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そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
辺境にて
92/120

貴族退治

俺はダガシカシに向けているチャクラムを手元に戻し、フィル達の元へ向かうと、直ぐ様立ち上がったダガシカシも着いてくる。


「では改めて紹介をする。俺に挑んでおいて無様に負けたBランク冒険者のダガシカシだ。もう一度言うぞ、Bランクのダガシカシだ、因みに俺はFランク」

「お前は何でそうやって人を落とせるところまで落とそうとするの!?」


 五月蝿いハゲだ。死人に口無しと言うだろ。負けた奴は静かにしていてくれ。


「師匠は傷口に塩を塗りたくるタイプだな」

「いえ、唐辛子を塗るタイプだと思いますよ、スティーブ」


 呆れたような顔で俺の事を見ているスティーブとリズ。アルカは現実逃避なのかため息を吐き、フィル、ピータ、ユンはキラキラした目で此方を見ている。


「師匠! すげぇ、あの武器何なんだ、無敵じゃん!」

「いや、そうでもないぞ」

「まぁ無敵ではないよな」

「おや負け犬。なにか分かった事があるのか?」

「腹立つ」


 まぁ冗談はさておき、曲がりなりにもBランク、なにやら気づいたようだ。

 俺は目線で促すとダガシカシは続ける。


「あれには距離の制限があるな」

「根拠は?」

「お前がわざわざ俺が飛ばされた後、距離を詰めたことだな。普通ならそんなことする必要もないしわざわざ距離を縮める意味もない。だからだな」

「なるほど、確かに当たりだ。他にはあるか?」

「そうだな、あの自由自在に触ってもいないのに動くってのはスキルが関係してるだろ? ただどんなスキルかは全くわかんねぇけど」

「分かられて堪るか。兎も角無敵では亡いということだ」

「師匠もスキル持ってるのか! 教えてよ!」

「断る。俺を倒すことが出来たら教えてやろう」

「こりゃ頑張るしかねぇな!」


 やる気に繋がるならそれで良いだろう。


「さて、見てもらいはしたが何か学んだことはあるか?」

「はい」

「スティーブ」

「やはり、高ランクの戦いは経験と練度が桁違いだと痛感した。これからは俺も熟練となれるように頑張りたい」


 俺は高ランクでは無いんだがな。まぁ、ダガシカシもあんなに重いもの持っておいて捌き続けていたのは見物だったからな。流石はBランクだ。


「遠距離組からみてどうだった?」

「そうね、師匠は接近すら許さなかったのは流石の一言ね。的確に相手の隙をついてたのは感心したし見習いたいわ」

「それにわざわざ相手の土俵で戦わないというのも学びました。ダガシカシさんは接近戦が得意な様ですし師匠も同じです。でも今回は相手の苦手なところを徹底的につく、理に叶った戦略だとおもいます」

「確かに相手の土俵で戦う意味は無いからな。勝つなら徹底的に弱点を突いていけば良い。まぁ、でも、いつまでもそんな風には戦える訳じゃないからな。苦手でも頑張って訓練するように」


 ダガシカシは結構隙がなくて大変だったんだよな。だからちょっとだけフェイントを入れたりもして誘導して隙を作ったんだが……Aランクはどれだけ強いんだよ。

 まぁ結局最後は力業だったがな。


「それはさておき、訓練は早速始めるか?」

「やりたい!」


 フィルが叫ぶ。他の5人を見渡すが全員がやる気になっているようだ。好戦的な奴等だな怖いわ。


「ランドさん! 大変です、いや、対して大変でも無いですが」

「どっちだよ」


 エマが慌ててはおらず、のんびりとした足取りで此方に向かってきている。


「ほら、七三の貴族さんが来ましたよ。対応しましょう」

「うん、それほど大変な事じゃないな。ゆっくり行くか」


 俺とエマはゆっくりと孤児院の入り口に向かう。


「いやいや、大変な事だろ! さっさといくぞ!」


 ダガシカシは俺とエマを追い抜き、さっさと行ってしまった。俺やエマとしては何回も同じようなシチュエーションにあってるから新鮮味が足りなくて乗り気になれない。というか飽きた。


 ゆっくりとした足取りで扉の方に着くと、ダガシカシと七三は穏やかに会話をしているようだった。と言うか七三は少なからず驚いているようだ。


「おや、これはこれは子爵のダガシカシさんでは無いですか、なぜこのようなところに?」

「どうもブンシャ伯爵。このような所とは酷いですね、ここは私が大切にしている孤児院なのですよ」


 大切にしていると聞いて少しだけホホがピクリと動く。まぁ、殆ど嘘なんだが迂闊に手は出せないだろ。


「それにどうやら最近訪れて下さるそうですね。なにか理由がおありで?」

「いえいえ、子供の元気な姿を見ているだけですよ」

「そうですか! 子供は国の宝、大切ですからね。所で院長からお聞きしたのですがどうやらここの土地を譲るように脅迫したとか?」

「そんな、滅相もない。その下民の言葉を易々と受け取られるとは、貴族の名が泣きますよ?」

「ははは、これは耳が痛い話です。そう言えばここ最近孤児院への支援金が減っていってるらしいですが、何かご存知ありませんか? ここを管理しているものとしてそれは流石に見過ごせないのですが」

「いえ? 私はそんな話聞いたことはないですね」


 そう簡単にボロは出さないか。核心はついてる筈なんだがな。段々と直情的になってるエセ貴族のダガシカシとは対称的だな。

 

「なるほど、要らぬ疑いをかけてすみません。ですが、私も仕事が一段落したので少しだけ放置してしまっていた孤児院にも取り掛かれるので、ブンシャ殿はわざわざ足を運んで貰わなくても大丈夫ですよ。うちの孤児達の面倒を見てくださり、ありがとうございます」


 頭は下げないものの、暗にもう来るなと言っている様なものなので俺としては笑える。本性が出るように挑発してるのだろうか。


「何を言いますか、乗り掛かった船です。私も孤児院の為に出来ることはするつもりですよ? 共に頑張って行きましょうよ」

「わざわざ伯爵の手を煩わせる訳にはいきません。それにこんな田舎の孤児に手を貸しても資金の無駄でしょう……この街の滞在費や遠征費にも少なからずお金がかかる。なぜそれほどまでにここに執着するのです? もしや……この孤児院に何か有るのですかね? 例えば……財宝の類いとか?」


 その言葉に七三の眉がピクリと動き、周りにいる今まで黙っていた護衛達は明らかな動揺を見せる。これはもう一押しか。


「これは気分を損ねてしまう恐れが有るのですが、護衛の方達の人数が少々多いかと……これでは孤児院の子達が怯えてしまいます。まさか本当に脅しに来たとかでしょうか? 伯爵ともあろうお方がそんな小物みたいな事をするとはとても思えませんが」

「……これは、そう! もしも孤児院に不埒な輩が入ってきた時に対処出来る様にです! 数が多いのは申し訳ないが安全のためとなればやむを得ないでしょう?」

「ならば尚更お手を煩わせる訳にはいきませんな。今までの礼は致しましょう。伯爵にも貴族としてやることが有る筈です。自らの領地の孤児院を発展させてあげて下さい。では、そろそろお引き取りを」


 ダガシカシが手で出口を促すと、埒が空かないし話し合いは無意味だと思ったのだろう。七三は舌打ちをする。


「ちっ、所詮は冒険者上がりの貴族か、爵位が上の相手に対する礼儀がなってないな。もういい、お前達、こいつ事孤児院をやれ!」


 アッサリと孤児院の破壊を護衛に命じる七三。護衛の奴等も乗り気で孤児院を破壊しようとそれぞれが武器を手に持ち行動に移そうとする。ダガシカシ一人ではあの10を越えるの護衛を何とかするのは容易いとは思うが如何せん孤児院を守りながらだと後手に回る筈だ、手助けをしよう。


「エマ」

「了解です」


 俺の考えを読み取ったエマも直ぐにダガシカシの元へと協力に向かう。


「よっと」

「なんだコイツ、ブヘッ!」


 挨拶変わりに飛び蹴りを決めそのまま乱闘に入る。あまり時間がかかると孤児院の子供の教育に宜しくない。さっさと終わらせよう。


「私も黙って見てるだけじゃないよ! この孤児院は私の宝だ。渡す訳には行かないね!」


 そう叫ぶ院長は一人の護衛にあのおぞましい鉄拳の制裁を加える。諸に受けてしまった護衛の一人は倒れたまま動かなくなった、死んだ訳じゃ無いが御愁傷様だな。あれは痛そうだ。


「なんだあの……女? 化け物じゃねぇか!」

「なんで疑問系なんだい!」


 また一人は餌食になった。うん、その気持ちは分かる。人間かすら怪しいからなこの院長……おっと殺気、知らないふり知らないふり。


「ちっ、あの女を狙え! へへ、良い体してんじゃねぇか。ブホッ!」

「私一応冒険者なんで、舐めないでもらえます?」


 油断して近づいた男の鳩尾に鋭い蹴りを入れ、悶絶した所に更に追撃をするエマ。非常に容赦がない。


「おら、テメェ! いつまで乗ってんだ!」

「む? 忘れてた済まん」


 最初に踏み潰した男が此方に向かい叫んでいる。元気だなぁ、なんでそう大声を出すかね、耳がキーンってなるんだが。

 まぁ、何時までも乗るのは悪いので気絶させておこう。


「ほい」

「へべえっ!?」


 さて、ダガシカシはと……うん、まぁ負けるわけがないよな、3人相手に大槌すら使わずに肉弾戦で圧倒してる。一応相手は全員が武器を持ってるんだけどな。


「くそっ! 全然あたらねぇ!」

「どうなってんだよ!」

「甘いんだよお前ら! チンピラごときが俺に当てられると思うなよ!」


 相手のお世辞にも鋭いとは言えない一振りを交わし渾身の右ストレートを入れ、沈黙させる。

 続く2人目は武器を鷲掴みし、奪った上で叩き伏せる。これは実力差がないと出来ない芸当だな。

 最後の奴に至ってはなにも出来ないまま殴られて終わった。


 俺もその間にやって来ていた一人をまた蹴り飛ばして沈黙させる。今のところ8人か……エマが今倒したので9だな。おや? 後2人はいた筈だがどこに行った?


「師匠ー、こいつらどうしたら良い?」

「ただのチンピラよね、なんで貴族になんて着いてるのかしら」

「それはお金だと思いますよ。アルカ」


 ふと、孤児院の裏側からフィル達がひょっこりと出てくる、その手にはロープが握られており、顔が腫れてる奴となんか頭が爆発している奴がいる。護衛の奴だな、裏側に逃げ込んでいたのか。


「なんか襲ってきたから返り討ちにしたけど大丈夫?」

「あぁ、流石だな。助かった」

「おいおい、誉めてもらったぞ!」

「師匠にもそんなことが出来るのね……」


 おい、俺に何か恨みでもあるのか。あれか、1度遊び半分でおちょくったから、仕返しか。あ、ニヤつきやがった。犯人確定。


 まぁ、仕返しはするとしてだ。いまはそれ処ではない。

 俺達は七三貴族の方を見る。七三は間抜けな顔で辺りを見渡した。そりゃ、用意した奴がボコボコにされた挙げ句、子供であるフィル達にも負けたんだ。そうなるよな、知らんけど。


「き、貴様ら、私に対してその態度、不敬だぞ!」

「おいおいおい、ブンシャ伯爵様よぉ。最初にやって来たのはアンタだろ? 正当防衛だ。それに俺も一応は貴族だ、アンタの方が不敬になるがどうする?」


 ピッチリ七三の髪型が崩れる程取り乱した。七三はこれはに入るための門に走り去って行った。


「き、貴様ら! 覚えておくんだな! 私に楯突いたことを後悔させてやる!」


 そういうと趣味の悪い馬車で爆走していなくなる。スピード違反には気を付けてほしい所だ。


「まぁ、これでちょっかい出してくることはねぇんじゃねぇか?」

「どうだかな、覚えてろと小物みたいな台詞を吐いた男だ。1度王都に戻って戦力でも蓄えるんじゃないか?」

「それだと面倒だな。アイツみたいな貴族は多いから喜んで協力するだろうな」


 これは……俺の出番だな。

すみませんね昨日投稿しなくて。えぇ、申し訳ございません。

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