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流星のフルダイバー  作者: 佐々牙嵯峨兎
1章 電脳の導き
11/11

11.怒獣見参!

 俺は後ろを見てオーガを倒せたと知って安心する。

 これで鬼頭が元に戻るだろう。

 そう思いながら戻ろうとすると目の前に爆風が起きる。


「ウォッ!?」


 俺は驚きながら爆風と共に来る土煙を払う。

 一体全体なんだ?

 そう思いながら爆風が起きた方を見る、すると土煙が晴れるとそこには狼の怪人が悠々と立っていた。

 その姿は分かるよう程狼の要素があって、肩には鋭利な長刀を抱えている。

 狼の怪人は俺を見ると顎に手を当てながら言う。


「へぇ……こいつか!」


 狼の怪人はそう言うと一気に近づいて長刀を振り下ろす。

 俺は狼の怪人が長刀を振り下ろそうとしたところでハッと我に返り、腕にある装甲でガードする。

 遅れてしまったが、ギリギリでガードして少しだけ安心したい。

 だが狼の怪人は左足で強く蹴り飛ばす。

 俺はガードで必死だったため気付かず、狼の怪人の蹴りをもろに食らって吹き飛ばされてしまう。

 俺は吹き飛ばされた拍子で壁に叩きつけられ、体内にある酸素を吐き出す。


「ガハッ!?」


 俺は背中から強烈な痛みを感じながら地面に倒れ、息を切らしながら顔を上げる。

 狼の怪人は今の俺を見て残念そうにしながら言う。


「オイオイ嘘だろ? ちょっと軽めに蹴っただけでこれって、拍子抜けもいい所だぜ」


 狼の怪人はそう言うと長刀を力強く握って俺に構える。

 俺は何とかするためにドリルチップを装填する。


『ドリル、セット!』


 機械音が流れて腕がドリルになり、それを地面に刺し込んでコンクリートを狼の怪人に向けて飛ばす。

 狼の怪人はコンクリートを飛ばされた事に驚きつつ感心する。


「ウォッ! 中々やるな!」


 狼の怪人はそう言うと長刀でコンクリートをはじき飛ばす。

 俺はそのすきにロケットチップを装填する。


『ロケット、セット!』


 機械音が流れて背中にロケットが付けられると俺は今すぐこの場から立ち去る。

 狼の怪人は俺がこの場から去った事に気づくが、追いかけもせずにどこかに去る。


「とにかく一件落着か?」


 俺は後味の悪い思いもしつつ、野球部のグラウンドに戻る。




 ▲▽▲▽▲▽




 フェンリルは銀河がロケットチップを使って逃げられたが、当の本人はそれを見過ごして路地裏に向かう。

 少し歩くとそこにはシャドウが待っており、シャドウはフェンリルにお辞儀しながら労う。


「お疲れ様です、フェンリル様」

「おう。にしても久々だから少し手加減したが、まさか硬そうな見た目をして弱かったからな~」


 フェンリルは軽々と言いながらシャドウが渡したメモリーのスイッチを入れる。


『ヒューマン!』


 機械音が流れるとそれを首筋に差し込み、人間の姿になって軽く体を動かす。

 シャドウは少し迷いながらフェンリルに質問する。


「あの。失礼かと思いますが、どうして人間を逃したのですか?」


 シャドウの質問にフェンリルは少しだけ首を傾げ、少し考えて言う。


「そうだな……逃したのは面白みが有るんだよ」

「面白ですか……しかし他の方は理解できないと思います」

「マァ、それもそうだけどなぁ……」


 フェンリルは苦々しく言いながら頭を掻く。

 フェンリルとシャドウはいったん分かれてこの場を去る。




 ▲▽▲▽▲▽




 俺は変身を解除して息を切らしながら鬼頭の所に戻る。

 鬼頭は少し息を切らしながらお礼を言う。


「た、助けてくれてありがとう」

「まぁな、困った時はお互い様だ」


 俺は笑みを浮かべながら言う。


「何いい雰囲気でなごんでんだ? アア!」


 すると奥から怒りに満ちた獅々田が手下たちと共にやって来た。

 鬼頭は獅々田を見ると血を抜かれたように青ざめながら呟く。


「し、獅々田さん……」


 鬼頭は恐る恐る獅々田の名前を言う。

 だが当の本人は怒りがマックスになっており、他の奴が鬼頭に指をさして糾弾する。


「鬼頭、獅々田さんに変な力で選手生命を潰そうとしたよな?」

「下手したら他の生徒たちに怪我するどころじゃないんだぞ!」

「ウゥ……確かにそうかもしれない、でも――!」


 鬼頭は自身を糾弾する手下たちに申し訳なさそうしつつ、獅々田がおこなっている事を言おうとする。

 しかしその時に獅々田は大声で鬼頭の言葉を遮って叫ぶ。


「でもじゃねぇんだよ! お前は親父に頼んで退学にする、これは決定事項なんだよ!」

「そ、そんな……」


 鬼頭は獅々田の叫びを聞いて絶望し、俺は獅々田の言っている事に我慢ならずに向かって言う。


「お前、いい加減に――」

「はいはい、そこまでだ」


 俺は獅々田に文句を言おうとする。

 その時に制止する声で遮られ、俺はそれを聞いて足を止めて声がした方に振り向く。

 声の主は少し青いオールバックの先生だ。

 獅々田は邪魔された苛立ちをあらわにしながら叫ぶ。


「いきなり何の用すか? 大上先生!」


 大上と呼ばれた先生は獅々田の態度に呆れながら言う。


「何の用って練習試合が終えてから言おうと思ったけど……獅々田、お前は退部だ」

「ハァ!?」


 獅々田はそれを聞いて驚愕する。

 だが大上先生は驚きで固まる獅々田を通り過ぎ、鬼頭の前に止まって言う。


「次のレギュラーは鬼頭、お前だ」

「え? な、何で僕をレギュラーにするんですか? 僕は野球部の皆だけじゃなく、他行の人達にも迷惑をかけていたのに……」


 鬼頭は自分がおこなっていた事を申し訳なさそうに呟く、だが大上先生はその事を含めて言う。


「マァ、確かにそれは悪い事だ。だけどお前は野球が好きでずっと努力しただろ? だから俺は罪滅ぼしと同時に活躍する場を与えたんだ」

「大上先生……」


 鬼頭はその言葉を聞いて大粒の涙を流しながら呟く。

 他の部員たちも申し訳なさそうに思いながらうつむき、これ見て一件落着と言いたいのに一人だけ認められずに声を荒げて叫ぶ。


「こんなの認めねぇ! 結局こいつは俺を殺そうとしたバケモンだし、退学になる当たり前なんだよ!」


 俺はそれを聞いてあきれてしまう。

 お金を使って楽に勝利するなど都合のいい事をし続けてきたのに何言ってんだ?

 そう思っていると大上先生の後ろから出てきたライトが獅々田に提案する。


「だったら鬼頭さんと勝負したらどうですか?」

「ライト、いつの間に……それより勝負って何でするんだ」


 俺はいつの間にかライトがいた事に驚きつつ、勝負の内容について聞く。

 勝負方法はいたってシンプル。

 それは鬼頭が獅々田の投球を打つだけだ。

 だけどそれは一発限りであり、失敗したら退学+警察に出頭する事だ。

 鬼頭と獅々田を除く俺達は観客席でその様子を見る。

 結果はご覧の通り、鬼頭が獅々田の投球を力強く打ち上げ、見事ホームランを決めたのだった。

 その後は獅々田が絶望した表情でこの場から去り、俺達は帰りながらライトにさっき襲われた狼の怪人について聞く。


「狼の空魔(マルウェア)か……悪いがそれはあまり知らない」

「そうか……」

「それよりほら! これ見てよ」


 俺は少し残念そうに言うと星は満面の笑みでスマホを見せつける。

 俺とライトは何だろうと思いながらスマホを見る、するとライトは驚愕しながら叫ぶ。


「な、何だコレェェ!?」


 ライトが見たのはうちの学園の掲示板であり、そこには俺の戦闘写真付きの広告が載せられていた。

 広告は『怪物の目撃や変な事件は電脳クラブにお任せを!』と書かれており、コメントも驚きに満ちている。

 それをライトは驚きながら星に聞く。


「何だコレは! どうしてこの事を掲示板にあげたんだ!?」

「ふっふっふ、実は……」


 星は笑みを浮かべながら説明する。

 電脳クラブを設立したのは空魔(マルウェア)に関する情報を集めるためだ。

 ライトは否定的だが、俺はとてもいいな。

 そうしたら空魔(マルウェア)に関する情報を集めれるからな。

 そう思いながら寮に帰った。


しばらくして平穏だったが、一人の少女が依頼する……。

次回、「初の依頼」をお楽しみに!

投稿する時間、12月8日19時10分です。

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