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恋のおはなし  作者: 岩海 陸雄
1/1

せかいいち暖かい場所

ヒトは恋をする。

なぜだかわからない。

そもそも恋ってなんなのか?

「好き」ってなんなんだろう。

きっと、とても暖かいものなんだろう。


ーーーーーーーーーーーー


鳥がなく。この鳴き声はあの鳥だ。名前はわからない。でも、毎朝この声を聞く。透き通った、聞き心地のいい声。

もう、起きないと。学校へ行く時間だ。

「おはよう」

「おはよう、コウタ」

朝はギリギリまで寝る。心地いいから。いや、早く起きても気持ちいい。まあ、気分だ。

「今日は部活あるの?」

「あるよ。ちょっと帰るの遅れるかも」

「そう」

「じゃあ行って来るね!」

「気を付けて」

勢いよく家を出る。自転車を漕ぎ、最寄駅へ向かう。

今日は絵に描いたような夏空だ。風が少しある。

風を切り、坂を上り、駅まで急ぐ。


(...やべえ、遅刻する)

駅の構内を人の群れに紛れながら進む。階段を勢いよく降り、ホームに着く。

(間に合った...)

ここまで来れば、大丈夫だ。学校までは1時間ほどかかる。少し遠い、都会の学校なのだ。

1時間も乗っていれば、目まぐるしく人が変わる。仕事へ向かう人、イライラしてる人、イヤフォンから音漏れしてる人、寝てる人....

見ているだけでおもしろい。

気づけば、もう次の駅で学校の最寄り駅だ。電車のドアへと向かう。座って乱れた制服を整える。

(やっと着いた)

流石に1時間は長い。


ドアが開くのを待つ。この駅だけ、左側のドアが空くのだ。息苦しい鉄の箱から飛び出す。そして、人の流れに身を任せ、改札を出る。

(あっつ...)

セミの鳴き声がやかましい。学校まで少し歩く。コンクリートの隙間から黄色い花を咲かせたカタバミがたくましく成長している。

(雑草魂だな)

そんなことを考えながらビルの群れの間を縫うように進む。学校の冷房が恋しい。少し足早になる。

ードンッ

誰かが後ろから叩いてくる。

「おはよー!コウくん!」

「おはよう、朝から元気だな」

同じクラスのヒロムだ。結構仲はいい。唯一、お互いに隠し事を話せるくらいに。

「暑いなー、おっセミいるぞ!あのケヤキのとこ!」

口数がいつもより多い。

「好きだね、ほんと」

ヒロムは虫好きだ。家にはたくさんの生き物を飼っている。そのどれもが健康的だ。きっと大切に育てられているのだろう。

そうこうしているうちに学校へ着く。正門前の先生の圧がすごい。

(なにもしてませんよー)

ゆっくり通り過ぎ、靴箱で靴を履き替える。

「こっから階段かあー、もうヤダ」

「流石に4階はないよな」

「この前数えたら68段あったぞ」

文句を言いながら階段を上り、教室に着く。クラスは5組だ。冷房が効いていて、涼しい。

「なあ、コウー、今日の時間割なに?」

時間割表を見る。今日は水曜日だ。

「国語、数Ⅱ、数B、体育、化学、英語」

「うわ、えっぐ」

「キツイなー」

「最後が英語なだけ救いだわ。あの人優しいからなー」

机の中に教科書をしまう。ふと、いい匂いがする。

(ああ、来た)

香りの主は少しボーッとした女の子だ。短い癖毛がかわいい。名前は、ミヅキちゃん。去年もクラスが一緒だった。窓辺の席に着くと、すぐに寝た。

(....)


ーガラガラ

「はい!おはよぉ!」

担任の先生が来た。いつも陽気な28歳独身男性だ。担当教科は国語。おもしろい人だ。

「おーい、岩井、起きろー」

ミヅキちゃんが起きる。ゆらゆらと立ちあがり、挨拶をする。とても眠そうだ。

(こっちまで眠くなるわ)

そう思いながら授業が始まる。

「数学さえこえればッ」

ヒロムがつぶやく。

「どうせ寝るんだろ?」

「さあね」

「?」

怒涛の数学2時間が始まる。

(ここは地獄か?)

眠気を堪えながら、授業を受ける。ミヅキちゃんは寝ている。

ヒロムは..

(起きている...だと...?!)

今日1番の衝撃だ。

(なにかおかしい)

頭のネジが1本抜けたのだろうか。

(いや、刺さったのか?)

そんなことを考えつつ、退屈な時間を過ごす。


...次は4時間目。体育だ。今は体育でバスケットボールをしている。

「「っしゃああ!体育じゃああ!」」

数学2時間という圧倒的な苦痛を乗り越え、クラスは賑わう。

「たのしみだぜ」

「機嫌いいな」

ヒロムは今日、異常に機嫌がいい。なにかいいことでもあったのだろうか。とにかく、体育館へ向かう。体育は2クラス合同、男女別々で行われる。5組は6組と合同だ。

準備運動をし、バスケットボールの試合をする。

「おーい!もっと走れぇ!」

「いいのお?そんなんで!」

ヤジを飛ばす。そんな中、ふと気づく。ヒロムはチラチラと女子の方を見ている。まあ、男子高校生なんてそんなもんだろう。確かに良い目の保養だ。

しかし、気づく。ヒロムと1人の女の子が、目配せをしている。

(なるほどねぇ)

体育が終わり、昼休みに入った。弁当を食べ終わり、満を持して、話を切り出す。

「ヒロム、お前...」

「なんだよ」

「6組の女の子と、目配せしてなかったか?」

「...」

5秒ほど沈黙する。

「よく気づいたな」

驚いた顔で見つめられる。

「あたりめーだ。あからさますぎる。」

「いやー、バレたか!」

「付き合ってんの?」

やはり、これが1番気になる。

「まあ、これからは先輩と呼んでくれてもいいんだぜ?」

「...チッ」

ヒロムが笑う。でも、今まで見たことの無い、なにか、不思議な笑顔。

(どんな感じなんだろう)

気になる。でも、聞けない。きっと、聞いても分からないから。

「で、いつから?」

「昨日」

「初々しすぎでしょ」

「かわいいんだよー」

ヒロムは嬉しそうに話す。きっと、好きなんだろう。とても。こっちまで嬉しくなってくる。

(そりゃあご機嫌なわけだ。)

ーゴーン

チャイムが鳴る。さあ、あと2時間。


「ああー終わった!」

「長すぎ」

授業が終わり、開放感を味わいながら、ヒロムは帰りの支度をする。

「部活は?」

「今日俺はないんだよ」

ヒロムはきっと、彼女と帰るんだろう。これからはあまり一緒には帰れなくなりそうだ。

「「さよならー」」

帰りの挨拶をし、部活へ向かう。

「じゃあ、お幸せに」

「ありがとう」

「またあした」

急いで部活へ向かう。テニス部。自分が所属している部活だ。自分はある程度打てるので、何とか団体戦に出ることが出来る。

(もっと強くならないと)

自分のせいで、前回の団体戦は負けてしまった。だから、もっと。


部活が終わった。

「じゃあねー」

同じ帰り道の仲間と帰路に着く。

「コウ、お前このゲームしてるっしょ?」

話しかけてきたのは、ダイキ。おなじ団体戦のメンバーだ。

「うん」

「通信対戦しよーぜ!」

「受けてたってやる」カバンの中のスマホを探す。

...ない。教室に忘れたのだろう。

「悪い、ちょっと教室に忘れたっぽいわ!先帰ってて!」

「そっか、気をつけろよー」

急いで教室に戻る。ビルの群れの間を縫い、学校の階段を上る。

ーガラガラ

ドアを開ける。


スマホは机の中に入っていた。赤い夕陽が綺麗だ。誰もいない教室。いや、誰かいる。

窓際に目をやると、ミヅキちゃんが寝ていた。

(もう、下校時間だぞ...)

起こそうとする。でも、話しかけていいのだろうか。とても気持ちよさそうに眠っている。

少し、眺めてみる。短い癖毛四方八方にはねていて、フサフサしている。首は少し細い。透き通った肌は夕陽を吸い込んでいる。

(なんだろう、すごく、綺麗だな)

なにか鼻の奥がつんとするような感覚がある。

(とにかく、起こさないと)

席に近づき、肩に触れる。柔らかい感触が心地いい。

「あのー、岩井さん?」

「...」

「起きてくださーい」

「...んぅ」

ゆっくりと彼女は目を覚ます。

「...ありがとう...ございます..」

彼女は大きなあくびをして、帰りの支度をする。動きに無駄がない。

「じゃあ、俺帰るね」

「...ちょっとまってください」

透き通った声だ。声量は小さいのに、よく通る彼女は帰る支度を終え、近づいてくる。

「一緒に帰ろ」

「あ、うん」

どうやら駅が途中まで一緒なようだ。

「...」

「....」

お互い黙り込んだまま、駅へと向かう。でもなぜか、気まずさは感じない。なんだか鼓動が速まる。

横を歩くミヅキちゃんは、思ったより小さい。でも、安心する。なぜだろうか。

「ねえ、岩井さん」

「なに」

「いつも寝てるけど、なんで?」

「...」

どうやら、答える気はないようだ。

駅に着いた。ちょうど席が空く時間帯。2人で横に並び、座る。

(眠くなってきた...)

なんだか暖かい。心地よくて、寝てしまった。


気づくと、もう最寄り駅だ。ミヅキちゃんはまだ寝ている。

「岩井さん、俺、次で降りるから」

....コクン

ミヅキちゃんがうなずく。

「またあしたね」

優しい笑顔。また鼓動が速くなる。

(なんだよこれ)

「うん、またあした」

駅のホームに降りる。すっかり夜になった。改札で定期券をタッチし、駅構外へ出る。まだ心臓がドキドキしている。深呼吸をし、家へと自転車を走らせた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー



「ミヅキー!起きなさい!」

朝から大きな声で母親が起こしに来る。

「うーん、もう少しだけ...」

「ダメッ!」

布団を勢いよく剥がされる。

(こんな早く起こさなくてもいいじゃん)

不満に思いながらもゆっくりと立ち上がり、学校行く支度をする。時間はたっぷりあるので味噌汁とご飯をゆっくりと食べ、家を出る。

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

自転車を漕ぎ、駅へ向かう。今日はまさに夏空だ。期末テストも終わり、もうすぐ夏休みだ。

(夏休み...)

大概のことはめんどくさいが、友達たちと遊びに行くのは結構楽しい。去年はクラスメイトのみんなと海へ行った。

(楽しかったな)

去年の夏に思いを馳せながら電車に乗る。車窓から変わりゆく景色を眺めながら、1時間ほどの通学路をゆく。

通勤ラッシュより先に電車に乗るので、席に座ることが出来る。

(ねむいな)


学校の最寄り駅に着いた。ここだけ左のドアが開くのだ。 駅構内で今日のおやつを買う。そして、改札を出る。蝉の声が夏を加速させる。

(ちょっと寄り道)

駅から少し歩いたところに、小さな公園がある。ここは私の憩いの場だ。地面にはカナヘビが日向ぼっこをしている。

(私も光合成..)

陽の光をいっぱいに浴び、学校へ向かう。

正門には先生が立っている。

「ちょっとおそいぞー」

「すみません」

そそくさと教室に向かう。68段の階段を上り、教室に着く。ドアを開けて席に向かう。

(あ、今日も...)

窓際の席につき、ある男の子の方を少し見る。

(......)

今日の時間割はキツい。もう諦めて寝よう。テストで点数さえ取ればいいのだ。

ーガラガラ

「はい!おはよぉ!」

...うるさい。

「おーい、岩井、起きろー」

(はぁ..)

仕方が無いのでゆっくり起きる。そして、寝る。


起きたらもう4時間目だ。

(今日の体育なんだっけ)

とりあえず更衣室に向かう。

「ミーヅキっ!」

陽気な声。6組のアカリだ。去年、同じクラスだった。

「やあ」

「相変わらずボーッとしてるね」

「うん。今日何するんだっけ?」

「バドミントンだよっ!」

「ありがと」

着替えを終え、体育館に向かう。

(隣は男子か)

体育館を2つに分け、男女別々で体育を行うのだ。私は帰宅部なので、運動は少し苦手だ。勝負事になるのなら話は別だが。


準備運動を終え、バドミントンをする。コートの待ち時間には、シャトルの動きを見るのが楽しい。

ふと横を見る。アカリの目は1人の男の子を捉えている。

(...なるほどね)

全てを理解した。あの人が、アカリの好きな人なのだろう。いつも彼と一緒にいるひと。

コートが空く。

「ねえ!ミヅキ、勝負しよう」

アカリがラケットを構える。

「いいよ」

「10点先取、負けたらジュースね!」

なるほど、負けるわけにはいかない。ジュースは絶対に手に入れる。

「いっくよー!」

ーシュパッ

勢いよくシャトルが飛ぶ。


体育が終わった。

「負けちゃったよー」

悔しそうにアカリが話す。

「ジュースおごってよ?」

「はいはい」

勝負事には強い。帰宅部の中では多少運動神経はいい方だ。着替えを終え、炭酸水をアカリに買ってもらう。

「じゃーねー」

それぞれのクラスに戻る。体育の後の炭酸水は格別だ。弁当を味わいながらスマホで漫画を読む。最近はおもしろい漫画が増えた。

(次は化学か)

退屈な授業が始まる。化学の先生は厳しいので、眠れない。窓の外を眺めながら、5、6時間目を過ごす。


帰宅の時間だ。みんな部活やらなんやらで、教室を急いで後にする。誰も居なくなった教室に、テニスコートからの音が響く。しっかりとラケットの真ん中で捉えた、心地いい音。

(さあ、帰ろうかな)

帰ろうとする。ふと、机の上にスマホが忘れられているのを見つける。

(この席は...)

彼は今、部活をしている。教室から見えるテニスコートで。もしかしたら、取りに戻ってくるかもしれない。

(待っててみようかな..)

私は彼のことが好きだ。たまに目が合うだけで心臓が飛び出そうなくらいドキドキする。ちょっと下ネタを口走るような彼でも、好きだ。あの日から、ずっと。

コートで部活をしている彼を見ながら、思い出す。

それは、去年の夏休み。クラスのみんなで、海へ行った時のこと。


鋭い日差しが肌に染みる。

「あっついねー」

アカリが気持ちよさそうに言う。

「そうだね、今年は特に」

どうやら今年は平年よりも気温が少し、高いようだ。

海には日陰すらない。日光が直接届く。

今日はクラスのみんなで海にいる。男子たちと私たち以外の女子はもう海の中だ。

「私たちも行こっ」

「うん!」

海へと向かう。太陽の光を反射し、ギラギラと光る海はとても美しい。片足海へと浸ける。

「つめたっ!」

外は暑いのに、海の中は冷たい。それが心地いい。しばらく泳いだ後、水を買いに自動販売機に向かった。

(えっと、水は...110円か)

お金を入れ、水を買う。あらかじめ敷いておいたレジャーシートに戻ろうとする。

「イタッ」

足をガラスで切ってしまった。裸足で歩いていたせいだ。

(ああ、せっかくの海が)

もう、動けない。

(だれか...)

遠くから1人の男の子が向かってくる。

「岩井さん!大丈夫?」

大丈夫じゃない。結構深いのだ。

「ちょっとまって」

彼はバックからハンカチを取りだし、傷口にあてがう。申し訳ない。

「汚れちゃうからいいよ...大丈夫だから」

精一杯、言った。

(私のせいで...)

それでも彼は止血をしてくれている。胸がいっぱいになる。

「結構血が出ちゃってるよ。洗おう?」

そういうと彼は私を水道へと連れていく。綺麗に洗った後、絆創膏を貼ってくれた。

「準備がいいんだね」

「まあね。いつ何があってもいいようにさ」

彼は笑う。その顔は陽の光に照らされ、いつもより明るい。

(きれい...)

ふと、思った。

「おーい!ミヅキ!」

アカリが駆け寄ってくる。

「大丈夫?」

「うん」

でもこの足では、海に入れない。

「スイカ食おーぜ!」

彼はクラスメイトに叫ぶ。するとみんな海から上がり、スイカを食べ始めた。

「うまー」

みんな一気に食べる。

「俺、ちょっとトイレ行ってくる」

どうやら、スイカを食べすぎてお腹を壊す子もいたようだ。みんなに疲れが見える。

「スイカ食ったし、帰るか」

みんなが帰りの支度をする。午後の日差しがまだ痛い。帰りの電車はいつもより短く感じた。

(ありがとうって言ってないな...)

彼のことを考えつつ、家に向かう。


彼は前回の団体戦で負けてから、張り切っている。

(...コウくん、がんばって)

心の中でつぶやく。それだけでも頬が赤らむ。

本当はもっと喋りたい。くだらないことも、たわいない話も。あの日の、ありがとうも。

部活が終わったようだ。もう、コートから音は聞こえない。

もうすぐ下校だ。

(結局、来なかったな..)

帰りの支度を始める。すると、階段をかけ上る音が聞こえる。

心臓がギュっとなる。

(とりあえず、寝たフリ...)

ーガラガラ

ドアが開いた。彼が来たんだ。私の、好きな人が。

(う〜、どうしよう)

寝たフリを続ける。

「あのー、岩井さん?」

彼が声をかけてくれる。うれしい。

(〜〜〜〜っ)

顔が熱い。

「起きてくださーい」

「....んぅ」

ゆっくりと起きてみせる。

「...ありがとう...ございます...」

恥ずかしいので、大きなあくびをしてみる。

「じゃあ、俺帰るね」

(え?帰っちゃうの?もっと一緒に...)

「...待ってください」

帰りの支度をする振りをして、心を落ち着かせる。

「一緒に帰ろ」

勇気を振り絞った。

「あ、うん」

ホッとする。赤くなった顔は、赤い夕陽に溶け込み、バレなかったようだ。彼と一緒に駅まで歩く。

「...」

「...」

(何を話そう?どうしよう!ああ!分からない!)

話がしたい。でも、彼の隣を歩いているだけで、体全身の力が抜け、心臓が飛び出そうなくらいドキドキする。

「ねえ、岩井さん」

「なに」

「いつも寝てるけど、なんで?」

「....」

答えられない。言えない。寝ているフリをしてあなたを見つめているなんて。

駅に着いた。ちょうど席が空く時間帯だ。彼の隣に座る。緊張する。でもどこか、安心する。

横を見ると、彼は寝てしまったようだ。

(...少しくらい、いいよね)

彼の肩に頭をのっける。とても暖かい。居心地がいい。

(ずっとこの時間が続けばいいのに)

でも、そうもいかない。

「岩井さん、俺、次で降りるから」

(ああ、帰っちゃうのか。)

...コクン

うなずいてみせる。

「またあしたね」

「うん、またあした」


「ーはあ。」

(なにも話せなかったな)

とても緊張した。私の最寄り駅は彼より2駅先だ。今日、知った。

(もし、付き合えたら...)

そんなことを考えながら駅のホームに降りる。すっかり夜だ。綺麗な星が見下ろす中、家へと自転車を走らせる。



ーーーーーーーーーーーーーーーー




















初めての投稿です。

気の赴くままに、自分がいいなーと思っている恋を口下手ながら書いてみました。

もし良ければ、続きも待ってていただけるとうれしいです。

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