ご飯につられて学園へ
初めて投稿します。
よろしくお願いいたしましゅ。
人間社会は生きにくい。
これがロンデとか言うじじいに拾われてから三年間でわかったことだ。
狩って、食って、寝る。こんだけで生きていけるのに比べて、ここは余計なことが多い。
「部屋を出るのに服も着なきゃいけないし……、何年着ても慣れないな、動きづらい……」
服を着終わったカインは両手両足を床につけ、スタートダッシュの姿勢をとる。
ほんとに今すぐ森へ帰りたい。だが、帰らないのはひとえに……。
「おーい、カイン。飯できたぞー」
扉の右側のすぐ階段の先。リビング。
カインを呼んだのは綺麗に整えられた無精ひげのにあう中年の男性。200cmはある身長に鍛え上げられた肉体、短く刈り上げられた金髪に鋭い目つきの料理などとは縁遠い見た目をした男がエプロン姿で呼んでいた。
声が聞こえた瞬間カインが部屋を勢いよく飛び出した。
「おはよう。よし、今日はちゃんと服着てるな」
カインは料理の匂いで目を覚まし、ご飯のために服を着る。
「おう。最近はいつも着てんだろ。もう食っていいか、いいよな」
「いいぞ。今日のは自信作なんだ、うまいか?」
テーブルの上には、目玉焼きにパンだけと自信作と言うには質素なものだった。
「ふはいぞ」
「食いながらしゃべるな」
「まあ、店の方が100倍旨いがな」
「一瞬で食っときながらよくもまあ。料理始めて三年間にしちゃ旨いほうだろ」
「そんなことはどうでもいい。もっと旨い飯作らんと出てくぞ」
そう、この野生児が人間社会で生きているにはひとえに、ご飯がおいしいから。
「討伐対象だったお前を拾ってやった俺に、恩義とか感じないわけ?」
森の中にいた頃、会話どころか意思疎通が出来なかったカインは謎の魔物として恐れられていたのだ。
「お礼に冒険者やってるじゃん。それにこの間のドラゴン狩りで恩は返しきったと思ってる」
「相変わらず冷たいよな」
いい年しをたおじさんがしょんぼりしながらご飯を食べ始める。
「それと、そろそろAランクに上がらせろよ、ドラゴンも倒したんだし」
「ダメだな。いくら力があってもそれを正しく使えなければダメなんだ。いつも言ってるだろ、大いなる力には大いなる責任が伴う。今のお前じゃAランクの権限は与えられないな」
食事にしか興味がないカインがAランクへ上がりたい理由。それは単純にお金のためである
人間社会では何をするにしてもお金がかかる。お金がなければ好きな時に好きなものも食べられない。Aランクの依頼になると金額は一気に跳ね上がり、その分失敗すると冒険者以外に被害が出かねないだ。
だが、人生のほとんどを一人で生きてきたカインには責任などといった価値観は分からない。
「はぁ。どう教えたもんかね…………。そうだ、学校!集団と生活すれば道徳意識も芽生えそうだな」
よくわからないことを言った後、一人でブツブツ呟き始めたロンデを無視し部屋へ戻ろうとした時。
「カイン、お前学校いってこい」
「学校?どこだそれ」
こいつ人が多い所嫌いだしな、正直に言っても絶対行かないだろう。
「料理を学ぶ場所」
「よし行こう。早くしろ行くぞ」
「バカ、今の話じゃねぇよ」
頑張って続き書きます。