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油性使うなよバカが!!

 霊力の測定試験も終わり、最終フェーズへと移行された。フェーズってかっけぇよな。

最終フェーズは、希望した参加者同士で一対一、または二対二のバトルをするらしい。

すんげぇ面白そう。


「それでは、参加したい人は残って個々に名前を書いてください」


空蹴が机の上のぶっ壊れた陶器をビニール袋の中に入れ、他の係員の人に渡し、空いた机の上に紙を置く。

そこで一般モブが「参加しない人はどうするんですか?」と聞く。

その質問に対して空蹴は後方の壁についている窓を指差す。


「見たければああいうところから観戦もできますし、普通に帰ってもらっても結構です」


それを聞いた連中は「へーそうなんだ」とか言って帰っていったり、観戦組に回るものも居た。

すると千弘が近づいてくる。


「塁くんは出るの?」


「うん、出るよ」


そりゃそうだろ。ムカつくやつを殴っても法律が適応されないんだぜ。

さっきので帰るやつや見るやつは部屋を出ていったから残ってるのは多数の一般ピーポーと霊力検査で目立ってた奴らだけだ。


「じゃあ、頑張ってね!」


手を振りながら部屋を出ていく千弘に僕は手を振る。

可愛いなぁ。


「さて、ぶちかますか」


足元のカゲロウに向かって言うとカゲロウは「ですね」と返す。

するとそれを見た空蹴が。


「あ、言うの忘れてましたが、異能の仕様は禁止です。あくまでこの試験は霊力での身体能力の強化を見るので個々の異能は入隊してからです」


ほーん、まぁ僕異能ないし関係ないだろ。


「塁くんはカゲロウ君無しで」


「ファッ!?」


僕だけでなくカゲロウも「え?」と驚いている。


「いやいや、カゲロウは異能じゃないし!そもそも僕異能ないんだし関係ないじゃん!」


「式神とかは異能扱いなんですよ!」


何だそりゃ、カゲロウは相棒であり友達だから式神じゃねぇわボケ!

僕がプンスカしてると、後ろから僕の肩をぽんぽんと叩かれる。


「まぁまぁ塁くん、ルールには従おうぜ?」


美玲だ。


「あれ?お前も参加すんの?」


「うん、面白そうだし」


こいつと同じ意見になるとかなんか嫌だな。

すると美玲の後ろから佐倉先輩も出てきた。


「カゲロウさんは私が預かっておこうか?」


うーん、まぁでも仕方ないか。あいつらも霊力だけだからな。


「すんません、じゃお願いします」


「はい、承ました」


影からカゲロウをぬるっと出して先輩に預ける。

先輩は「はーい、こっち来ましょうね~」とカゲロウを撫でてる。そこ変われ。

けど、なんだかムスッとしてる。


「じゃあとりあえず、ここじゃ狭いので別室に移りましょう」


空蹴は名簿を手にとって戦闘組を別室に移した。

移されたのはめちゃくちゃデカくてめちゃくちゃ白い部屋。

相も変わらず殺風景な場所だが先程とはちょっと違い、全体的に光っているように見える。


「では、一人一つづつ控室が用意されるのでそこで、まぁ着たければで良いっすけど、戦闘服に着替えてください」


「着たければで良いの?」


「ぶっちゃけこっちもなんで着なくちゃいけないのかよくわかんないんですよね。上も着なくてもいいって言ってたし」


適当だな。

控室に移るとさっきよりはまともな部屋だった。

テーブルと椅子、そしてテーブルの上にはクッキーと水が置かれていて、よくドッキリ番組とかで見るような芸能人の控室って感じだ。

壁には一着の戦闘服が掛けられている。

うわなにこれ、ダサ。

ピッチピチやん。エヴァか。

これは着なくてもいいな。

僕は戦いやすさよりもかっこよさを重視するからな。

特にすることもないのでテーブルの上のクッキーを貪り食う。

どうせならお茶が良かったな。


「うめぇなこれ。無料とかサイコーじゃん!」


僕がバリボリ食ってると僕のドアがバーンと開けられる。


「HEY!塁君!良いの持ってきたぜ!」


入ってきたのは美玲。

その片手には少し気になるものが握られていた。


「なんこれ」


「ふっふっふ…これから戦闘が始まるんだぜ?ナメられてちゃあイカンだろう?」


                ◇


 「えーでは、そろそろ始めるんですけど……あれ、塁くんと美玲さんが来てないですね」


「ういーっす。すんません遅れました」


「ああ、やっと来t……」


その時、空蹴は顔を歪ませる。

空蹴の目に映ったのは、もはや常軌を逸した二人の姿だった。

美玲は、肩から腕にかけて無数の鋭いトゲが突き出したレザージャケットを羽織り、膝には大きな金属製のプロテクターを装着している。足元はごつごつとしたブーツで、頭には鮮やかなピンク色のモヒカンが逆立ち、顔には黒いペイントが施されていた。

そして塁。彼は全身を切り裂かれたようなダメージジーンズと、鎖だらけのベストを身につけ、腕にはスパイク付きのリストバンド、手にはかっこいい本革の指貫グローブを付けている。髪はメタリックな銀色に染められ、中央が高く逆立ったモヒカンヘア。彼の顔の半分は黒いペイントで覆われ、その上には黒いサングラスが光っている。まるで、荒廃した未来の世界から飛び出してきたかのような、世紀末ファッションだった。


「ちょっと塁くん!そんなんじゃナメられるよ!」


「ああ、いけね」


コソコソと話し合っている二人。

空蹴は唖然としていた。


「う”う”ん”!……ヒャッハー!!!さぁて!雑魚どもを蹴散らして俺様が最強だってことを証明してやるぜ!!!!」


「そうですねぇ!!兄貴ぃ!!!」


僕の言葉に美玲は子分役で応じる。

周りも唖然としていた。


「えっと…その、この短時間で何があったんですか?」


「いやぁナメられちゃいけないなと思って」


「だとしてもそれはないでしょ!?僕の見た目も大概ですけど、その方向性に行くのは僕でもわかりますよ!?なんですかその服!?それに顔のペイント?タトゥー?いつ入れた!?」


「あーこれ水性ペンだから大丈夫。水で流せば落ちるからさ」


美玲がペンを振っている。

すると、美玲は「あ」と声を出す。


「ごめん塁くん。これ油性だ」


「は?」


僕はポケットからウェットティッシュを取り出し、拭くがウェットティッシュには何も着いていない。

僕はその場でポカーンと間抜けな顔になる。


「えーでは、始めましょうか。参加人数は20人ですので、最終戦以外は全部一対一で行っていきます」


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