20 この世界での居場所
自分や皆のため隊結成へ向けて動き出すワグモ達。ワグモ達に待っている衝撃の結末とは?!第1章最終話です!
次の日。少し朝早くに起きワグモはアリシャと2階で合流していた。まずやるべきことはオリバーとマリーの説得。なぜこの2人からとゆうと彼等とは他の誘うメンバーよりも長い時間関わっており1番説得しやすいと思う2人だからだ。だが問題点がない訳では無い。警備隊にもう既に所属している為、移動という形できてもらわないといけない。これに関してはどれだけこっちにくることで警備隊所属よりもメリットがあることを説明だけで彼らに感じてもらわないといけない。ワグモはアリシャに
「どっちから説得に行く?」
「んーー、マリーかオリバー君のどっちかを説得できたならもう片方の説得もかなり楽になるんだと思うけど…」
「あの二人仲良いもんな〜、説得ってんならオリバーの方がいいかもな。マリーさんはなんというか…その理屈とかより好き嫌いで決めてるみたいなとこありそうだし…」
「そうね…好き嫌いというよりかは感覚派みたいな所はあるかもしれない。オリバー君を説得してオリバー君にも協力してもらう。これが1番ね」
「よしそうと決まればまずはオリバーの所に行くか。」
「ええ、そうしましょう。」
ワグモとアリシャは1人目の勧誘をオリバーに決め、オリバーの部屋前まで行きノックで呼び出した。オリバーはドアを開け俺達と分かったら
「おおどうした朝早くから、とりあえず中入るか?」
そう言い部屋の中に入れてくれた。何気ないことだがオリバーはやはり気遣いと優しさを持っている。そして部屋の中のベットにオリバーは座りワグモとアリシャは前の机の椅子に座らせてもらった。オリバーは2人の用事を見透かしておりワグモに話しかける。
「まぁなんで来たかは聞かなくても分かるけどさ、昨日も言った通り流石に厳しいぜ?」
「いや、昨日は全く話せてなかったんだ。だから今日しっかり聞いてもらうために来た。」
「んん?隊を作ろうって話じゃないのか?」
「正しくはアリシャコルデーの隊に入って欲しいだ。」
「はぁ?…その言いづらいけどよ部隊は全滅したんじゃなかったか?」
「それがまだ隊長らしいんだ。魔人討伐をやってのけた隊を人数がいないから潰しましたってのはどうなんだって話らしい。それに先日トーナメントでまだしっかり頑張ってるという事も軍関係者達はみてしまったから余計にどうするかを迷っている…って感じだ。」
「…なるほどな。それなら俺は辞めるとかじゃなく移動って形になるのか。」
「それともう1つ。アリシャは英雄と呼ばれ俺は恩人って感じで扱われてる。その2人が新しく部隊を設立したってなったらどうなる?」
「なるほどな…期待の隊…悪くねぇな」
「じゃ、じゃあ!!」
「ああ、それならこちらから頼みてぇぐらいだ!参加するぜ俺は!こんなチャンスそうそうこねえ!」
「よっしゃぁあ!!ありがとう!オリバー!」
ワグモはオリバーの説得に成功し喜んだ。するとずっと黙っていたアリシャが立ち上がり目を輝かせ
「よ、よろしくお願いしますオリバー君!」
「お、おうよろしくなアリシャさん。」
アリシャの輝きに圧倒され少し気弱に返事をするオリバー。するとワグモがアリシャに
「なんでずっと黙ってたんだ?」
「ワグモの方が私よりオリバー君と親しみがあると思ったのでここは任せようかと。結果いい感じに話がまとまってくれてよかったです」
「なるほどねぇ。じゃあ次は頼んだぜ」
「マリーはお任せを!私の交渉術でしっかりとオトしてみせます!」
そこまで聞いてオリバーが
「あいつは気分屋だからな〜どうだか」
そう言い3人で次はマリーの部屋へと向かっていった。マリーの部屋にノックしマリーが
「あっれぇ?どしたの?みんなして」
マリーがドアを開け目にうつった3人に話しかける。そしてアリシャがマリーにの問いかけに答える。
「昨日の話の件できたのですが」
「あー…あれね。ホントに申し訳ないんだけどさすがにそれは…」
マリーがあと少しの所で断りかけた瞬間にオリバーがマリーに対して
「俺は参加したぞ。すっげぇいい話だったからな!」
「ええ?!どうしたのオリバー!警備隊は??なんでいきなり?」
「とりあえず話だけでも聞いてみろって。」
「…そっかオリバー参加するんだ…だったらいい。聞かない。」
「おいおいマリー…」
「オリバーが行くなら私も行くに決まってる!!!」
「はぁ?話は聞かなくていいのか?」
「うん!決めた!後でオリバーが教えてくれたらいい!とりあえずよろしくね!!」
マリーはアリシャ達に向かって笑顔で返事をする。正直マリーの説得は難易度高いだろうと判断していたアリシャ達はその逆のマリーの即決に驚いていた。オリバーを説得はすればマリーは考えなおしてくれるかもぐらいだった為ここまで効果があるとは思っていなかった。アリシャはマリーに
「ほ、本当にいいのですか?せめて話だけでも」
「くどい!オリバーが警備隊辞めていくぐらいならよっぽど!ならあたしも色んな意味で賛成するに決まってます!」
「そ、そうですか。マリーがいいのなら?大丈夫だと思いますろしくお願いしますね」
「それにオリバーだけじゃなくてアリシャも参加するなら楽しそうだしね〜!あっ!もちろんワグモ君もね!スズセシリアさんはあまり絡んだことないからわかんないけど!」
オリバーはマリーに説明した。マリーはその後も意見を変えることなくむしろ目を輝かせアリシャの手を握り
「アリシャと同じ隊か〜!感慨深いね!それにほかのメンバーも濃そうだから絶対面白い隊になるよ!!」
「あっありがとうございます!!私もきっといい隊になると思ってます!頑張りましょうマリー!」
同じく目を輝かせマリーの手を握りかえすアリシャ。そんな2人の光景をみて本当にそんな隊でいいのだろうかと思い男2人はやはり苦労するなと思う。そしてマリーはアリシャに
「隊長!次はどの子を誘いに行くの〜?」
「たっ、隊長…そうですね…グラッツさんはどうでしょうか」
マリーに隊長と呼ばれ少し照れるアリシャは次はグラッツだと言った。ワグモとオリバー、マリーも意外だった。アリシャにワグモは
「アリシャあいつにキレてたから最後にすると思ってた…意外だな」
「確かにやりすぎて口も悪いかも知れませんが…意外と不器用で面白い人なんですよ」
「あいつがぁ?!信じられねえ…」
アリシャのグラッツに対する意外な評価変わりに一同はびっくりしつつも4人は次なる勧誘の対象のグラッツの部屋に向かうのであった。アリシャがグラッツの部屋にノックする。なんの返答もない。自主練前に来ているので部屋内に居ないというのはありえない事でそれを知ってるオリバーは
「ほらみろ…完璧に無視をきめこんでやがる。」
「いえ…恐らくこれはとんでもなく考えてるだけです。」
アリシャ以外の3人はアリシャの言ってることが理解できないでいたが、ガチャっとドアが開く音がしグラッツはでてきた。するとアリシャにグラッツが
「誤解を招くような言い方はやめろ。そして何の用だ。」
「昨日の話、補足があります。それを聞いた上でもう一度考えて欲しい」
「……」
グラッツは黙り込む。それでオリバーはまたカチンとしグラッツに対して
「おい、無視はダメだろ。」
「……」
「お前!!!」
オリバーはグラッツの胸ぐらを掴もうとするがそれの前にグラッツは
「無視ではない。人と人の会話は今後の人間関係に繋がるものだ。真剣に考えているのだ少し待て。」
「はぁ?!」
「………」
「お前…もしかして毎回そんな考え込んでるのか…」
「……」
オリバーはグラッツの思わぬ発言に呆気にとられる。そしてオリバーは
「アッハハハハハ!!まじかよお前!なるほどそういうことかアリシャさん!確かにこりゃ誤解してたわ」
「わっ笑うな!!俺は真剣だと言ったはずだぞ!」
グラッツは恥ずかしいのかメガネをクイッとあげ下をみながらそう言う。そんな彼の意外な一面が次々とあらわになっていくのをみて自然とワグモにマリーも笑顔になっていた。そしてアリシャはグラッツに対して
「話を…聞いてくださいますか」
「……勘違いしたまま断っていたっていうのも感じが悪い。一応全て聞かせてもらおうか」
「感謝します」
アリシャは事細かく正確にグラッツに話した。グラッツはそれを聞いてアリシャに
「………なるほど。いいだろう俺を隊にいれてくれ。」
「えっ!い、いいのですか?!正直かなり望み薄かと…」
「俺達の事情を知っているんだろう。知っていて誘ってくれてるのであれば断る理由などない。」
「た、助かります!!ありがとうございます!」
グラッツも即答だった。グラッツはアリシャや他のメンバーにもよろしく頼むと挨拶をした。アリシャはとても喜んでいた。ワグモやオリバー達も初めこそはどうなるかと思ったがアリシャの言っていた通りの人物だったグラッツに少し安心した。そしてグラッツの説得も成功した上でワグモはアリシャに
「次…だな。誰のところに行く?」
「そうね…グラッツさんがOKしてくれたのはとても嬉しいけれど、そうなった場合…」
そこまで言いかけたところでグラッツが
「問題はカリアーナだろう。間違いなくカリアーナは俺にいい感情を持っていない。腕ポッキリしてしまったしな。会った瞬間にもしかしたらキレられる可能性がある」
オリバーは
「腕ポッキリって…しかも可能性じゃなくて間違いなくお前が勧誘にいったらブチギレるだろ」
そう。グラッツはトーナメント戦の時にカリアーナの腕を思いっきり折っていた。そんな彼がいる隊の話など聞いてくれるかどうかさえ怪しい。だがアリシャはグラッツに
「それでも…彼女もまた隊に入りたいって思ってるはずの1人。グラッツさん分かるよね?」
「……ああ。しっかりとやるべき事はやるよ」
「よろしくね」
そう言い皆はカリアーナの部屋に向かうのであった。カリアーナの部屋にノックをする。意外とすぐにドアを開ける音がしカリアーナはでてきた。だがアリシャ、ワグモ、オリバー、マリー、グラッツのメンツをみて特に最後の人間をみてすぐに扉を閉めようとした。だがその閉まりそうな扉をグラッツが腕でとめカリアーナの方をギョロっとみる。カリアーナはグラッツに
「ひぃいいいい!なっ!なによ!!化物!」
「……腕は治ったのだな。それはよかった」
「お前がやったんだろ!ハル先生とレイン先生が付きっきりで治癒魔法かけてくれたからね!!てかいい加減離せ!」
「……………」
「なんでそこでまた黙んのよーーー!!!」
「ごめん、すまなかった。やりすぎたよあれは。」
「…は?え?、なに?」
「ごめんなさいと言っている。」
「えーー…キモ…なにこれ」
「………」
グラッツの謝罪にカリアーナは気持ち悪さを覚えドン引きの顔をしていた。だがそれを聞いてグラッツは扉から手を離しアリシャ達の方に向きなおりかなり落胆した雰囲気で
「…やる…事は…やった…後は…任せた…」
アリシャは頼んだ事とはいえこうなる事は予測しておらず、カリアーナもこんな傷つくとは思っておらず2人はグラッツに励ましのようなことな言葉をかける。
「う、うん!ありがとうね!とてもいい謝りだった思う!!あ、後は任せて!」
「きっ、気持ちは伝わったよ!嫌いだけど許しはするからよ!げ、元気だして!」
アリシャはグラッツを下がらせた。そしてカリアーナに対し
「いきなりごめんなさい。少し昨日の話で補足したいことがあるの。それを聞いて貰うためにこうすることは絶対かなって思って…話だけでも聞いてくれない?」
「昨日のって…まぁ話だけなら…いいけどさ…」
そう言いアリシャはカリアーナにも皆と同じ説明をした。するとカリアーナは目を輝かせアリシャに
「えっ!!!入る!ぜっーーーーたいっにはいる!!!本当にいいの?!」
「は、はいこちらこそお願いします…ただ仲良くしてくださるのであればですが」
アリシャはチラッとグラッツの方に目を向ける。するとカリアーナはグラッツの方に歩み寄りグラッツに
「よろしく!!!!」
「……あっ、ああ!!」
少し嬉しそうにグラッツは返事をする。アリシャ達はあまりの変わり身に驚いた。アリシャはカリアーナに対し
「い、いいのですか?」
「ええ!夢の隊にもう一度入れるならこんな私情捨てなきゃ損でしょ!」
「そ、そうですか…ではよろしくお願いしますカリアーナさん」
「当然!!こちらこそよろしくね皆!」
そう言いカリアーナは全員に挨拶をしていく。皆も彼女に挨拶をしてそしてとうとう最後の一人となった。ワグモはアリシャに
「後はクロスベルスターだけだな。」
「そうですね…こちらはワグモが説得した方が良さそうですね。」
「ああ、じゃあ行こうか」
アリシャ達は最後の1人のクロスベルスターの部屋に向かった。ノックをしてクロスベルスターはすぐにでてきた。そして昨日のメンツのほとんどがいる事に気づきワグモに
「これは…一体どうゆう用事で?」
「昨日の話。少し補足があるんだ。それを聞いた上で決めて欲しい。」
「……なるほど。それでこうなった訳ですか。彼らがOKしたのであれば相当なもの。よろしいきかせてもらいましょう。」
ワグモはクロスベルスターに同一の説明をした。クロスベルスターは少しの沈黙の後に
「素晴らしい!そんな待遇で再び隊に戻れるならこれ程嬉しいことはない!是非とも私をいれていただきたい!!」
「本当か!!助かる!!」
クロスベルスターもかなり説得には苦戦すると思っていた為ワグモは安心した。そこでクロスベルスターがアリシャ達に
「スズセシリアはどうなったのだ?ここには居ないようだが。」
「スズセシリアは今ある人達を連れてくるように頼んであるんだ。」
その質問に対してワグモが答えた。するとカリアーナがワグモに
「ある人たち?」
「お待たせーー!!!!!」
カリアーナがワグモに質問をしようとしたが、そこで答えが向こうの方からやってきた。廊下奥からスズセシリアが2人を後ろに連れてやってきた。レイン先生とハル先生だった。アリシャ以外が驚く。スズセシリアは皆のいるクロスベルスターの部屋前まで来るとワグモに
「この様子だとうまくいったんだね!!」
「ああ!びっくりするぐらい皆OKしてくれたよ。昨日のが嘘みたいに…それとなんで先生達を?」
「あはは、ごめんごめん。昨日のアリシャさんと部屋に戻る時こうしてもらった方がすすめやすいって頼まれちゃって!これでいいんだよね?アリシャさん!」
そうスズセシリアはアリシャにきく。アリシャは先生たちの方を向いて
「はい。これで準備が整いました。」
そうしてアリシャは先生達に向かい話を始める。
「師匠、そしてハル先生。私達は今この時をもって修練場を辞めさせていただきます。理由としては私隊長アリシャコルデーはワグモカズキ、オリバー、マリー、グラッツ、カリアーナ、クロスベルスター、スズセシリアを隊にひきいれ部隊として復帰し活動していくことを決めたからです」
アリシャは師匠、ハル先生に向かいそう宣言した。先に口を開いたのはハル先生だった。
「…確かにアリシャちゃんはまだ隊長だったね。でも!本当にそれでいいの?ここに来たのは変わるためだよね。仲良しさんをみつけるためではないでしょう?それで皆は今そうやって勢いで決めて後悔しない?」
ハル先生は全員の目を少し怖さを覚える目つきでみわたした。だが皆の顔色は一切変わらない。迷いもない。むしろ自信に満ち溢れていた。ハル先生はそこでこれ以上の試しは意味無いと感じ
「そう。私から以上。皆頑張ってたもんね…ずっと頑張ってね!」
ハル先生はそう皆に伝えた。続いてレイン先生がアリシャに
「突然やってきたと思ったらまたとんでもねぇ事していっちまうもんだ。アリシャ…てめぇはこれでなりたいもんなれんのか?」
「なれるなれないは分かりません…ですが今度こそは、もうなにも失わぬようただひたすらになりたいモノを見据えてまた1から頑張ろうと思っています!」
「そうかい…ならいい。後はてめぇら。本当にこれでいいんだな。」
レイン先生も、また皆をみる。だが誰一人この選択を迷ってるものはおらず
「…ったくやっとでていくのか。1部のバカのせいでトーナメント戦は毎度毎度出場者が同じで困ってたんだ。ようやく解放されるな。」
レイン先生はそう言いニッと笑いアリシャ達に
「死なねぇ程度に頑張ってこいよお前ら」
それは認めるということだった。皆は喜んだ。ここの生徒としている以上先に先生達に許可をとることは絶対だった。そしてハル先生が喜ぶアリシャ達に
「んじゃあまぁ寂しくなるけど、城にはあたし達から連絡をいれておくよ。明日にでも皆で城に行き報告してくるといいよ。」
「あっ!ありがとうございます!!」
アリシャはハル先生に感謝する。そうして2人の先生は去っていった。そして興奮している中でアリシャは冷静になり皆に
「と、とりあえず!みんな明日の用意!!服はこの制服でいいと思うけど!この事を連絡するような人がいる人は今すぐ各自やること!!」
それを聞いた皆は急に現実に戻されワグモとアリシャ以外はすぐさま慌てて部屋に戻っていった。ワグモはアリシャに
「オリバー、マリーはともかく皆、、本当に隊として活動したかったんだな…あんな我の強い人達がこんなにもあっさり了承してくれるなんて」
「憧れてなったものを追い出されたんですよ?そりゃもうとんでもなく悔しかったに違いありません。」
「そうだな…すっげぇ喜んでくれてたしスズセシリアに感謝だな」
「ええ、本当に。私もまさかまたこんな状態で隊長として復帰できるとは思ってませんでしたよ。複雑な気持ちですが正直嬉しいです」
「俺も…なんかすっげぇドキドキしてきた。」
「ふふ、本当にあなたと出会ってからの時間はとても濃いものでしたからね」
「ああ、やっと落ち着いたって感じかな」
「何をゆうんです。隊ですよ?国外遠征とかもありますし」
「分かってるってー。てか俺達って騎士団ってことになんのかな?魔法使いとかいっぱいいるけど」
「どうなんでしょうね…まぁ明日分かりますよ」
「そうだな…明日このメンバーでどうなっているか楽しみだな」
「ええ本当に。…それでは私もそろそろ戻ります。」
「あ、ああ!また明日。」
「ええまたあした。」
そう2人は別れ各々が明日の突然決まった隊結成の日に備えることになった。
修練場から少し登った所に王のいる城がある。そこの入口の門前にアリシャコルデー、ワグモカズキ、オリバー、マリー、スズセシリア、カリアーナ、グラッツ、クロスベルスターの計8人が並んで立っていた。アリシャコルデーが門前の警備の人間に
「すみません、今日予約してるアリシャコルデーなんですが」
「ああ、ではどうぞ。」
ワグモはそんな感じで王の城に入れるんだと思っていると警備の人間が門に触れた瞬間に門が星の模様を描くように青く光る。数秒光った後にドアは自動にギギギと少しでかい音をたてながらゆっくりと開いていった。門が開いた先には1本の50mほどの城に続く1本道があった。アリシャコルデーは1度振り返り皆に手を振りその道を進んで行った。それをみていたオリバーとマリーが
「あーあ、入ってみたかったなぁ王城。」
「ねーー!少し楽しみにしてたのにー」
それに対しクロスベルスターがオリバーとマリーに説明する。
「王城に入れるのは大臣や参謀。それに隊長だけだからね。私の家もそれなりの名家だがいれてもらえない。それだけ厳重なのさ。まぁそれ抜きにしても武装してる僕達じゃどっちみち入れないよ。」
ここに来る前にアリシャコルデーは皆にこの事を説明していた。スズセシリア、カリアーナ、グラッツ、クロスベルスターは元々隊にいた為この事を知っていたが警備隊だったオリバーとマリーは知らなかったようだ。もちろんワグモカズキも入れると思っていた1人なので少し残念だったが。あと何故武装用意してくるように頼んできたのは謎だった。ワグモカズキは
「大丈夫だろうか…何事もなくいけばいいんだけど」
と呟くがそれにクロスベルスターが
「少し問題児が多いだけの隊を作るだけさ。何も心配する事はない。」
そう心配しているワグモにクロスベルスターがそう言う。彼なりの気遣いというやつだろうか。ワグモは素直に
「そうだな。ありがとう。」
「気にする事はない。大人しく待とう」
そんな会話して待つこと数十分。門が再び開かれた。今度は内側からだ。皆はアリシャコルデーが戻ってきたと思い門に駆け寄る。予想通りアリシャコルデーが戻ってきた。カリアーナとスズセシリアがアリシャに対しつめより
「ど、どうだった?!」
「アリシャさん!どうでしたか??」
何故か顔を逸らし何も答えないアリシャ。グラッツが不審に思いアリシャに
「なんだ?まさかダメだったのか?」
皆の顔色が変わる。やはり1度目をつけられたもの達を隊に入れるのは厳しいのかと。するとアリシャコルデーが胸前で手をモジモジさせて申し訳なさそうに
「ち、違うの!正式に認められたんだけど…ね、そのーーなんといいますか」
その言葉を聞いて皆の顔に活気が戻る。カリアーナとスズセシリアがアリシャに
「なによもう!ビックリさせないでよ!それで!どういう役割の隊になったの?」
「魔法使いもいることですし!ただの騎士団という訳にはいかないでしょうし!」
皆の目には輝きがあった。ワグモもまた自身が騎士団の隊に所属した事になったのがこれぞ異世界とゆわんばかりの事で興奮していた。そしてアリシャコルデーはそんな皆の視線から目を逸らしモジモジしながらどうゆう部隊になったのかを発表する。
「我がアリシャ隊は…その…魔人偵察及び討伐隊となりました……」
皆の想像を軽く超えてきたその発言にワグモカズキ、グラッツ、クロスベルスター、カリアーナ、スズセシリア、オリバー、マリーは同時に叫ぶ
「はあああああああああ?!」
続いてワグモがアリシャに
「魔人偵察及び討伐隊?!どうゆうこと?!」
アリシャは事の経緯を説明する。
「えっとね、王城に入って王と参謀がいる部屋に案内されてそこで発表があったんだけどね。わ、私はちゃんと言ったんだよ?!魔人討伐を手助けしてくれたワグモ及び修練場で激闘をくりひろげた参加者達。その者達は皆、隊を失った私の隊に入り国に貢献したいと言っています!確かに一度は問題行動をおこし隊を追放された者達ですが実力は本物です!少数精鋭として隊の復帰を認めていただけないでしょうかって!ちゃんと言ったんだよ?!」
それを聞いて皆思った。隊復帰に使った理由が仇になったと。アリシャは続ける。
「そしたらさ参謀が拍手してくれて…国を襲おうとしていた魔能持ちの魔人を討伐した英雄2人が、修練場で荒くれ者達を更生させ隊に雇い隊復帰志願…つまり!魔人討伐に再び出るということですね!!なんて言われちゃって…」
全員の顔が一気にひきつる。ビックリする程の嫌な役割を与えられ隊だと皆が分かっていた。アリシャコルデーは最後に
「そしたら王様も感心したなんて言い始めちゃって…そのまま流れでこうなっちゃいました…」
アリシャコルデー含む全員が気持ちをおとしていた。するとマリーが皆に
「で、でも!魔人偵察及び討伐ってさ目撃情報とか噂とかなければ何も仕事がないわけじゃん??ポ、ポジティブにね!!」
「お、おお!そうだな!そうだ役割だけみたら貧乏くじ引いた感じしたけど冷静に考えたらそうだよな!!」
マリーの言葉にオリバーが反応し皆も必死に確かにと頷き現実逃避を試みるがアリシャコルデーはさらにモジモジしながら制服の中から紙を取り出す。全員が嫌な予感がした。ワグモカズキはアリシャコルデーに
「えーーと、アリシャさん…それは一体……」
「亜獣国ギガントより、魔人による攻撃を受けてる可能性あり。至急応援求む。って書かれててさ、ついさっきなんだってこれ届いたの。いきなりの初任務で悪いんだけど今から行きます。」
全員の顔がさらにひきつりまたもや叫ぶ
「今からああああああああ?!」
すると門から8頭の馬が走ってきてアリシャコルデーは本当に申し訳なさそうに1頭にまたがり
「ご、ごめんみんな!至急らしくて!聞きたいことは向かいながら聞くから!ついてきてーーー!!」
「はあああああああ?!」
皆も急いで馬にまたがりアリシャコルデーの後をおう。こうして復帰した新生アリシャコルデー隊による初陣が決まった。ワグモカズキはようやく安定してきていた異世界生活にヒビがはいる音が聞こえ
「またスタート地点に戻ろうとしてないかこれ……」
と1人馬にのって駆けながら不安と不満がまじった事を呟きながらも、ギガントでお世話になった人たちを思い浮かべ久しく思い、一緒に向かってる焦ってるメンバー達をみていつの間にか不安や不満は消え
「でも…まあ…このスタートは悪くないかな!」
と1人笑い、2度目の亜獣国ギガントへ向かうのであった。
読んでいただきありがとうございます!!こちら第1章20話は1章の最終話となっております!ご評価等もあればよろしくお願いします!!




