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蜘蛛男

 館のすべての部屋を散策したけれど、どこにも女子生徒はいなかった。

カゲロウのモノノケ探知は反応してるらしいけど詳しい位置はわからない。ホンマに使えん。


「おっし、これで蜘蛛も最後かな」


カゲロウがモノノケの気配を探している最中、僕は残りの蜘蛛を蹴散らしていた。本当にいろいろなところに出てくるんだよなこいつら。これはボスが蜘蛛のパティーンか。


「カゲロウ、まだ見つからない?」


「今わかりました。一階です」


ちなみに今いるのは二階。この館無駄にデカいから上り下り大変なんだよな。

そういやここ廃館じゃん。


「どらぁ!」


そうだったそうだったここ誰も住んでないんだしぶっ壊してもいいのか。

僕は床を殴って穴を開け一階に降りる。


「さぁてカゲロウどっちだ?」


「一階の書斎に残り香がします」


あれ、一階の書斎にはなんもなかったような気がするんだけど…。


「ただし、場所が少々特殊でして…」


「特殊って?」


「おそらく、書斎に地下室の扉があるのかと」


地下室!?

僕の大好きな奴じゃないですか。いや全世界の男子が皆、シェルターや地下室などに憧れるものだ。

みんなもするよね。地下室にゲーム機いっぱいあってそこでゲームしたりアニメ見たりみたいな妄想。

僕はしてた。なんかこう本棚の本を押し込むと本棚が動き出して扉になる的な感じのに憧れる。

僕も昔、地下室が欲しくて学校の砂場に5mくらいの大穴を開けたこともあったっけ。

教師が昼休み中その穴を埋めながら「誰だよこんな穴開けた奴」って言ってたなー。すんません。

そしてウッキウキで書斎に入る。


「で、地下室ってどこ?」


僕は適当に本棚を押したり傾けたりする。しかし何も起こらない。


「ここですね」


カゲロウが大きめの本棚をずらす。そうすると本棚の下に大きな穴があった。


「気を付けてください。奥に何体かいます」


「………」


「どうされました?」


「いや、何でもない」


思ってたんと違う。こんな原始的な地下室ってある?というかただの穴じゃんこれ。手動だとしてもせめて動かしたら扉があるとかにしてほしい。

下に降りてみると、中は真っ暗だった。


「暗いなー。カゲロウちょっと失礼」


そこらへんの壁をえぐって棒状にする。

とその瞬間、闇の中から風を切る音がし、僕は咄嗟に上半身を反らす。

そしたら壁に何かが刺さった音がした。


「ッ!?」


木の棒を松明にして、炎をつけるとその光が反射し白く光る細い針があった。

一体この針が刺さったらどうなるんだろう。毒でも塗ってるのだろうか。

そしてこの針は偶然飛んできたものではないだろう。確かな殺意がある。

この針は誰が飛ばしたのか。

僕は暗闇の向こうに視線を向け、目を細める。


「誰だ」


僕がそう尋ねると、暗闇の中からカツカツと足音がして何者かが出てきた。

出てきたものには見覚えがあった。女子生徒を家に連れ込んだ黒いパーカーの男だ。

パーカーの男はフードを深く被っていて暗いから近くでも顔が良く見えない。


「ワタシ…ノ…コガ…ゼンブヤラレ…タ」


低い声にガラスをひっかくような音が混じっている。

明らかに人間の声ではない。

こいつは…。

パーカーの男がフードをとる。

そうするとそこにあったのは蜘蛛の顔。そう、この男は蜘蛛のモノノケだ。

カチカチと牙を鳴らしながら両手で服をつかむ。よく見ると手も蜘蛛かなんかの虫のようなツメもついている。その鋭いツメで服を引き裂くき全身が露になる。服の上からだと全く分からなかったが体も蜘蛛のように毛が生えている。腕だと思っていた者は二本の蜘蛛の足。おそらく足も二本だろう。


「ワガ…コ…タチヨ…ユケ…!」


蜘蛛男が僕に指をさすと蜘蛛男の後ろから、大量の蜘蛛が出てくる。

そして一斉に僕に向かって走ってくる。

目が暗闇に慣れてきて蜘蛛男の後ろ、地下室の奥も少し見えるようになった。

奥にあったのはすごい量の蜘蛛の巣。

そしてその中心にいるのは縛り付けられた女子生徒。

仕方ない。


「カゲロウ、『跋虎ばっこ』」

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