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それは青春でした!  作者: 雨森晴
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ーーさて、唐突だが事件は朝にまで遡る。




 私立東雲学園。

衣織達が籍を置くこの学園は下は幼稚舎、上は大学院とここだけで学問の全てが修められる一大学園都市である。

 その広さは某有名ドーム18個分。とある夢の国とどちらが土地が広いかは……G○ogleにでも問い合わせて貰えたらいいだろう。暇な人は。もしかしたら案内が出るかもしれない。多分きっと、おそらく。

 ちなみに広大な敷地のなかには何故か何に使うのか分からない施設や、野菜を収穫できる畑、その他にも地図にも記載されていない不明瞭な区域も存在するので毎日ちょっとした冒険気分が味わえるし、冒険気分を味わい過ぎた結果、迷子になって一週間帰ってこない者もいた。ちょっとしたサバイバルだ。学園の中なのに。おかしい。

……それはさておき。



 各々の校舎の間には大きな食堂とカフェテラスが点在しており、各々で好きな場所でご飯を食べることも出来る。

他にはこの学園の大きな特徴としては、動物園で扱ってそうな動物の餌や、無駄にご立派な工具セットや美容師用のハサミなど、一介の購買部では太刀打ち出来ない品揃えを誇っているとても大きな購買部があることだろう。

噂によるとそんじょそこらのホームセンターなどよりは品揃えが良く、敷地面積も広いらしい。

 そんななかなか珍しい学園にようやく慣れてきた衣織は今日ものんびりとした足取りで歩いていると、校門前に人だかりが出来ているのを見て衣織は首をひねった。

何かあったのだろうか?

また理事長のはた迷惑なお遊びか?

この学園の理事長はとても風変わりな人で面白そうなことがあれば直ぐに実行するというなかなかはた迷惑な性格をしてらっしゃる。

それによって授業が遅れることに何度担任の先生が泣いて腹を痛めていることか。

ここが私立で楽しんだもん勝ち! なんて校風だから許されているけど普通の学校では有り得ないだろう。

それでも学力もスポーツも有名で様々な業界に優秀な人材を排出する実力校というのだから理事長の方針は間違ってないのだろう。多分。

そしてそんな理事長のはた迷惑なお遊びが決まるとほとんどの生徒が通るとされる校門前に設置されている掲示板に通知が掲載されるのだ。

 前までは各校舎の昇降口前に貼ってあったらしいが、限りない理事長の思い付きがある度に張るのがめんどくさくなってこうしたらしい。

今日もその類なのだろうと思いながらも人だかりを掻き分け掲示板の前へと飛び出た。

「えっと……なんだって?」

 そこにはなんということでしょう、とあのかの有名なあの声優さんの声でお伝えしたい、びっくりなことが掲示されていた。

 十年以上前に廃れたんじゃなかったっけ? と聞きたくなるようなギャル文字? で大きく文章ががかれていたのだ。

「えー……ん?」

 四苦八苦しながらも衣織が何とか解読するとそこには『放課後の魔術師へ! あたしをあの人に見合う学園一の美少女にしなさい! 中等部2年5組都月ましろ』と書いてあった。

 …………。

 とりあえず冷静になろうともう一回読む。やっぱりそう書いてある。……気がする。

「……なにこれ」

――放課後の魔術師?

――何それ?

 ――ほら、七不思議の。

 と、生徒の疑問の声がざわめきとして沸き上がる。

 それもそうだろう。

 放課後の魔術師は七不思議の一つだ。

 ただの噂。学園に長年伝わる誰が作ったか分からない法螺話。

 ぼんやりと掲示板を見ていると、衣織ちゃんと肩をポンと叩かれる。

はっと睨みあげるように顔を上げるとそこには見慣れた顔である悠斗がにっこりと微笑んでくれていた。

「あっち行こう、邪魔になってるよ」

ね、と穏やかに告げた悠斗は衣織を引っ張り人だかりを抜け出す。

それから、ちょっとおいで、と衣織は美化委員の主な活動場所である化学室まで引っ張られ、その中に待つ里中澪先輩におはようとやけに場にそぐわない挨拶を貰ったのだ。







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