39 VS魔獣
遂に魔獣達との本格的な戦闘が開始する。
鋭い牙に爪を持った狼のような見た目の魔獣に、鋭い一角を頭に生やしている鹿のような見た目の魔獣。その他にもトカゲや猿のようなものまでいる。
魔獣と呼ばれるだけあって、光がなければここまで近くに来られていても気づけなかったのではないかと思うほど、夜の世界にとけんこんでいる見た目だった。それに身体中にある切り傷や木の枝が刺さった痛々しい部位、そして真っ黒な目。その異形ともみれる姿にはおぞましさを感じた。
そんな魔獣達がこちらに一直線に突っ込んできている。前衛のアリシャ、オリバー、クロスベルスターに加え、グレアス率いる亜獣国組は慣れてるかのように一切顔色を変えず武器を拳を構えている。そんな光景を目の当たりにしてワグモは
「あぁ…やっぱり怖ぇよこれ…異常じゃないか…」
当たり前のように命のやりとりを始めようとしている皆にワグモは
「俺も覚悟決めたつもりだったんだけどなぁ…俺がおかしいのか?」
前回、魔人と戦った時も致命傷を与えたのはアリシャだった。ただ戦うだけなら、しんどくはあったけど気持ちは楽だった。今回もいけると思っていた。ただ前回の魔人戦以降ずっと心の中で考えてしまうことがあった。こればかりは自分の問題だ。自分の人生でこんな悩みと向き合わなければいけない日がくるなんて思ってもみなかった。ワグモは前衛メンバーと魔獣達がもう間もなく接触しようとしている最中で思う。
(俺はいつかこの世界で…誰かの命を奪ってしまう時がくるのだろうか…)
前衛メンバーに魔獣達が飛びかかった。
アリシャ、グレアス達の前衛メンバーは飛びかかってきた魔獣達をものともせず蹴散らしていく。アリシャに飛びかかったのは一角を持つ鹿のような魔獣だった。勢いこそあったものの、横に少し動いたアリシャに呆気なくかわされ首と胴体を両断された。クロスベルスターは持ち前のスピードで、どんどんと突進してくる魔獣達の合間を抜けていきすれ違い様に魔獣達に斬撃をあたえていく。オリバーはいつもの鎧と剣を駆使し、狼の魔獣数匹に狙われるが難なく魔獣達を斬り伏せていた。グレアス達獣人は人間離れした力で突っ込んでくる魔獣達を逆に押し倒し強烈な打撃をあたえていく。その際に横槍を入れてくる魔獣達に後衛のエルフ達の魔法が炸裂する。そうして倒れていった魔獣達からカリアーナが順に片手を伸ばし上空から狙い、唱えていく。
「氷結魔法⋮発動」
直後、倒れた魔獣達の真下の地面に綺麗な雪のような白色の魔法陣が出現し魔獣達を氷漬けにしていく。カリアーナは魔獣と交戦している皆に上空から叫んで伝える。
「こいつらは死霊魔術で操られているわ!術者を倒さないかぎり首だけになっても襲ってくる!あたしが凍らすまで絶対に油断しないで!」
それを聞いた前衛メンバーは、魔獣達を薙ぎ倒していきながらさらに加速し大型魔獣に近づいていく。ワグモは倒しては別の魔獣を倒して前にどんどん進んでいく前衛メンバーをみて
「やっべぇ……」
数の差等ものともしない前衛メンバーの動き、それに加えこのスピード感。
すると、アリシャ達が斬り伏せていった魔獣達が起き上がり、再び彼女達を背後から襲いかかろうとしていた。それに気づいたグラッツとワグモが
「木の精霊よ、奴らを縛れ」
「サイコキネシス!」
直後、グラッツの持っていた種から大木のような木が魔獣達に突撃し魔獣達を縛りあげる。またグラッツが縛りきれなかった魔獣達は身体の自由を奪われ、自身の前に襲いかかるという意志を無視して宙に浮かび上がっていく。
前衛メンバーは一瞬動きを止めて後ろに視線をやったが、すぐ様また動き出し魔獣達を薙ぎ倒していく。カリアーナがグラッツとワグモに
「ごめん!助かった!私一人じゃちょっと間に合わないから、少しそのまま何体か手伝ってもらえると助かるかも!」
「ああ、私は構わないが……」
カリアーナに自分は構わないと言ったグラッツは、隣で必死に魔獣達をみつめるワグモをみる。ワグモは
「だ、大丈夫…念じるだけだから」
「そ、そうか…大丈夫だそうだ!」
ワグモを少し心配するグラッツだが、ワグモの必死の顔をみて無茶そうなら休めとは言えずそうカリアーナに伝えた。
だがそうする事で、魔獣達の攻撃の標的は後衛メンバーも含まれてしまった。続々と起き上がる魔獣達は前衛メンバーと後衛メンバーに各々別れて突撃していく。別の魔獣達を止めているグラッツとワグモには為す術がないように思われたが
「水龍五頭!!!!」
「やああああ!!」
スズセシリアとマリーの魔法が向かってきた魔獣達を吹き飛ばしていく。
「「これは私達の出番だね!!」」
スズセシリアとマリーが二人の前にでてそう言い放つ。
魔獣達との戦いが今本格的に始まった。
読んでいただきありがとうございます!ご評価等もあればよろしくお願いします!




