プロローグ 絵本のお話。
※改稿しました。(内容に大きな変化はありません。)10/19
※第一話からプロローグに変更。
それは、遠い遠い昔のことです。
この世界には、今よりも沢山の国がありました。
しかし、それぞれの国の王様は周りの民も巻き込んで、大きなケンカをくりひろげていたのです。
沢山の兵士が剣や弓、槍などを握り、民達は切られ、射られ、突かれ、そこら中をケガしてしまっていました。
王様達のケンカはそんなことは知らないとばかりに毎日続けられ、民達は困り果てていたのです。
そこである子供が、誰もいない空にこう叫びました。
「誰か、助けて!」
その子供は、どれだけ兵士が自分のところに近づいてこようが何だろうが、叫ぶのをやめなかったそうです。
それを見ていた、この世界に一人だけいるという神様は、あまりにかわいそうだと思って地上にある希望を送り出しました。
「よく私達を呼び続けてくれた。今助けよう」
神様が地上に送ったのは、たった六人の人間でした。しかし、彼らは精霊に愛されていたので、魔法と呼ばれる力を使うことができたのです。
そうして、一人目の魔法使いが太陽を暗闇で隠して兵士達の手を止めました。
二人目の魔法使いは、一時休戦していた兵士達のいた場所につむじ風を起こして、手に持っていた武器をずっと遠くへと吹き飛ばしてしまいました。
三人目の魔法使いは、雨雲をつくって、世界中にキラキラした雨を降らし、傷ついた民と兵士の体と心を癒しました。
四人目の魔法使いは、それでもケンカを続けようとしている王様達の王宮に青紫色の炎を放って、その場にある命以外の全てを壊しました。
五人目の魔法使いは、王宮だった大地を平らにつくり直して、王様達にこれからは仲良くするように約束をしました。
六人目の魔法使いは、一人目が創り出した暗闇を晴らすために明るい光を空に放ち、空を覆っていた分厚い雲さえも吹き飛ばしてしまいました。
最後に、この六人の魔法使い達はこう言って天へと帰って行ったそうです。
「もう二度とこんなことは起こしてはならない。そのことを肝に銘じたまえ」
この言葉で王様達は目を覚まし、ケンカを終えてお互いが国の発展に務める約束をしました。
そして、危ないところを救ってもらった民達は、世界を変える力を持った六人の魔法使い達に感謝をして『創世の魔法使い』と呼ぶと同時に、彼らを神の使いとしても崇めるようになりましたとさ。
終わり
これからも「寂れた魔法の継承者。」をよろしくお願いします。