しゃくねつのかぜ
わずかな涼しさを求めてさまよう
ここは灼熱の風が吹くところ
石の道も、
石の建物も、
陽炎がゆらめき、はっきりと掴めず、
まるで全てが、蜃気楼で紡がれた幻のせかいのよう、
幻影の、蜃気楼の街のようだ
ゆらめく灼熱の空気の中を、人々が歩いてゆく
苦行者のように、汗を滴らせて歩く
歩き続ける
滴り落ちた汗の先、地面にできた染みがつけた黒い跡が、
人々が幻ではなく、現実の人であることを明らかにしている
けれども、それさえも、
落ちた汗の痕跡すら直ぐに乾き、消えてゆく
後には何も残らない
まるで幻のように
何もない
全て無くなってゆく
乾いた汗から、陽炎が立ち上る
そうして、陽炎の中へと人々は消えてゆく
灼熱の風吹く、乾いた世界
荒ぶる風という現実と、
蜃気楼という幻の中にあり、
けれども人は、
黙々とやることを成して、
懸命に生きている
灼熱の風が吹く
蜃気楼の街で
人々は汗を流しながら
懸命に
懸命に…