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異反者  作者: 二代目とくとくかい
第一部:慚愧服膺篇
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第三話:すごく痛かった

なぜか僕は、さっきまで助け出したはずの野蛮……もとい、女子生徒にぶん殴られて3〜4m吹っ飛ばされた。

殴られた右頬からはシュウシュウと白い煙が出て、普通に殴られただけなのに「1000度の鉄球を当てられた」かのような熱さが残っている。

いや、当てられたことないけど。


「クッソ痛ぇぇ!!」


僕が地面に手をついて悶絶していると、氷室さんが驚愕の声を上げた。


「嘘…異能……!?」


「んな? そういや、どこだここ」


ベンチから跳ね起きた、僕を殴った野蛮女はヨダレを垂らしながら辺りを見渡す。


「あ、あなた……異能が使えるの……!?」


「んな? い、異能? 伊能忠敬?」


「なんかさっき聞いたことのあるデジャヴな返答ね……」


「っていうか、ここどこ? それと、なんだお前! 今、私を食い殺そうとしたな!」


野蛮女はベンチの上に立ち上がり、僕に指を突きつける。


「ぐごごぉぉ! ぐげぇ!!」


「おら! 観念しろ!」


野蛮女は僕の首に思い切りスリーパーホールドをかけてきた。


「ちょ、ちょっとストップストップ!」


それを制する氷室さん。

閑話休題。

と、ついでに先程起ったことを簡略的に説明する。


「なるほどなるほど。つまりは、その化物(累)が私を助けてくれたと?」


「「そういうこと」」


「なるほどねぇ……ま! ご苦労さん!」


野蛮女は僕にグッドサインを立てた。


「ぐごごぉぉ! ぐげぇ!」


僕は野蛮女の首にスリーパーホールドをかけ返した。

閑話休題2。


「それで、あなたさっき異能を使ってたわよね? あなた、異能力者なの?」


氷室さんの問いに、野蛮女は「異能?」と首を傾げる。


「異能? ってのはよく分かんないんだけどさ。とりあえず、お二人の名前を教えていただけない?」


「ああ、そうね。私、氷室鏡花。こっちは……たしか累くんだったっけ?」


「そっすね。神白累です。趣味は筋トレとラノベですが、決して不審者ではないです」


「格好が不審者そのものだけどね」


「うっ……」


「? まぁいいわ。で、あなたの名前は?」


氷室さんは僕の異形姿をスルーして野蛮女に向き直る。


「フッ、私は朝倉美玲(あさくら みれい)、一年生さ」


「工藤〇一、探偵さ」みたいな口調で美玲は言った。


「そういや、お二人も蓬野高校の人? 制服同じだし」


「そうね。そういえば、うちの制服着てるわね」


言われてみれば、氷室さんは僕と同じ蓬野高校の制服を着用している。


「なーんだ、二人とも新入生ってわけか。じゃあタメで良いか」


それを確認した僕は速攻調子こいてタメ口に移行する。


「私、二年生よ」


「えぇぇ!?」


まずい! 漫画とかじゃ、先輩にタメ口をきいたら即・島流しにされるって相場が決まっている……!

嫌だ!

火炙りは嫌だ!


「そんなことしないわよ。まぁ、二人が新入生ってことは分かったわ。けど、どうして美玲ちゃんはあんなところにいたの?」


「道に迷ってました」


「二人そろってバカってことね」


失敬な。

僕は不可抗力だと思えば不可抗力に聞こえなくもないぞ!


「ん? でも道に迷ってて、なんであそこに入るわけ?」


美玲が話し出す。


「私、あんまよく覚えてないけど、なんか近所の人が道教えてあげるって言ってあそこに入って……この後はよく分かんない」


なるほど、そこで捕らわれたのか。


「なるほどね。仕方ないっちゃ仕方ないけど、知らない人の家に入る意味が分からないわね」


「お腹空いてたんで……」


そう言って顔を赤くしながら頭をかく美玲。


「だとすると、あなたモノノケが『視えてた』ってこと?」


「モノノケ?」


(※ここらへんの面倒な説明は、読者のためにカット!)


「へー、そんなのいるんだ。……まぁ、多分そうだと思いますよ。最近からなんでか変なのが視えるようになったんで」


「後天的な覚醒かしら……珍しいわね」


そこで、僕は手を挙げた。


「あのー、モノノケっていわば幽霊みたいなもんですよね。それって普通じゃ視えないんですか?」


「そうね。生まれつき霊力が視える基準を満たしていないと、普通は見れないわ。ただ、心霊スポットとかでは時折視えることもあるけれど」


「なんで?」


「そういう場所って、人間も『何かいるかも』って意識するでしょ? モノノケ側も人間を認識している。そうすると、互いが意識し合って『共鳴』が起きるのよ。『認識』っていうのは、モノノケにとって存在を確かなものにする大きな意味を持つから」


へー、じゃあ心霊スポットの映像とかも、あながち嘘じゃないんだな。


「というか、氷室先輩。先輩は先天的に視える人なんですよね? そういう知識って詳しくないんですか? 聞いてる感じ、触り程度というか……」


「私含め、大抵の人が詳しく知らないわよ。そもそも視える人自体が少ないし、確実な知識が確立されていないの。累くんは、今までにモノノケが視えるって人に会ったことある?」


僕はしばらく考え、記憶を遡る。


「ないですね。小学校の頃の奴は100%ホラ吹いてましたし」


「そういえば、さっき言ってた異能って?」


美玲が、僕も忘れかけていた脱線した話を戻した。


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