持っていけそうなほどだ。

それに身体能力の強化もそこそこだ。

他の試合を見ていて分かるが、美玲は結構霊力の操作が上手い。

カゲロウによれば常に異能を発動させている状態らしいから、それ関係で上手いのかな。

それか才能?死ねっ!

身体能力S+身体能力強化で、僕ほどではないが凄まじいパワーとスピードを出せている。

僕ほどではないが。


「とう!!やぁ!!たあ!!」


あの動き…さっき美玲の前に戦ってた格闘家の動きの真似か?

パッと見再現できているが、無駄な動きが多すぎる。

だが、それでも腹に攻撃がクリティカルヒットした男にとっては避けたり受けたりするのはキツイだろう。

男は顔や腹、体の様々な部位に攻撃を食らう。

もうボロボロだ。


「くっ……クソォー!!!」


やけになったか…。男は指の先を美玲に走らせる。


(ん?いや、待て)


よく見ると男の指の先の爪が伸び、第二関節あたりから紫色に変色している。

ちょっとまずいかもな…。

美玲は気づいていないのか、受けようとしている。


「美玲!!避けろ!!!」


僕の声がギリギリで美玲の耳に届き、美玲は受けるのではなく、避けようとする。

避けることはできた。

しかし、微かに男の爪が美玲にかすり、美玲の頬に傷がついた。


「くッ!!……何すんじゃぁぁ!!!!!」


美玲は男の顎に強烈なパンチを加える。良いアッパーだ。

それを食らった男は「ぎっ!!」と声を出し、白目を向いてバタリと倒れる。


「はぁはぁ……」


その様子を見て、空蹴は「終了!!」と声を出す。

そして、足早に美玲に近づき声を駆ける。


「だ、大丈夫ですか!?」


その様子を見て、美玲は腰に手を当てる。


「ホントだよね~乙女の顔に傷つけるとかあり得ないって」


「いや、そういうことじゃなくて」


「え?」


アホっぽい声を出す美玲。

空蹴は男の変色した指の先を見て、メモ帳を取り出し、パラパラと何枚かページをめくる。


「こいつは……本当に大丈夫なんですか?体に違和感とか、だるい感じはしませんか?」


「え?うーん特にないけど…あれ?……なんか…気持ち悪い……」


顔色を悪くしてフラフラとする美玲の肩を抱え、空蹴は「早く担架を!!!」と声をあげる。

何があったんだ?

すると、何人かの隊員が部屋に担架を抱え入ってくる。

そして、美玲を乗せ部屋の外に出ていく。

戻ってきた空蹴に僕は近づく。


「何があった?」


空蹴は頭を抱えながら口を開く。


「あの男、負けそうになったからって異能を使いました」


やはりそうか…。


「異能は?」


「……毒牙。シンプルな異能です。指の先から毒を排出しヘビのように刺し、体内に注入するというね」


「それで…美玲は大丈夫なのか?」


「多分、大丈夫だと思います。翠がいるので大抵の毒は解毒できます。それにあいつの毒は霊力で構築されたものなので普通の毒より弱いはずです。」


「そっか、じゃあいいんだけど。でも、そうなると一人空きができるな…」


「え?続けるんですか?」


何いってんだこいつ。

まだ僕の目標が達成されてねぇだろ。


「だって、友達が異能に侵され倒れたんですよ?心配になって『僕は心配だからこの戦いを降りる』とか言うのかなとか思ったんですけど…」


「空きができたら最後に残ったやつとも普通に戦えるな。良かった良かった」


今のところ、主人公組は圧勝で生き残っている。


「えぇ…じゃ、じゃあ続けましょうか…」


「よし!やったるでー!!」


「で、では、次の試合。神白塁 対 天宮禀!!」


お、あの銀髪少女か。

僕的にはあの二人に比べたらそうでもないから、ボコボコにするくらいでいいかな。

大体ランクAくらい。


「あは、やっとちょうど良さそうな対戦相手が来たか~。いやー退屈してたからありがたいね~」


ベンチの上で体育座りをしていた天宮とかいう女はぴょんと椅子から降りる。

大きな乳房がブルンと揺れる。

僕の眼はその乳に釘付けになる。


(でっけ)


おっと、いけないいけない。


「おいおい、さっさと始めようぜ。おらぁ、ウズウズしちまってもう我慢できねぇんだよぉ!!」


美玲に強要されたチンピラの人格もだいぶ慣れてきた。

最初に見せつけた実力とこの性格で大抵の雑魚は萎縮することが分かった。でも、雑魚限定だ。


「あは、弱い犬ほどよく吠えるって言うけど…本当だったんだねぇ」


ニヤニヤとしながら上目遣いで僕を見る天宮。

僕は顔の血管を浮き上がらせる。


「てめぇ…俺様のことをナメてんのか?」


「えーこわーい。もしかして私わからせられちゃう?まぁまぁ、一旦落ち着こうよ、ね?」


拳を強く握り込む僕。


「はいはい、やり合うなら試合でねー」


僕と天宮をフィールドへ立たせる空蹴。

さぁ、ショータイムだ。

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