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第十一話 入学。

一ヶ月ほど更新できなくてすみませんでした。今までブクマしてくれていた方々、本当に感謝です。

※階級についての説明を追加しました。



 時は試験から五日後、見知った顔の少ないことが原因となり、程よい緊張感が保たれた本校舎一階にある「大広間」前の広い廊下。


 そこで俺達エイデン魔術学校の新入生は、これから行われる歓迎会も含めた行事の説明を受けていた。


「──それでは諸君、いよいよです。中に入ったら私についてきてください」


 先導役の教員がそう言い終えると、ゆっくりと部屋に通じる扉を開ける。それに準じて部屋の内から聞こえていたひそひそ話も、盛大な拍手の音へと変わっていた。


「おお…………凄いな!」


 前を歩くエイルはその高い天井や大きな開口部周り、柱などに施された意匠を見上げて、その小さめな口をあんぐりと開けている。


「上ばっかり見てると転けるぞ、エイル」

「う、うるせぇな!お前はオレの親かよ!」


 そんなことを話しつつ、ゆっくりと歩みをとめないようにしながら視線を動かす。


 そうすると、二つの長いテーブルに腰掛けてこちらに注目している二年と三年の先輩達と、俺達が座る長テーブルの奥に鎮座しているフォルトナ・ダリア校長代理を筆頭とした先生達が見えた。


 フォルトナ校長代理は前と違って、今度は派手な純白のローブを着こなしている。派手過ぎるおかげですぐに分かった、というか分かりやす過ぎた。


「新入生の皆さん、着席してください」


 しばらくした後、フォルトナ校長代理が着席の号令をかけた。どうやら新入生の最後尾が入場を完了したようだ。


 そうして椅子を引く音がなくなるのを待った後、逆に校長代理が席を立って生徒一同の注目を集める。


「……さて皆さん、今宵は五十の『フロリア』と四の『シード』達がまもなく我々の仲間にーーー」



 その言葉を聞いた俺は、咄嗟にローブの右胸の位置に付いているひし形の、緑とも紫ともいえない輝き方をするバッチを手で握り込む。


「四人、か……」


 そう、このバッチは下の階級、『シード』であることを示すもの。つまり、俺が試験に不合格だったことの証明である。


 そして五十人存在するらしい成績優秀者、『フロリア』の生徒達には、銀色の花弁を模したバッチが付けられていた。


「なんだリオン、そんなにシードになったことが嫌なのか?心配しなくてもなんとかなるって!」


 隣からテーブルに肘をついて暇そうにこちらを見て話すエイルの胸元に輝いている色も、また同じように曖昧な輝きを放っていた。


「エイルは学科がダメだったんだろ?伸び代はあるわけだから、まだマシじゃないか」

「くっ、それを言われるとオレもキツイな……」


 俺の方は、学科はともかく実技の方で明確に蹴り落とされていた。だいたい、何が「これから教員に伝えられた属性、規模、効果の魔術を提示しなさい」だよ?


 結果に言い訳はしないけど、光属性の魔術にしか適正のない俺を勝手に推薦した誰かは、俺に嫌がらせをしたかったのだろうか?



 俺が勝手なことを想像している最中も、校長代理の長い挨拶は続く。



「──ご多忙の中、お集まりいただきありがとうございます。さて、長い話もありましたので私も喉が渇きました。一先ず乾杯といきましょうか!?」


 その言葉が発せられた瞬間、何故だか一年のテーブルに静かな歓声が沸く。


「ちょっと見てみろリオン!テーブルだよテーブル!」

「え?おぉ!」


 なんと、先程まで何もなかったはずのテーブルの上に、今座っている人数分のグラスが置かれていたのだ。


 残念ながら今の俺では知識不足だけど、おそらく何かの上位魔術を応用したのは間違いないだろうと思う。


「んあー、なんだよ……人が気持ちよく寝てるってのに……」


 俺の席の向かい側、先ほどまで伏せていて銀髪であることしか見えなかったけど、この声──まさか?


「あ?なんだお前?もしかして、俺様の顔になんか付いてんのか?」


「いや、別に何も」


 俺の言葉に特に反応するわけでもなく、彼は一瞬体を起こしたと思うとそのままもう一度伏せてしまった。


 狼のような顔を拭ってみせた彼、その名前は『カッサンドラ・トロイ』である。彼は五日前の試験時、デタラメな理由で試験を一人棄権した人物だった。


 ──そして、今分かった。彼がこの場にいるということはシードの三人目が決まったということだ。

 なんてことだろう、こんな荒そうな奴と同じ階級で上手くやっていけるんだろうか?


「それではみなさん準備はよろしいですか?では一年生の入学を祝って、乾杯」

「乾杯!」


 こうして俺達は、無事なのか?とにかく、何とかエイデン魔術学校に無事入学することができたのだった。


 グラスに入っていた果実水は甘くて、でもこれからの生活のことを考えると少しだけ酸っぱいかもしれない。



「────と、一段落したところで一報をお伝えします。今宵、私の校長代理としての責務は終了となり、急遽適任に引き継がれる形となりました……」


「嘘だろ?前校長が亡くなってからたしか五年近くフォルトナ先生が代理をしてたはずなのに、今更交代するなんて一体誰が?」

「おい、そうなのか?」


 上級生の秘密話が聞こえてくる。五年も校長代理をしていたなんて、どういうことなんだろう?


「それでは紹介します。これから校長の立場に就かれるのは────」


 俺達が入場してきた扉がまたもや開かれ、大広間は再び静けさに包まれた。そして、そこからこちらに歩いてきているのはそう、見覚えのある橙色の髪の、


「魔術協会の現二番隊隊長であり、このエイデン魔術学校の出身でもあるアンブローズ・アルクさんです」


「アンブローズって、おいリオン!まさか!」


 エイルが驚いた顔をして俺の方を見てきた。うーん、そんなふうにされても困るんだけどな。


「遅くなってすまないね皆さん、私がアンブローズ・アルクだ。名前くらいは覚えておいてくれるとありがたいね」



 ──とにかく、新しい校長は俺の父さんらしい。




何か気になったことなどありましたら教えてもらえるとありがたいです。よろしくお願いします。もちろん褒め言葉も!

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