10 憧れた異世界生活?
戦いが終わり遂に平和な時が訪れた。そして念願の人の国での異世界生活が始まろうとしていた?
目が覚める。知ってる天井だ。これだけ特徴的な部屋を間違えるはずもない。
「アリシャの家か。今回もまた意識を失ったな…。ここ最近根詰めてたからなぁ。」
するとドアが開きアリシャが入ってきた。
「入ってもいいか?」
「親切心で教えやるけど何もかもがおかしい。」
そんなやり取りをしていてワグモは違和感に気づく。アリシャは何か学校の制服らしき服を身につけていた。
「……鎧以外の服だ。」
「そんな四六時中つけてるやつがいるか!」
「すげーーかっこいい。」
「まぁ……なんだ。自分がどうゆう者か分かってもらえるものだからな。ワグモだってギガントの服だったろ?」
アリシャは少し照れ気味になる。ワグモは
「あぁなるほど。あっ、あの後どうなったんだ?」
「魔人は死んだ。それと君を背負って帰りました。道中、討伐隊が全員殺られてるのも発見した。帰った後、国王達に報告をし魔人は生死の最終確認をされ埋葬されたわ。そして君はここで治療。国王達は物凄く感謝していたわ。伝えといてくれってさ。」
「そっか……それは良かったよ。…やっと終わったんだな。」
「ええ。それで?」
「え?なに?」
「やる事あるんじゃないの?」
「あーーーー!!!そっか!人の国の案内!!約束守れよな!」
「だから言ってるじゃない。それなら私の着ているこれに着替えてもらうわ。」
「おお!了解了解!!」
「なら外で待ってるから来てちょうだいね。」
「おうよ!!!」
ワグモカズキは心機一転し期待を膨らませる。すぐさま着替えて屋敷外にでる。アリシャが待っていたので声をかける。
「悪ぃ待たせたか!」
「……。そんなによ。中々似合ってるじゃない。」
「お、おう。ありがとよ。」
2人して少し照れアリシャは歩き始める。ギカントはシンプルな町の構造だったがここは全く違った。屋敷の外は家だらけだった。
「すげーーな。」
「ああ。ここは家が建ち並ぶ場所だからな。簡単に説明するとここは中間。下へ向かって少し歩けば、食べ物や武器が売っている屋台がたくさんある。そしてここの少し上が城だ。」
ワグモカズキはこっからでも見える城と城下町をみて。
「はぁ〜〜。これだよこれ。俺が求めてた場所。すげーーーー!!!」
「よし。どちらから行く?」
「うーーーんまずは食べ物屋さんとかみてまわりたいなぁ。」
「では行こう。」
そうしてアリシャコルデーとワグモカズキは下の町に行き食べ歩きをした。異世界の食べ物はどれも現代の物のような見た目と味でどれも美味しかった。
「なんか悪ぃな。買ってもらって。」
「気にするな。約束だからな。」
木陰にあったベンチに座り休憩がてら話す2人。
「食べ物どれも美味しかったよ。町も賑やかだし。」
「ふふ。気に入ってくれたのならなによりだ。」
「そりゃあもう!……なぁもうひとついいか?」
「言ってみろ。」
「鍛冶屋ってさどんな所なの?」
「武器を作ったり売ったり…そのまんまの場所だが?」
「ジーーーーッ」
「寄りたいのか?」
ワグモカズキは目を輝かせコクコクと頷く。アリシャは何故か薄気味悪くニヤッと笑い
「ええ。いいですよ。是非行きましょう。」
「やったァァァ!!」
そうして近くの鍛冶屋に入店する。中には剣、盾、弓矢、槍などがあった。
「うおおおおおー!!すっげーー!!ファンタジーだぁぁあ!!」
「ぷっ、アハハハ。余程好きなのだな。」
「俺のいた世界じゃこんなとこ有り得ねぇからな!男のロマンだ!わぁぁあ!!」
「ふふ。これより便利なものを持っておいて必要か?」
「そう理屈じゃねえんだよ。心をこのグッと掴まれる感じ?最高だよ。ん?この剣のツバ?みたいな所に埋め込まれてる色のついた石はなんなんだ?」
「ああ、それは一定量の魔力が込められた魔石だよ。色は属性を表している。」
「へーー、もしかして誰でも使えちゃうみたいなやつ?」
「ああ。その石は半分しか埋まってないだろう。そこを最後まで押し込むと精霊使いや魔法使いでなくても色にあった属性を纏うことができるんだ。ただ一定量しか入ってないから頻繁に使うとなると交換しなきゃいけないから出費が凄いけどね。」
ワグモはアリシャの炎の精のまといを思い出し、目を輝かす。するとアリシャはまたニヤッと笑い
「何か一つなら良いぞ。」
「え?!俺みたいな一般人も買えちゃうの?!てかいいの?!」
「君はもうこの国を救った戦士みたいなものだよ。何も気にする事はないよ。それに……ふふ。」
「そっか!OKか!てか、んん?さっきからニヤニヤしすぎじゃねえか?」
「そっ、そんなことは無いぞ?!さっ、さぁ何を買う!」
「……。水の石って何ができんの??」
「押し込んで剣を前に突いたら勢いの強い水がでる。もしくは振ったら水の斬撃がでる。」
「よし……これに決めた!!!」
「水か。意外だな。君の力を考えれば炎や雷で火力を高めのかとてっきり。」
「ふっふっふ。これ量は少ないんだろ?だったらこれが一番だよ。」
「そうか。君がそう決めたなら何も言わない。それ買おう。」
「ありがとぉぉぉおおおおおお!!!」
店を出てワグモは腰に剣をぶら下げ、ご機嫌だった。アリシャはそれをみて
「さまになってるじゃないか」
「そ、そうかな!いや〜楽しいな異世界!」
「…。大丈夫か?」
「ん?なにが?」
「魔人とはいえ殺したのだぞ。平和のとこから来たのであろう。」
「何も気にしてないって言ったら嘘になるけど大丈夫だよ!もう覚悟決めたからさ、この世界でバッチシやってくって。」
「うむ!!それを聞けてよかった!!少し案内したい所があるんだ!」
「おっ!なになに!!」
町から上を歩いて中間地点をこえ城より少し下のところにあるデカい4階建ての綺麗な建物に着いた。立派な門前。
「アリシャここは?」
「私がかよっていたところだ。」
「かよってた??」
すると、アリシャは何も言わず門を開き中に進んでいく。ワグモもそれについていく。ドアの前でノックをし
「先生、アリシャコルデーです。」
「先生??」
するとドアが内側から開けられ1人の男が現れる。身長が高くグレーの長髪に左側に眼帯そして少しヒゲがある。また服装は同じような服だった。
「ここを辞めたお前が何しに来た。」
そう言われるとアリシャは頭を下げ
「ご無沙汰してます。お願いがあって参りました。」
「お願いだぁ?」
「待って、話についていけてない。」
ワグモは困惑する。するとアリシャが
「ここはこの国を守りたいと思うもの達が集う修練場です。」
「修練場?!なぜ?!」
先生と呼ばれていた男がワグモに
「あぁ、なるほど。そいつが国王達が言ってた魔人殺しの英雄様ってやつか」
「英雄だなんて〜そんな〜」
ワグモは少し照れる。そしてアリシャに
「でも、なんで俺をここに連れてきたかったんだ?」
「私達をここにいれてください。」
「は?!なんで?!」
「君も感じたでしょう実力不足を。それにあなたは1文無し。ここは国の為に修練する場です。色々な施設があり住み込みでやらせて貰える。今のあなたに必要なものが全て手に入ります。」
「いや待って?!俺兵士になりたい訳じゃないからね?!」
「なら、ここで何も分からない状態であなたはどうするのですか?自分の力を最大限使って暮らしたいとおっしゃってましたが、その暮らしがしたいならここが1番ですよ。それに剣も買ってあげたじゃないですか。」
「そうゆうことだったのか!!そして何から何まで正論すぎて言い返せない……」
「安心してください。私も一緒にしますから。それにあなたの力は多くの者を導くはずです。私は信じてる。だからあなたも私を信じてみてくれませんか?」
「うぐっ……あっーー!クソ!やればいいんだろやれば!」
「おおっ!ありがとうございます!それでこそワグモです!!」
(ああ、俺の平和な異世界生活はどこに、、)
若干の巻き込まれ事故のような気もするがワグモカズキはアリシャコルデーにしてやられたのだった。すると先生と呼ばれていた人が
「……ここは修練場。1度どっか行ったやつも初めてのやつも歓迎だ。とりあえず中に入れや。まずそっから説明だ。」
「あっ、ありがとうございます!」
「よ、よろしくお願いします」
アリシャコルデーとワグモカズキは各々、頭をさげ礼を言う。
先生がドアをおさえ2人が中に入る。中には真っ白のだだっ広い空間が広がっていた。ワグモカズキは真ん中の方に走って進んでいき
「おおおおおおおお!!本格的だ!!すげぇ!!」
アリシャは
「ワグモ!はしゃぎ過ぎるなよー!」
アリシャも向こうの方に走って向かおうとするが、後ろから肩を掴まれて止まる。止めたのは先生だった。
「先生?」
「全部聞いた。ここに来るのは勝手だが…お前心の方は大丈夫なのか?」
「…。大丈夫です!それに私はもう前を向いて生きてますよ!」
先生と呼ばれている男は驚きの顔をし
「そうか。ならビシバシいくからな。あの男もだがお前も覚悟しておけ。」
「はい!!また!よろしくお願いします!!!」
アリシャはそう言うとワグモカズキの方へ走っていった。先生は目の前ではしゃぐ2人の姿をみて
「その感じで周りともうまくやれよ新人共。じゃねえと……」
男はそこで言葉をとめ、少し笑みを浮かべ彼等の方へ歩み寄っていった。
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