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そのに

 次の瞬間、気が付くと見知らぬ部屋にいて、“スキモノ”の世界みたいなチュニック(って言うんだっけ?)みたいなやたらファンタジーな服装をした外国の人たちが「勇者様が降臨された!」と口々に言って狂喜乱舞していました。


「あれぇ……? これ夢かな。さっきまで登校中で……事故にあったような気が、するんだけど? それになんか外国人の言葉がわかるぅ。どうしてだろ? やっぱ夢だから?」


 首を捻りまくる私のことはどうでもいいのか、鎧や剣を渡され、背中を押されて部屋の外へ出ました。

 ここは大きくて太い柱が何本も立っている石造りの神殿みたいな場所でした。そして訳がわからず戸惑っている私などお構いなしに、お付きの人(?)が一人つけられて、『魔王討伐』へ行くよう、いきなり放り出されたのです!

 頭にいっぱい「?????」を付けたまま、お付きの人が御す馬車に乗り、大きな深い森のほとりにある宿屋……いや、この佇まいは旅籠と言うべきか……に到着。今日はここに泊まるらしい。

 神殿らしき場所を出たのがまだ日の高い時間だったけれど、到着した今はもう夕方。すごく遠いところへ連れてこられた感じだけど、馬車の速度は車に比べればゆっくりだったから、距離的にはそんなに離れていないのだろうと思いました。

 旅籠の食堂に入り、お付きの人と差し向かいで席につきました。周りをみると、猫耳・犬耳がついた獣人、戦士っぽい筋骨隆々な人や魔法使いが漫画で着ているようなローブ姿の人が何人もいる。


(わぁ……。ホントにファンタジーだよ。めっちゃリアルな夢だなー)


 きょろきょろしながらそんな感慨に耽っていると、食堂のおかみさんらしき人が何も言わずにどんどんとスープとパンと飲み物がワンプレートに乘ったものを二人分、テーブルに置いていく。どうやら食事はこれ一択のようで、席に着いたら問答無用で置かれるらしい。スープから漂うかぐわしい香りのせいで、お腹がものすごく空いていたことに気付かされました。お口の中で涎の洪水がおきています。はしたないと思いつつも、目の前の食事から視線がはずせません。

 お付きの人が深く被っていたローブのフードを頭から取り払って、自己紹介をしました。


「何の説明もなしにお連れして申し訳ございません。私は神官のリドと申します。今日中にここまで到着したかったので、急がせて本当にすみませんでした」


「ああ。うん、びっくりしましたけど、急いでいたんですね。じゃあしょうがないですよね」


 馬車の中で、ちょっとは説明してよーと思ったのは黙っておきました。道が舗装されていないから、ガタガタうるさかったし、お尻ちょっと痛かったし、話しにくかった……んだよね。きっと。ひとの言うことを疑わないのは、私の美徳のひとつです。なんてね。


「そう言って頂けますと、救われた思いが致します。まずは、お食事を先に召し上がって下さい。ずいぶん空腹でいらっしゃるようですね」


 うぅ。そこは知らんぷりして欲しかった。さっきから盛大に腹の虫が鳴っている。もうソロどころの話ではなくアンサンブル、いやオーケストラクラスといってもいいぐらいに……。

 だって、目の前にいい匂いをさせたゴロゴロ野菜と塊肉の入った具だくさんスープと焼きたてパンがあるんだよ? そのうえ、何時間も馬車に揺られて、その間に渡されて食べたのは、かったーいカンパンみたいなものと水だけだったんだよ? 夢とはいえ拷問かと思っちゃったよ?

 とっても恥ずかしかったけれど、いまは食欲の方が優勢です。「いただきます」と手を合わせて、早速スプーンを手に取って美味しそうなスープを口に含みました。


「おいし~い~!」


 私の予想を寸分も裏切らなかったそのスープは野菜とお肉の出汁がたっぷりと染み出て滋味深く素晴らしいお味でした。野菜は味が濃くそれぞれ少しくせがある、でもそれがかえって病みつきになりそうな味。お肉はちょっと筋があって硬めだけど、そのぶん噛むとじゅわっと濃ゆいうま味が口の中に広がった。あれかな、ジビエってやつかな? 食べたことないから分からないけど。パンもフランスパンのような食感で小麦の香りが高くてとても美味しい。スープに浸すとものすごく美味しい!

 そんなことを考えながらご機嫌でうまうま食べていると、ふと視線を感じました。

 顔を上げると、リドさんがおかんのように慈愛に満ちた瞳で私を見ていたのです。

 リドさんは「そんなに美味しいですか? 良かったです」と聖母のように暖かな微笑みを浮かべました(注・リドさんは男性です)。


(ひいいぃぃぃ~)


 その微笑みの破壊力たるや……! 超弩級でした。よく見ればリドさんたら、かなりの美形ではありませんか!

 さっきまで美味しそうなご飯にばかり目が行って、リドさんのことは流し見していましたが、ものすごい美形です。初めてお目にかかるレベルのイケメンですっ!

 明るい茶色の髪は憧れのキューティクルが麗しいストレートロング。動くたびにサラサラと音がしそうな勢いです。きりりとした切れ長の目も髪と同じ明るい茶色。すっきりと通った鼻筋と細い顎のせいか中性的に見える美人さんです。年齢は二十代前半といったところでしょうか。神官のローブのせいで体形は分からないけれど、何時間も一人で馬車を御せる体力があるのだから、もしかしたら脱いだらすごいんですってタイプなのかも。わお!

 そして何よりも印象的なのが、あんな聖母のように慈愛たっぷりの表情を見せている明るい茶色の瞳が、ふとした拍子にとんでもないレベルの色気を湛えることです。

 そう、今!現在! ただならぬ色気の攻撃を受けて、私はガクブル状態です。あれ、本人無自覚なんでしょうか。


「…………す、すみません。そんなに見られると、た、食べにくい、です」


「あ、ああ。申し訳ありません。面白くて、つい」


 面白い、だとぉ?! 私のさっきまでの赤面を返せ——!




 夕食を食べ終わり一息ついた私に、やっとリドさんは経緯の説明をしてくれました。

食後に出されたお茶と軽い焼き菓子はどちらもやっぱり美味しくて、不穏な話を聞いている最中の精神安定剤となりました。


「まずは、魔王討伐の最前線にいきなりお連れしたことを再度謝罪させてください」


 リドさんは、こう切り出しました。え、ここ最前線なの? 魔王近くにいるの? だから戦士っぽい人とか魔法使いっぽい人たちがいっぱいいたのね。


「夜になると魔獣の出没率が高くなりますので、どうしても日が沈む前にこの宿へ辿り着きたかったのです」


「はぁ……、そういうことなら別に、もういいですよ……」


 リドさんは、それでも申し訳なさそうに微笑んだ。いや、それよりも気になるのは……


「でもここがその魔獣?とかに襲われたりしないのですか?」


「この宿周辺には、強力な結界が張ってありますので、そう易々と魔獣が侵入することはありません」

「はぁ……」


 さっきから、気の抜けた返事しか出来なくてスミマセン。だって、けっかい?とか何のことやらサッパリなんですもの……。私の夢なのに、私の理解できない設定ってなんなんでしょ。


「魔王は一年以上も前から、このウォルティア王国の『漆黒の森』ダンジョンに顕現し、その後急速に魔獣の数が増え、近隣の街や村は魔獣の被害を受けて、人々は避難を続けています。その範囲はどんどん広がっていて、神殿や王都にまで迫る勢いとなっているのです。

 そこで、勇者の召喚が急務となっていたのですが、半年以上前から召喚の儀が行われていたにも関わらず、勇者の降臨がありませんでした。十数回の失敗の末、ようやく降臨されたのがあなた様なのですよ。……本当にありがとうございます」


 リドさんに手を握られ、ぎゅっとされました。その切れ長の目はかすかに潤んでものすごい色気をダダ洩れさせています。夢の中とはいえ、役得役得。眼福です。


「いやぁ……、その、がんばりま……」


 うっかり色気に負けて安請け合いするところでしたが、ちょっと待て。それに途中で気になるワードが出てこなかったかな?


「リドさん、この王国の名前って……」


「はい。ウォルティア王国です」


 え、それって————


「スキモノの……。サスキアの王国の名前……」


「おや? 勇者様は誰かから聞きましたか? そうです、この地の名はサスキア。ウォルティア王国の他に四つの王国全てを含んだこの世界を我々は『サスキア』と呼んでいます」


 そうか! なるほどなるほど! そうだよねぇ、私の頭でイチからファンタジー世界を構築するとは思えなかったけど、スキモノのゲーム設定での夢を見ているってことなのね! 納得です。

 そう納得した瞬間、目の前にスキモノの半透明のコマンド画面が出現しました!


「わあっぷ!」


「どうされました?」


 突然奇声を上げた私に驚いているリドさんに、なんでもないですと言って、その半透明のコマンドを目で追いました。どうやらリドさんには全く見えていないようです。心配そうに私をみています。

 見れば見るほど、見慣れたスキモノのコマンド画面です。ステータスや魔法、スキル、アイテムボックスと気になるところは一杯ありますが、それは後で見ることにしましょう。でもコレどうすれば、と思った瞬間にシュッとコマンド画面は消えました。おおっ?

 試しにもう一度、コマンド画面…、と思えばシュッと出てきます。わぁ、そういう感じなのねぇ。夢って便利ねぇ。

 一人でびっくりしたりにやにやしている私に、リドさんが不安げに「勇者様、大丈夫でしょうか」と呟いていました。大丈夫です。頭はおかしくないのです。


「あ、そうだ。リドさん、勇者様なんて恥ずかしいから、莉乃って呼んでください」


「……リノ……ですか?」


 何故かリドさんは怪訝な表情をしました。言い難いのかな。


「はい。リノです」


 ゆっくりと繰り返し言うと、「わかりました。リノ様」とリドさんは、きれいに発音してにっこりと笑いました。わぁ、心臓に悪い笑顔です。


「では、明日魔王討伐隊の方々に引き合わせますので、今日は部屋に戻ってゆっくりお休みください」


 どうやら討伐参加は不可避のようです。当たり前のように討伐隊に入れられるようですね。これで今日の話し合いは終わったらしいので、リドさんと用意されていた部屋に向かいました。なんと人生初のスイートルームです!


「わぁ。応接室に寝室、ちゃんとお風呂とトイレも完備だー。一人でここ使っていいんですか? リッチだなー」


「いえ。申し訳ありません、私も同室になります。今は魔王討伐隊の方々が宿泊しているので、この特別室以外は満室で。ベッドは二つありますので、問題ありませんよね」


 ぎょっとしました。いやいやいやいや。問題ありありでしょ?! 大丈夫なの、この人? それとも私の年齢じゃ女性の範疇に入らないとでもいうのかな?


(でも、他が満室じゃしょうがないのか……)


 そんな私のあきらめと戸惑いに気付いているのかいないのか、リドさんは「お先にお風呂どうぞ」と声を掛けてきた。


「……じゃ、お先にいただきまーす……」


 そういって、浴室へ向かいました。実を言うと、すごーくお風呂入りたかったのです。馬車に乗ってから、なんとなく体中が埃っぽくて。……夢なのにね?

 シャツのボタンをはずして、開いた胸元を見て、またもやぎょっと目を剥きました。


「え? 何? この立派な胸筋っ……」


 馬車に乗っていた時から、ずっと感じていた違和感。でも怖くて確かめていなかったアレ……。恐る恐る、そっと手を延ばし————


「ぎいぃやあぁぁ————!!」


 股間の有り得ないふにふに感触に思わず悲鳴が出ました。

 まさか、そんな! 鏡、鏡はっ……、浴室にはない。そうだドレッサーが寝室にあった!

 扉が壊れそうな勢いで浴室を飛び出し、ドレッサーの前に立った。


「だ、誰ッ? これは……」


 鏡に映っていたのは、灰色の髪、青灰色の瞳、しなやかな筋肉が美しくも逞しい青年——

 これはどこからどうみても、お・と・こ————思わず眩暈がしました。

 よろめいた体を後ろから支えられました。鏡にはリドさんが背後から逞しい男性の肩を支えているのが映っています。やっぱり、私がこの男の人なんだ……。思わず涙が滲みました。いくら夢でもこれはない……。




 コトリ、と小さな音を立てて、応接室のテーブルにほかほかと湯気が立っているティーカップが置かれました。


「どうぞ。ハーブティーです。きっと落ち着きますよ」


 リドさんが心配そうに私を伺っています。


「ありが、とう……ございます」


 ティーカップを両手で包んで、こくりと飲むと、手の平と喉に伝わる温かみ、そしてハーブの良い香りのおかげか、本当に少し落ち着いてきました。

 リドさんが小さなため息をついて、「……リノ様は女性なのですか」ぼそりと確認する様に言うので、私はティーカップを両手で抱えたまま、こくりと頷きました。


「……!」


 リドさんがひどく悲痛な顔をして、両掌で顔を覆い、俯いています。

 なんででしょう。リドさんの方が落ち込んでいるようです。人に先に落ち込まれると、なんだか落ち込みにくいです。


「……なんとなく、話し方や仕草で女性ではないか、と思っていました」


 それは、リドさん凄いですねぇ。鏡を見てびっくりしましたが、こんなに筋肉むっきーな方の中身が女だろうとは、なかなか思わないと思うのです……。


「異世界の名前は存じ上げませんが、『リノ』というのも愛らしくて女性の名のようだな、と思いました……」


 ああ、だから初めて言った時、怪訝そうな顔をしていたんですね。どうしよう。なんだか嬉しくなってきてしまいました。

 ずっと空手をやっていたせいか、私は『女性らしい』なんて言われたことがありませんでした。名前だって、私には可愛らしすぎるんじゃないかと揶揄われたことが何度もあります。

 だけどリドさんには、見かけがこんなに逞しい男性でも私が女性らしく見えたんですね……。心がほわほわ暖かくって、くすぐったい感じがします。どうしたことでしょう。

 リドさんは少し顔を上げて、続けて質問をしてきました。


「リノ様はおいくつなのでしょうか」


「あ、十六歳です」


「!!!」


 あらら? さらにリドさんの頭が沈んでいきます。私の気持ちが浮上するのと反比例するようにリドさんの落ち込みがひどくなっていきます。


「あの、リドさん、大丈夫ですか?」


 はて。どうして私がこんな台詞を言っているのでしょうか。


「すみません。本当に……本当に申し訳ございません」


「いや、なぜリドさんが謝るんです? リドさんはちっとも悪いことなんてしていませんよ?」


 がばりとリドさんは身を起こしました。その顔は、眉間がぎゅうと引き絞られて今にも泣きそうで、見ている私の方がツラくなるような表情です。


「いいえ……、いいえ! そんなことありません。私は、あなたが女性で、まだ十六歳の少女だと分かっても、魔王討伐をしなくて良い、とは言えないのです!」


「……そう、なんですね……」


 まぁ、有無を言わさず最前線(こんなところ)にいきなり連れてくるぐらいだから、切羽詰まった状況なんだろうなーとは想像がつきますが……。


「魔王が顕現してからすでに一年以上、この国は、領民たちはどんどん疲弊してきています。

 魔王の影響で増え続ける魔獣に、住むところを奪われ苦しんでいる民を、瘴気が濃いために狂気に囚われ、無益に殺される魔獣を、そしてなにより、敵わないと分かっている魔王に立ち向かわなければならない冒険者たちを……私は知っている、から」


 リドさんが苦しそうに絞り出した声は、私の心臓もぎゅっと締めつけました。

 ああ、私はこの苦しみを知っている。敵わないと分かっている相手に、向かっていく恐怖。勝てないと分かっている相手との試合へ行くときの絶望感。ツラいよね。逃げたいよね。

 でも、解決方法はひとつしかないのも、私は知っていた。

 どんなに怖くて、逃げたくても、立ち向かうしか方法はない。逃げるとそれ以上の後悔と自分への失望感でもっと苦しくなるの。

 それに、これは私の夢なんだから、大丈夫!

 きっと“スキモノ2”のリリースが待ち遠しすぎてこんな夢みちゃっているのかも。私が男性なのも、1の主人公が少年勇者一択だったから、だよね? 他の選択肢がなかったからこの姿なのよ、きっと。そこまでゲームに忠実じゃなくても夢なんだからいいじゃんって思うけど、こうなっている以上仕方がないです。それに魔王討伐するなら、確かにこの姿の方がゲームと同じ様にバッサバッサと魔王を切り伏せられるかもしれないしね!

 だから————


「大丈夫ですよ。リドさん。私、魔王討伐行きますよ? そのために私は勇者としてここに来たんですよね。私、ちゃんと頑張ります!」


 リドさんが安心できるように、私の拙い言葉で伝わるかどうか心配だったから、精一杯の笑顔でそう言いました。

 でも、リドさんはあんまり嬉しそうな顔をしてくれませんでした。

 寂しそうな、陰のある微笑を浮かべて、「ありがとうございます」と頭を下げたのでした。





 きしり、とベッドがたわむ音がした。

 少し離れた隣のベッドから私のベッドへ向かう足音がする。その足音は私のベッドの脇でぴたりと止まった。

 私は横向きで反対側に顔を向けているので、そこに立つ人物——リドさん——がどんな表情をしているか分からない。ただ、ただならぬ気配を感じて、心臓が激しく脈打った。


「リノ様……。おやすみになりましたか……?」


 どきどきしすぎて、声を出すことも体を動かすこともできなかった。


「もう、寝ているのですね……」


 ほっとしたようにつぶやく声。


「リノ様。あなたのことは、私が絶対に守ります。魔王討伐が終わるまで、私はずっとあなたのお傍におります。そして、出来れば……討伐の後も……。

魔王討伐が為されて、あなたが英雄となっても、私をそばに置いて欲しい……。そう願うのは、私の我儘でしょうか……」


 かぼそく消え入るような声の後に、衣擦れの音がした。気配で、リドさんが屈んだのがわかった。

こめかみに、柔らかな感触————リドさんが唇を落としたのだ。

驚いて顔の向きを変えると、リドさんの顔がすぐ目の前にあった。

ベッドの脇にある窓から、青白い月明かりが差し込んでいた。その月明りを浴びたリドさんは、彫刻のように作り物めいて見えるほど、凄絶な美しさだった。

リドさんの両腕が、私の頭の横に置かれ、ぎしりとベッドがきしんだ。

「リノ様、私は————






 うっぎゃあ~! なしなし! これ以上の妄想は私自身が爆死してしまうのです!!

あの後、リドさんから『私がリノ様のサポートを全てさせていただきます』と覚悟を決めた顔で言われて胸にぎゅんときたので、ついこんな妄想をしてしまいました。

だってだって、同じ部屋にあんな美形と泊まっちゃってるんだよ? こういう少女漫画的な展開はお約束だよね? ……いや、実際には妄想だけでなーんにもないんですけどね?


本当に、びっくりするほど何もなかった————

私をサポートすると覚悟を決めたらしいリドさんは、まるでおかんのように「さあ、明日は早起きしなければならないので、さっさとお風呂に入って寝て下さいね」と私を急かし、浴室に放り込み、父と兄のモノ以外初めて見たモノの衝撃に呆然となっている私を、強引にベッドに押し込んだ。

そして、初めてみたアレの衝撃やらなんやらのせいでとても眠れないので、ちょっと妄想に耽って今に至る——と、いうワケである。


(いや、まあ、何かあったらあったで、初恋も未経験の私には対応ができない、というかなんというか……)


 ん? でも今なにかあったら、この筋肉むっきー君とリドさんがナニな感じになるワケで……。それはそれで、おいしい絵面ですが……いやいや、これ以上腐ったことを考えるのはやめましょう……

 こんなくだらないことをつらつら考えていたのが良かったのか、いつの間にか私はぐっすりと寝てしまったのでした……


ありがとうございました。

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