5日目
神本がスーツの男たちに連れて行かれた翌日
「お前、なんで昨日呼ばれたんだ?ってか、お前の立場を教えろ!」
神本の襟を掴むと前後に振りながら神本に迫った。
「どうしたんだよ守谷くん、そんなに慌てないでよ….そうだなぁ、僕はこの世界の大魔導士として存在してるよ、、、クヒヒヒヒッ….」
「ずるいぞ!! 俺にもその役させやがれ!」
「そんなこと言われても、この世界作る時にもかなりの労力かかったってのに…」
「知らねぇ、俺の存在だけ、大魔導士に変更するだけだ! 簡単だろ!」
「そうか….それくらいだったら簡単だね!」
「やってくれるのか? 頼むぜ、神本!!」
「任しといてよ、その代わり、元々の野球部の部室でやりたいから夜の10時に集合だよ」
「分かった。」
一度家まで帰った守谷は校内に忍び込むと部室の前までやってきた。
「本当にいるんだろうなぁ」
ゆっくりとドアノブに手をかけ回すと、鍵が開いていた。
「疑うなんて、悲しいよ守谷くん」
「そ、そうだな悪かった」
神本はまたしても大釜をかき混ぜている。
前回の魔法の世界になってしまった時と同じ状況だ。
「それで? 俺はどうしたらいい?」
「とりあえずは、部屋にいてくれれば良いから、そこらへんでゆっくりしててよ」
「分かった!! 頼むぜ!」
部室内に設置してあった、簡易ベンチに寝転がると、時間まで寝ていようかとゆっくりと瞼を閉じた。
「うわっ!思ったよりも寝ちまったか?」
朝陽が窓から差し込んでいることを確認した守谷は思ったよりも寝てしまっていたことに動揺したが、大釜があった方向を見ると、神本はまだ作業中である。
「ようやくできそうだよ、遅くなっちゃったけど、間に合ってよかったよ!」
「そうかそれはよかった。そしたらあの時みたいにお前に俺の名前を呼んでもらえば良いのか?」
「ううん、今回は少し違うんだ。僕だけじゃ足りそうになかったからこの時間までに間に合わせたかったんだ」
「どうゆうことだ? 」
「今、朝礼のために体育館に生徒が集められている。舞台の上で俺は大魔導士の守谷だって叫んでみてくれ、君の存在を定着させるために数多くの人に伝えなければこの世界観は完成しないんだ…」
「分かった、やってみる」
神本を引き連れ、守谷は体育館までやってきた。
普通に入ると注目を集めてしまうので、裏口からの潜入だ。
「良いかい?守谷くん、僕が体育館の電気を一瞬切るから、その後に一気に舞台に上がって叫んでくれ! そうして君が大魔導士になるんだよ!」
「分かったぜ、やっぱりお前は良いやつだな、俺のためにここまでしてくれるなんて…..」
「親友だろ、僕ら….クヒヒヒッ…..」
「お前のその笑い方、前から気持ち悪いと思っていたが、今思うとそんなことなかったな…」
よくわからない挨拶と共にグータッチを交わすと、神本は舞台の袖に向かう。
校長の挨拶が終わり、袖にはけると体育館の電気が落ちた。
生徒たちに動揺が走っているが、その隙を見て守谷は舞台に上がる。
舞台の中心に、守谷が着くと共に電気がつくと守谷は叫んだ!!
「”俺が”今日から大魔導士となる守谷だぁぁぁぁあああああ!!!!」
…………
………..
………..
「何をやっている!! 今すぐ舞台から降りろ!!!!」
かなり怒りがこみ上げている亀井先生は、顔を真っ赤にしながら舞台に上がると1週間の謹慎では足りなかったようだなと言うと、舞台上の守谷を引っ張っていく。
「い、いや、俺は大魔法使いになりたかっただけで…..」
「バカを言うな、何を言ってるんだお前は、魔法など、あるわけがないだろう?」
「は? 魔法でサッカーしてたじゃねーか」
「そんなことは、漫画やアニメの世界だけだ….」
どうしたら良いか分からない守谷は、頭をフル回転させると神本にテレパシーを送った。
「(どう言うことだ? 普通に怒られてるんだが、助けてくれぇぇ)」
「(ごめん守谷くん、君を大魔導士にする事だけ考えてたから、魔法が使われない世界に戻っちゃってたみたい….)」
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
守谷の悲痛の叫びが体育館に響き渡った….
これにて、魔法世界編?終了です
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