21 事件
亜獣国ギガントによる救援要請。ギガントでは一体なにがおきていたのか?!第2章開幕!!
ワグモ達がトーナメント戦を開催していた時に亜獣国ギガントではある事が問題となっていた。それは亜獣国ギガントの食料問題であった。いつも亜獣国は獣人達が山に狩りにでていき獲物を持ち帰りそしてエルフ達が町の建築や料理をするのが日常だったのだが。獲物というのもかつて、魔人と四種族の間でおきた魔人戦争の時に魔人が飼育していた魔獣達が戦争後も繁栄をしているため、それを自国に入れないよう狩りをし魔力も豊富な為ギガントでは食料としていた。だがここ最近ギガント周辺で魔獣達の動きが全くないのである。この山々はギガント、人の国、妖精の国とを区切る役割にもなっている。魔獣達は同じ獣臭のする獣人や尚且つ魔力を高くもっている亜人のエルフがいるギガントの事を好んでおり大体はギガント寄りに魔獣達は集まってくる。だがここ最近魔獣達が狩りにでても出会えない事が多くなっていた。そしてワグモ達がこちらに向かってくる2日前の事である。狩りにでていた獣人二名が戻ってこないという事件があった。夜になっても戻らず戦士のグレアス含む数名を捜索隊として派遣したところ山の中間付近にて遺体としてみつかった。二人とも身体の損傷はなく眠るように死んでいた。狩りには一斉にでるお互いの鼻がきく範囲を離れないように。二人は若い獣人だった。どう考えても他殺なのは分かるが魔獣にやられたのであれば損傷が無いのはおかしい。仮に他種族と戦いになってたとしたら一緒に狩りにでていた獣人が気づくはず。つまりこの二人は匂いも魔力反応も戦いになった痕跡すら残さない何かに殺された事になる。仮にそんな事ができるものがあるとすれば魔人の魔能。かつて誰にもみつからずギガントに侵入できたワグモという者がいたが今そいつは人の国にいる。グレアス達はその後急いで国に戻りクレアとカレン及びその他の戦闘員を集め緊急会議をした。グレアスはクレアとカレンに
「二人は死んでたよ。なにかがあったような痕跡はなかった。どこのどいつだが知らねえが舐めやがって。」
クレアは怒り狂うグレアスに
「人の国が魔能持ちの魔人の討伐をしてのけたという情報が入ったばかりだとゆうのに……状況から考えるに妖精の国、人の国の者がやれるような技ではないな。」
その発言にカレンは
「感覚に敏感な獣人が何も感じない程に静かに殺害。私達エルフの魔力探知にもひっかからず。はぁ…魔人濃厚ですね…最近物騒ですわね」
グレアスは
「呑気に言ってる場合か!人の国を襲ったやつは人の隊をぶっ殺した後に人の国攻めようとしてたらしいじゃねえか!って事ァその感じでいくと今回狙われてるのは俺らだろ!こりゃ明らかに宣戦布告だぞ!」
そう怒り叫ぶグレアスにクレアは
「落ち着け。相手が仮に魔人でギガントを狙いに定めたということは我々に対し何かを企んでるということ。そしてそれはもう始まっており我々は後手にまわってしまっているということ。魔能持ちに後手にまわった状態でこちらからアクションをおこすのは被害がおおきくなるだけだと思わないか?」
それに対しカレンもクレアに賛同するように
「その通りですよグレアス。ここは探すのではなくギガント内の警備を強化するべきです。」
グレアスは納得のいってない顔で
「二人も殺されてんのに黙ってみとけってことかぁ?随分弱気な王様なこったァ!」
それに対しカレンはグレアスに
「少し頭を冷やしなさい。誰も何もしないとは言っていません。これ以上被害を増やさぬよう皆で固まりそして何より何も知らない相手のことを少しでも知る時間を作るのです。」
グレアスが
「相手を知るだぁ?それが分かんねえからこうなってんだろうが!!」
クレアがグレアスに
「いるだろう。ここ最近魔能持ちの魔人をやっつけた知人が。」
グレアスはクレアとカレンの顔を見て
「まさか!」
カレンは
「はいそのまさかです。人の国に私達二人の王直筆の協力申請を書きました。これをを急ぎだしにいってもらいます。魔能と直接戦い勝ちをとった彼らの知識が我々には必要です。人の国としても我々に恩を作れるという意味でも必ずや力を貸してくれるはずです。」
王による他国への協力申請は歴史的にみてもそうそうあることではなかった。魔人戦争以降はそれぞれが警戒して住むところを区切った程なのだから。そんな状況の中で王様による協力申請。これはこれからの外交にかなりひびいてくる。グレアスもそれは知っていたのでこんなにも早く決断し行動をおこした王達に驚きを隠せない。そして王達がこの決断をどれだけ迷いだした上での決断だったかもグレアスにもわかった。
「…それならいい。悪かった。あんた達に辛い役をおしつけちまったな」
グレアスは冷静になりクレアとカレンに謝罪する。クレアとカレンは
「お前が気にすることじゃない。私も久しく怒っている。」
「ええ、私たちの立場の心配など不要です。被害を事前に防げなかった時点で次なんて言葉を使ったところでみんなの不安は消せません。なのでこうするしかなかったのです。」
グレアスと他の戦士達は顔を上げ、グレアスはクレアに
「なにからすりゃいい」
クレアは
「私達の協力申請を書いた手紙を人の国に向かわす。だがその間も油断できん。使者の護衛に半分。その他はここの警備。以上!!今すぐ迅速におこなえ!!」
「おう!!!!!!!」
クレアの指示にグレアスら戦士は返事をしその後迅速に行われ、手紙は無事ワグモ達に届けられたのであった。亜獣国ギガント、人の国これらを巻き込んだ戦いが今始まろうとしていた。
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