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異反者  作者: 二代目とくとくかい
第一部:慚愧服膺篇
28/40

第二十八話:いけますね


「元人間?吸血鬼とかって、人間の創造から生まれるから人間から吸血鬼に成るなんて出来な――」


そこで僕は先程アルヴェールさんが言っていたことを思い出す。


「あ、そっか。吸血鬼って人間を眷属として同種にできるんだっけ」


「その通り。吸血鬼は自身の血を相手の血に混ぜることで相手を吸血鬼にする。私の場合は吸血鬼自体に血を混ぜてもらったのではなく、吸血鬼の血を取り込んだから吸血鬼に成ったのだ。半分吸血鬼の理由はその時、吸血鬼に成るために必要な量がなかったからさ。意外と単純だろう?」


アルヴェールさんは優雅にいたずらっぽく笑った。

僕はその表情を見て、ショタも案外イケるかもなと思った。


「まぁそのせいで、体外での血液操作は出来ないし、霧化なんかも出来ないがね。っと、少し話しすぎてしまったかな」


アルヴェールさんは自嘲気味に話していると後ろの空蹴を見て、時計を見る。


「付き合わせてしまった詫びだ。私が試験会場まで送ろう」


「え、いやそこまでして貰わなくても……」


「大丈夫さ。私がやりたいんだ。少し君に興味が湧いてきた。この後の試験も少し拝見させてもらってもいいかな?」


「まぁ別に良いですけど…」


「ありがとう。じゃあ少し、私に近づいてもらっていいかな?」


アルヴェールさんは両手を広げ、僕たちに言う。

その仕草の意味が僕達はよく分からなかったが、取り敢えずアルヴェールさんに近づく。

アルヴェールさんは近づいて来た僕達に左手をかざすと右手を何もない空間に伸ばす。


「何を――」


僕がそう問おうとした瞬間、アルヴェールさんの右手が小さな丸いゲートのようなものに飲み込まれる。


「ッ!!」


そうすると、気がついた頃には僕たちは見覚えのない林の前に居た。


「え!?な、え!?」


「瞬間移動!?」


僕と中鳶、そして千弘の三人でその状況に驚いていると、アルヴェールさんがまた少し笑う。


「すまない、また驚かせてしまったかな?」


そりゃ驚くでしょ。


「悪いが異能関係だから詳しく言えないんだ。すまないね」


「あぁ、いえ。大丈夫っすけど……」


「あれ、累くん達先に来てたの?」


後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、振り返るとそこには氷室先輩と美玲、そして見知らぬ人たちが多数一緒に来ていた。


「お、氷室先輩たちも来てたんすね。…えっと、そちらの方々は?」


僕は後ろの数人の人について氷室先輩に尋ねる。


「ああ、この人たちは今日累くんたちの試験を見てくれるクレイルの隊長さん達よ」


氷室先輩が振り向いて言うと、それに気づいた一人が僕に近づいて来る。

な、なんだなんだ?


「はじめましてだな!俺の名は海良木銅修(かいらぎどうしゅう)!第二部隊の隊長を務めさせてもらっている者だ!突然ですまない!君、良い筋肉をしているな!うちの隊に来ないか!?」


うお、声デカ。

その人は僕の両手を掴み、大声で自己紹介をする。

その体はとてつもなくデカく、身長2mはあるんじゃないかってくらいだ。

緋色の逆だった髪に体つきは僕よりもゴツく、とても威圧感がある。

しかし、顔つきや話し方は善人のそれだ。


「ああ、えっと僕は……」


「おっとすまない。俺だけだと不平等だよな。皆!新人への自己紹介をしよう!元気良くな!」


後ろに控えていた数人の人たちに振り返り、海良木さんは大声でそう促した。

その声に応じて、その数人の人達が一列に並んで僕達四人に挨拶を始めた。


「まずは一番手で俺だな!先程言ったが、俺の名は海良木銅修!第二部隊の隊長だ!異能は『五獣神現』といって、体内に宿っている五種の神獣を各部位に憑依させる異能だ!よろしく頼む!」


神獣?

なんだそりゃ、カッコイイな。

二人目は海良木さんほどではないが、長身で、身体が細身の不健康そうな坊主頭の男の人。


「ああ、えっと…星野鋭二…です。第三部隊の隊長です…よろしく……」


三白眼で目付きが悪く、少し機嫌が悪そうな感じだ。

それでいて、少しダルそうな雰囲気を纏っている。

ちょっと怖い。

星野さんは気だるそうに後ろに戻っていき、次の番が来る。


「ッ!?」


次の隊長が出た瞬間、僕は目を見開き、その”少女”に眼が釘付けられる。


「えっと、久我山奏(くがやまかなで)って言います!好きな食べ物はイチゴで、趣味はぬいぐるみ集めです!あ、えっと、第四部隊の隊長でもあります!よろしくお願いします!」


少女…ではない。


ロリである!!!


身長は恐らく128cm、誕生日は4月15といったところか。

金髪でブカブカのスーツを萌え袖のようにしているガチ幼女。

僕の癖そのものだぜグヘヘへ。


「ね、ねぇ……」


「? なんですか?」


気づけば僕はそのロリとの距離を詰め、しゃがんで話しかけていた。


「靴下って何色履いて―――ゲフッ!!」


「はいそこまで」


僕が靴下の色を聞こうとした瞬間、頭頂部にえげつないゲンコツが食らわされる。

氷室鏡花である。


「な、なんですか!僕は今、ロリの靴下の色聞くので手一杯なんですよ!」


「微妙なところに行くな!そもそも、久我山さんはこう見えて28よ」


「えぇッ!?」


奏ちゃんは先輩の言葉に少し恥ずかしそうな表情でもじもじしている。

この身長と見た目で28!?

ロリじゃ…ない……?


ガコン!!


「いけますね」


「久我山ちゃん逃げて」


「え?は、はい」


氷室先輩の一言に奏ちゃんは混乱しながらもテクテクと小さな歩幅で走って行く。

待って!!僕のロリーーーー!!!!!


「何よその眼」


「いや、なんでも……」


鬼だ。

正真正銘の鬼だ。


「はぁ…やっと私の番?」


僕が打ちひしがれていると、どこか聞き覚えのある声がした。

しかし、その声は僕にとって最悪の声だった。


「第一部隊副隊長、氷室氷花。よろしく」


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