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けもゆりものがたり  作者: そっぽ
3/9

【第3話】ねこみみ

次の部屋は、おもちゃのようなものがたくさんある部屋だった。


ボルダリング用の壁、大きなジャングルジム、

それからいたるところに置いてある箱。

ボールや、ねずみのぬいぐるみ、羽など

いろんなものが散らばっていた。



「お~い、ねこちゃん!」


うさぎさんがジャングルジムに向かって大きな声を出す。

するとトサリ、と誰かが落ちてきた。


「きゃあ!」


びっくりして思わず声を出してしまう。


「んにゃ・・・なんの用?」


黒い猫耳をつけた(・・・もしくは本当に猫耳が生えている?)

女の子が現れた。

薄い水色髪のショートカットで、顔横に細く髪を垂らしている。

服装は黒っぽくて、動きやすそうなものを着ていた。

全体的にボーイッシュな出で立ちだ。


どうやら、この女の子はジャングルジムに登って遊んでいたようだ。

女の子がぶるぶると体を震わせると、

小さな羽や葉っぱが辺りにひらりと舞った。


「アリスを連れてきたんだ!」


うさぎさんが自信満々といった感じで言う。


「ふ~ん、キミがアリス?」


「う、うん。あなたは?」


「みーは、ねこだにゃ」


舌っ足らずな声で答えが返ってきた。

喋り方も猫っぽい感じだ。


「アリスっていい匂いがするにゃ」


ふんふんと顔を近づけられる。


「な、なんの匂い?」


「・・・わかんにゃい」


ねこさんは、そう答えると私の顔をじっと見つめた。

黒っぽくて大きな目が私を捉える。

なんだかドキドキしてしまう・・・。


「ねこさんは、なでてって言わないんだね」


うさぎさんが不思議そうに首をかしげて言った。

ここの人たちは、耳を撫でられるのが好きなのかな?


「みーのこと、撫でたいの?」


「えっと・・・」


私がなんと言っていいかわからず、言いよどんでいると


「撫でてくれてもいいにゃ」


ねこさんがずいっと頭を差し出してきた。

とりあえず、うさぎさんにしたように、

ねこさんの耳も優しく触ってみる。

真っ黒な細い毛並みが手になじむ。


ごろごろごろ・・・


ねこさんが喉を鳴らす。

表情が見えないからわからないけど、

気持ちいいのかな?


「アリス、なかなかうまいにゃ・・・」


満足気にねこさんが言った。

よかった。ほっと胸をなでおろす。


「次はお腹を撫でるにゃ」


ばっ!とねこさんが自分の服をめくる。

白い肌と、小さなおへそが見えた。


「な、なにしてるの!?」


私は突然のことに、

びっくりして思わず目を覆った。


「撫でるにゃ~!」


ねこさんが地面に寝っ転がる。

マ、マイペースな子なのかな。


「ねこちゃん、ストップ!

 ボクよりも撫でられちゃだめだよ!」


うさぎさんがねこさんを止めてくれた。


「うるさいにゃあ・・・うさぎは独占欲が強いにゃ。

 もういいにゃ」



ぷいっとほっぺを膨らませ、すねた顔をしたまま

ねこさんはジャングルジムのほうに走っていった。


「ね、ねこさん行っちゃったけど・・・大丈夫かな」


「大丈夫だよ!ねこちゃんは気まぐれだからね。

 次の部屋に向かおうよ!」


「う、うん・・・」


ジャングルジムの奥に、ドアが見えた。

次の部屋にも、けもみみの女の子がいるのだろうか。




「もう行くのかにゃ?」


ねこさんがジャングルジムの上からひょっこりと

顔をだして言った。


「この先は危険なだから、

 気をつけたほうがいいにゃ」



どうやら、私達に忠告をしてくれているようだ。

ねこさんっていい子なんだな・・・。



「うさぎは臆病者だから、アリスのことにゃんて

 守れないだろうし」


ねこさんは、にやりと意味深な笑顔を見せた。

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