六章〜誕生〜
なぜだか、学校がすごく久しく感じる。それもそのはずか…ここ最近の俺の生活は……
入院→三日たつ→退院→意識飛ぶ→入院→十日ぐらいたつ→退院。
という生活だ。入院しすぎだろ。
さすがに体力が落ちるな。走れないよ、こんなに。
……どうして走っているかって?それは…
「はぁ…っはぁ…。な、なんで、俺がっ追われるんだ?」
俺は今学校の中をある奴に追われている。
なぜに昼休みで体力を使わんといかんのだ。全く休ませてくれよ。俺はそう思った。
そんなことを思っていると、後ろから声が……
「待ちなさい!勇刀!」
「くぅ!捕まってたまるか!!」
俺は逃げる。阿神華奈から……。
なんで追われているんだろうか?俺が飯を食おうとしたら近付いてきて、嫌な予感がして逃げだして。そんなやりとりの後こうなって。
ってはやく逃げないと!
そんな時、後ろからくる阿神に気を取られていた俺は、目の前の人物に気付かなかった。
ドーン!!
「うわぁ!?」
「キャア!?」
派手にぶつかってしまったようだ。
…ってなんか聞き覚えのある可憐な声だな。……まさか!?
「いた〜い!あう!?佐神君!?」
田神さんだ。やってしまった!またまた田神さんに迷惑をかけてしまった。
「わああ!田神さん、大丈夫!?」
「あ…。う、うん。私は大丈夫だよ。舞は?」
(まぁ大丈夫だよ。)
………あれ?ちょっと待て。今声が?
「あれ?ま、舞!?」
田神さんは困惑している。それもそうだろ、俺だってびっくりしている。なぜなら…。
俺の身体に二つ目の魂を感じるからだ。
(もしもーし!なんで私が佐神の中にいるの!?)
「俺にきくなよ!」
「えっ!?舞、佐神君の中にいるの!?」
「どうやらそうらしい。」
一体どうしたものか、精神が入れ代わるなんていうのは聞いたことがあるが、片方にだけ精神が移るなんて聞いたことがない。どうしたものか…。
(まぁ、いいじゃん。別に私は困らないし。)
なんてことを言っているんだ。みろ田神さんも困っているぞ。下向いてるじゃないか。
「……いいな、舞。」
「え?なにか言った?田神さん。」
「なんでもないよ!!」
「………??」
(ニヤニヤ。)
「なに笑ってんだ?躱神。」
(なんでも♪)
「?????」
なんなんだ一体。田神さんも躱神も少しおかしいぞ。
いや俺が落ち着きすぎているのか?
どうせすぐには戻らないと思うのだから慌てたってしょうがないだろう。
「勇刀〜!!」
しまった。奴を忘れてた。
でも、俺は昼休み終了チャイムまで逃げることができたけどね!
へとへとな身体で俺は五限目を受けた。疲れていたから、寝て過ごそうとしたのだが……。
(起きろ!佐神!!)
「わかってるよ……。はぁ。」
こんな調子で躱神に起こされ続けている。
「よし。じゃこの問題を……佐神。といてみろ。」
「へ?は、はい!」
なんだよ、もう。えーと……
「Xに216の二乗分の23を代入して……、そうして角aのsin53゜をつかって………、答えは13.952です。」
「ん。正解だ。」
(……佐神。案外頭いいんだね。)
「知らなかったのか?俺は学年で上位3位をキープしてんだぞ。」
(そんな、まさか美香を越えているなんて…。美香でも23位が限界なのに。)
確か俺らの学年は300人いたな。へぇ田神さんやっぱり頭いいんだな。
(…めちゃくちゃ嫌味に聞こえる。こいつ多分悪気ないんだろな。知らないとこで敵をつくるタイプだな。)
その後の授業はスムーズに進んだ。と思う。あぁ眠い。
キーンコーンカーン♪
いつもは憎いメロディが幸せのメロディに聞こえる。そして俺はルンルン気分だ。
「せまる〜、ショッカー〜!」
(なんでそんな古い歌、歌ってるんだよ?)
「いいじゃないか。俺が好きなんだし。」
俺は現在下校中だ。ルンルン♪
(別の歌にしてよ〜。)
しょうがない奴だ。
「夢であるように〜、なんども〜、ねがったよ。うつむいたまま〜、」
(………。はっ!)
『躱神の心のなか』(なんだよ?あいつの歌声?めちゃくちゃ……いいじゃん。ていうかラブソングっぽいの歌わないでよ!)
俺は久しく歌ってなかったゲーソン(ゲームソング)を歌った。あぁ、いい歌詞だな。
その後あっという間に家に着いた。
さてと、田神さんと会う約束をしている(話し合いをするために約束をした)俺はささっと着替えて、ささっと待ち合わせ場所へ。ハハハ、デートみたいだな♪
(佐神。ずいぶんうれしそうだね?)
「そうか?まぁ理由はどうであれ、女の子と待ち合わせっていうのは憧れだったんだよ。」
(へぇ。意外と純粋だね?)
意外ってなんだよ。失礼な。俺はいつでも純粋だ。
という訳で、俺はルンルン気分で待ち合わせ場所の公園に向かっている。
「とぎすまされた爪をたて〜♪」
(なぁ佐神。今更だけど、高校生になってうたいながら歩くっていうのはどうかと思うんだけど。)
「いいじゃないか♪別にぃ♪」
(……ぅ…………なんか反則だ、その反応。)
「なにかいった?躱神?」
(なななな、なんでもない!)
「???」
俺なんか悪いこといったか?
という訳で待ち合わせ場所に到着した俺は田神さんを待っていた。
待ち合わせ場所は、オーガが現れたあの公園だ。まぁ気にしないけどね。
「さ、佐神君、お待たせ……。」
程なく待っていると田神さんがやってきた。
田神さんの服装はいつもより可憐さが増す格好だった。
なんというか…、官能的というか、イメージ的には妖精というか子悪魔というか…。だっていつもみたいな清純タイプなロングスカートをはいている彼女が、大胆なミニスカートをはいているんだぞ。おにーさんびっくりだ!
(美香めぇ!抜け駆けする気!?)
「どうした?躱神。なにか言っ……。」
(ななななななな、なんでもない!!)
「???」
「へへへ。」
という訳で、話し合いをするため、俺は久しくぶりに喫茶店にいった。
………よく考えたら俺ん家か、田神さん家でよかったのでは……?わざわざ喫茶店までいかなくても。
うーん、なんでだろ?
…………まぁいいか。さて、いつこの状態が改善されるのか。はやい改善を俺は望むぞ。
………まぁ不謹慎だと思うが悪くはないと思っているけど…。この状態。退屈しないしな。
あれ?なにか忘れている気がする……。
放課後の学校
「勇刀!どこいったの!!全く……。……………あたし、どうすればいいのかな。…勇刀、何で逃げるの?」
(しばらく会えなくなるのに。)
彼女の手の中にはお菓子の包みが握られていた。
カラン。
グラスの中の氷が音を立てる。先程までブラックコーヒーが入っていたものだ。
俺は専らコーヒーはブラック派で砂糖もミルクも入れないバリバリのブラック派だ。
対する田神さんはカフェ・オレ派だった。そういえば俺がコーヒーを飲んでいると、田神さんは珍しいのか俺のグラスをまじまじみていたな。
「田神さん、飲んでみる?」
とグラスを差し出したな、俺。田神さん真っ赤になってたな。
まぁそれもそうだろう。カフェ・オレ派の田神さんがブラックコーヒーに挑戦するんだ。緊張するだろう。
しかも、甘いカフェ・オレの後にブラックコーヒーだ。おそらくすさまじい苦みが襲うだろうな。
「ぇん!?にがい!」
やっぱり。ていうかこれ俺のせいかな?躱神だって、
(う〜〜〜。)
って唸っていたしな。二人ともごめんなさい。
あ、ちなみにストローはついてあったよ。
さてどうしたものか。この状態をなおすにはどうすれば?その解決策は案外はやくみつかった。
「あのね?その状態は、簡単に元に戻るんだって。」
「…だって?誰から聞いたの?その話。」
「おじいさまに。」
あぁ、あの溺愛じじいか。俺はそんなことを思いながら、重ねて質問した。
「簡単にってどうやって?」
「三日間過ごすだけらしいの。そうしたら勝手に精神が戻ってくるそうなの。」
「え?そうなの!?じゃあ深く考えることじゃなかったんだ。」
ほっ、と胸を撫で下ろす。三日間なんてあっという間。それで元に戻るんだ。苦労はしなさそうだな。
その後は他愛もない話をして別れることになった。もちろん躱神は依然俺の中にいる。俺は三日で元に戻るときいて、ルンルン気分だ。
「はぁーちゃー!へっちゃらー!♪♪」
(何でアニメソングかな!?)
「い、いやか?」
(うん…。歌うなら別のにして…。)
なんで急にしおらしくなったんだ?まぁいいか。さて、どうしようか…。
「いまぁ、はるがきてぇきみぃは、きれいになった♪」
(……………)
どうやら納得してくれたようだな。贅沢を言えばなんか感想がほしかったとこだが…。なんでずっと黙り込んでんだ?
さて家についたのはいいが、問題がある。それは阿神がいることだ。学校の奴らの数人(大城とか)しか知らない事実を躱神は受け入れられるのか?
まぁなんとかなるか。
ガラ。
「ただいま。」
返事は返ってこない。阿神はいないのか?ん?置き手紙が…。
『しばらく帰りません。』
「なんだこりゃ?どういうことだ。」
(両親のこと?)
……そういうことにしとこうか。
「そうみたいだな。」
(じゃあ佐神と二人きり……。)
「肉体は一つだけどな。」
(はぁ、私に身体があれば…。あんなことやこんなことができるのに…。)
「…何する気だよ?俺を殺る気か?」
(そそそ、そんなわけないよ!佐神とやろうだなんて!)
「日本語おかしいぞ?躱神。俺と何を殺る気だよ?」
(そんなこと、言えない…。)
「???」
なんだよ。一体。
時刻は7時になった。よし!!
ぴっ。
『さぁ阪神対中日。三回表が終わり、中日の攻撃です。』
「今日は中日とか。」
(佐神、阪神ファンなの?)
「そうだけど。躱神、中日ファンか?」
(いや、……ヤクルト…。)
「へぇー。そうなんだ?」
(あれ、怒らないんだ?)
「なんで怒る必要があるんだよ?」
『あーと!!大きい!のびるのびる!ホームラン!中日、一点先制!』
「あー!なにやってんだ!?くそ!!」
(………案外、野球好きなんだな。)
その後、阪神の粘りもむなしく中日に負けてしまった。でも阪神の粘りはすごかったな!うんうん。
という訳で野球中継が終わり俺は風呂にいこうとしている。
「風呂〜♪風呂〜♪」
(まて!佐神、風呂にいくのか?)
「?そうだけど。……あ〜…。」
しまった。今俺の中には躱神が、女の子がいるんだった。風呂にいくということは、裸になるわけで……。
「どうしようか?」
(………。)
「躱神?おーい。」
(……わ、私は、大丈夫…だよ?)
まぁ風呂にはいきたいしな。少し恥ずかしいけどいいか。
カポーン。
「はぁ〜〜。気持ちいい。」
俺は現在湯舟に浸かっている。気持ちいいね、本当に。一体誰が風呂なんて考えたんだろう。考えた人は天才だな。全く。
俺は風呂の偉大な力によって、ルンルン気分だ。
「ババンバ、バンバンバン♪」
風呂の定番はやっぱりこれだろう。ドリフも天才だな。
(………)
『躱神の心の中』(はやく出てよ〜!変な気持ちになるよ〜!……はぅ…。)
「いい湯だな〜♪」
ふぅー。気持ちよくて、ついつい長風呂になっちゃったな。一時間も入っていたのか。さぁて、風呂の後はやっぱり…。
キュポン!
「これだよな!」
俺は腰に手をあて、コーヒー牛乳をのむ。えっ?ブラック派じゃなかったのかって?それはそれだよ。風呂上がりは特別なのさ!
「ゴキュゴキュゴキュ!プハー!んまい!」
そういえば躱神、風呂の途中で何も言わなくなったな。のぼせたのか?そうなら大丈夫かな?
ていうか精神だけがのぼせるのかな?
そんなどうでもいいことを俺は考えた。
『躱神の心の中』(ダメ…。見てしまった…。佐神のアレを……。あぁ!恥ずかしい!!!話なんて出来そうにない!悪いのは佐神だ。うん、そう!)
躱神は一人で奮闘していた。
「いよいよか…。」
(うん。そうだね。いよいよだね……。)
なにがいよいよだって?それはな…。
「あれから三日経った。今日でこの状態からさよならだな。」
そう、今日は躱神が俺の中から開放される日なのだ。躱神にはかなり苦労をかけたな…。
後日にでもなにかしてやろうかな?
今日で私は佐神の中から元の美香の中に戻る。
……やっぱり寂しいな。楽しかったし、たくさん話もできたし。
……アレも見てしまったし。
はぁ、寂しいな。
(佐神。私から開放されて、うれしいでしょ?)
佐神にはいろいろ苦労かけたしね。私がいない方がいいに決まってるよね。
「うれしい……、か。俺はそうは思わないけどなぁ。躱神といると楽しかったよ。何気に。」
うれしいことを言ってくれる。そうかぁ、楽しかったかぁ。
「ていうか、うれしいのは躱神だろ?俺からやっと開放されるんだから。」
(えっ?そんなことは……ない。)
私は素直に言った。本当に名残惜しいから。
「別に俺にあわせなくていいのに…。それよか躱神、案外かわいいこと言うんだな。」
かわいい……?私が?そんな訳無い…。私は自分でいうほどガサツな性格だし。
(ふふふ。お世辞でもうれしいよ?佐神。)
私にかわいいなんて言うのは、後にも先にも佐神だけだろうね。ありがと、佐神。
さて俺達は今、田神さん家にいる。どうやらじじいの力を借りないとダメらしい。
…なんか腹立つのはなんでだろう?
「よし。では今から儀式を始める。」
じじいが言う。儀式?大袈裟だな。そんな大層なものかね。
「ボウズ。主のおかげで舞に新たな身体を授けることができるわい。」
「(!?!?)」
なんだと?躱神に新しい身体?そんなことできるのか…。
「これはな、舞が美香から離れることが必要だった。まさかこんなに早く機会がくるとはな。」
俺はじじいの言っていることが理解できなかった。
「まぁ深く考えることではない。……いくぞい。舞。」
そういうとじじいの身体からすさまじい光が放たれる。
「うおっ!?まぶし!!」
「きええぇぇ!!」
じじいが叫んだ瞬間、俺の身体から何かが抜ける感じがした。
うおーん…。
まさにそんな感じの音が聞こえた。そして……。
俺の目の前に裸の少女が現れていた。
その少女はまるで田神さんそっくりだった。違うところといえば、髪に青みがかかっていることと、背が高いことぐらいだ。
「ふぅ。儀式は成功じゃ。ボウズ、礼をいうぞい。」
「…………。」
俺は目の前で起こったことに、まるでついていけなかった。
「ボウズ。今日はひとまず家に帰れ。説明はまたの機会にする。後のことはわしに任しとけ。」
「…わかった。今日は帰るよ。」
俺は渋々家に帰ることにした。
翌日……。
「ふわぁぁ…。朝か。」
俺はいつもどおりに起床した。
その後はいつものように着替えて、飯をつくって食って、学校へむかった。
阿神はいまだ家に帰ってこない。どこにいったんだろうか。
「おう!佐神、おはよー!」
「大城か…、おはよ。」
「知ってるか?今日ウチのクラス転入生がくるんだとよ!」
「へぇー。そうなのか。また転入生か。」
多いな、阿神がきてから一月経ってないぞ。あんまり興味ないけどな。
「しかも女の子らしいぞ。俺結構楽しみにしてんだ。」
「あっそう。…大城。」
「なんだ?」
「納豆臭いと相手にされないぞ。」
大城は慌てて口をおさえていた。
「は〜い、みなさ〜ん♪席についてぇ♪大事なお知らせがありま〜す♪」
担任、新山千春が意気揚々に教室にいるクラスメイトに告げる。
「なんと〜、今日は〜、」
「転入生がくるんだろ!?先生!」
大城め。また横槍いれやがったな。よし、殴ろう。
「ピキッ。さすが大城君♪情報が早いわね〜♪」
やっぱり新山先生は素晴らしい。横槍をものともしない。って前も言ったな。
「どうぞ〜♪躱神舞さんで〜す♪」
へー躱神さんっていう人なんだ………って
「な、なんだってぇー!!?」
「佐神、うるさいよ?驚きすぎだよ。」
教室に入ってきたのは、まごうことなき昨日身体を手に入れた、躱神舞だった。
「知り合いか?あの二人?」
「佐神君も隅におけないわね。」
「佐神、俺はうらやましいぞ!」
「妹にしたい!いや、姉でもいい!」
口々にクラスの奴らが騒ぎ始める。知り合いっていうか、仕事仲間?
「なんか〜、田神ちゃんと〜同じ名前だし〜♪二人とも姉妹〜?♪」
「あ、あの…そんな感じです。」
田神さんこまってるな。一体どうなるんだ?いや、どうなってんだ?俺の周りは?
……放課後。
「びっくりしたよ。まさかウチのクラスに移ってくるなんて…。」
「へへへ。おじいが手を回してくれたんだ。実は。」
あのじじい、一体どんな権力をもってんだ?
「舞。ちょっと…。」
「なに?美香。」
そそくさと田神さんと躱神が俺から離れていく。
「昨日聞けなかったけど、佐神君の家どうだった?」
「別に普通だったよ。たいてい野球中継みてただけだけど。」
「お、お風呂はどうしたの?」
「えっ…!…………。」
「…見たの?」
「……うん………。」
「……そうなの…。」
「おおーい。二人で何話てんだ?」
「「ななななな、なんでもないよ!!」」
おお、さすが双子(?)息ピッタリだ。
あっそうだ。
「そういえば躱神。身体があったら何かしたいって、いったよな。俺と何を殺るんだ?ちょっとぶっそうぅぅぅぅ!?」
ぶしゅー!!
田神さんと躱神は、顔を真っ赤にして倒れてしまった。
ヤバイ!二人揃って熱中症か!?大変だ!すぐに処置しないと!!
俺は二人を俺ん家まで運んだ。女の子って軽いな。一人でも二人担げるぞ。本当軽いな。
という訳で、俺はなるべく部屋を涼しくして二人を布団に寝かしている。
……二人とも寝顔がかわいいな。
「ううーん。」
おっ。躱神が目を覚ましたな。
「大丈夫か?躱神。」
「へっ?……ここは?」
「俺ん家だよ。二人とも倒れて、大変だったよ。」
田神さんはまだねているな。まぁ無理は身体に毒だしね。
あっそうだ。
「躱神。」
「な、なに?」
「俺の中にいた時にいろいろ迷惑かけたからな。何かお詫びするよ。」
「い、いいよ!そんなの、気にしなくて。」
「いいって。何か言いなよ。遠慮せずに。」
「……じゃあさ、今度二人でどこか行こうよ?私と佐神でさ。」
あれ?そんなんでいいのか。
「別に遠慮しなくていいんだぜ?そんなのつまんないだろ?躱神が。」
俺とどこかに行っても、面白くないと思うんだが。
「そ、そんなことないよ!私はそれで満足だよ。」
「そうか?じゃ次の日曜日ぐらいだな。」
「……約束だよ?」
「安心しろ。俺は、紙と記録しか破らないから。」
「……うん…、ありがと。」
ところでなんで躱神はさっきから顔が真っ赤なんだろ?まだ熱が抜けてないのか?まぁ冷たい緑茶でもだしとくか。
養生しろよ?二人とも。




