表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
辺境にて
91/120

リベンジ・ダガシカシ!

 大体の方針は決まった所で細かい話へと移る事にした。


「んじゃまぁ、七三貴族がハゲのなんちゃって爵位を無視したらどうする?」


 相手は一応正真正銘の貴族だ。冒険者上がりの貴族なんて恐らくだが無視する可能性も否定は出来ない。というかあの七三は無視するに決まっている。

 ここは1度宝っぽい物を渡したあとに王都に続く道で魔物に襲わせると言う手が有効だろうか。荒っぽいがこれなら仕方ないで済まされる確率は高いし、宝は魔物が奪った事にすればおいそれと出だしは出来ないんじゃね?


「まぁ魔物に襲わせると言う非人道的な事は極力控えるがの、無視をすれば結構な問題になるからのう。一応は貴族同士の話し合いの一方的な無視は結構問われるじゃろうし」

「なるほど、相手が相当な間抜けでない限りは話し合いには持って行ける訳だ」

「その通りじゃ、話し合いで解決できる方が良いじゃろ? 戦争でもあるまいし無駄に争う必要はない、それに一応下の身分のダガシカシから喧嘩を吹っ掛ければこやつの首が飛ぶわい」

「それに孤児院内で争うのも教育上良くはないだろ?」

「なるほど、理解した」


 どうしたって言い争いは孤児院になってしまうからな。此方が向こうの滞在中の場所に赴き話をするのも何か違うし。追い返されるかもしれない、それはそれで問題になるんだが……貴族ってのは面倒な立場だな、なんでなりたがるのかは全く分からん。森の中で静かにしている方が有意義だろ。


「それで、話し合いだけで事が解決するか? 向こうとしては少なくとも金を出して半ば無理矢理孤児院の廃退、若しくは恐らく存在する宝を狙っているんだ。退くことなんてしないんじゃないか?」

「そこが問題じゃ、正直な話、落とし所が無いのじゃ。損害した分を払う何てのは、持っての他じゃしそこまで関与するとなると向こうは確実に怪しむからのう」

「俺達も宝を狙っているので無いか、と言うことをだな」

「なるようにしかならないんじゃないか?」


 最悪こっそりと殺っちゃうからね。俺の独断で、勿論街中でなんてアホな真似はしない。


「こればかりは意地の張り合いじゃの、若しくは宝なんて無いとか価値が無いとか言い触らすかのう」

「あぁ、やる気すら奪うって訳か。じいさん、最高だな」

「おい、この話し合いどんどん嫌がらせを考えてるだけになってきてるから止めろ」

「ダガシカシ、お主ならどうする?」

「……そうだな、有り体に言えば向こうの後ろめたい事をこっそりと付きだして脅すとかかな?」

「お前も此方側だな」


 俺はハゲ……いや、同士のダガシカシの肩へと手を置く。じいさんも髭を撫でながら頷く。こうして嫌がらせ同盟は設立されたのだ。


「ちょっと待て! お前達と一緒にするな!」

「ほっほっほ、向こうの後ろめたい事を探すのはワシがヘンリに掛け合おう。あやつも自分の土地で勝手なことをされて黙っているほど甘い奴じゃ無いからのう……」

「これでも下がらないようならやる気を削ぎ落として、それでも止まらないなら後味は悪いが最悪悪いことが起きるかもしれないな。そればかりは何も誰にも分からないがな……フフフ」

「ほほほ……」

「は、ははは。駄目だこりゃ」


 ギルドマスターの部屋の中では気味の悪い笑い声が暫くの間響き、その後、顔合わせ含めて俺とダガシカシは孤児院へと向かうことにする。


 尚、院長やエマには今回、俺達が行うことは話しておくが当然ながら子供には話さない。大人の汚いやり取りなんて教えるだけ無駄だ、子供は遊んでおくのが仕事、その遊びをより安全にサポートするのが大人なのだから。

 因みに子供達にはこの顔の怖いおっさんはフィル達の訓練をみたり、俺とエマよりも経験の積んでるベテランを先生として呼んだと言ってある。これは俺も個人的に依頼しており、報酬は領主から貰っている分の半分をくれてやった。

 金は別に最低限あれば良いし、エマもそれほど執着するほど亡者じゃない。


 そして今、フィル達に紹介をする所である。院長とエマには紹介を終えた。


「えー、と言うわけでこのハゲた顔面の怖い厳ついおっさんの名前はダガシカシだ。一応はBランク冒険者だ、良いかお前達、失礼の無いようにな」

「お前が一番失礼だろ!」

「……流石師匠、度胸がおかしい」

「違うわフィル、頭がおかしいのよ」


 失礼な、ぶつことは無いだろ。これでも敬意を払ったんだぞ、本来なら至る所にロリコンをつけたりする予定だったんだ。流石にそこは躊躇ってあげたんだ、殴られる謂れはない。


「紹介に預かった、ダガシカシだ。君達の講師としてコイツが頭を下げた程の冒険者だ。宜しく頼む」

「ロリコンの癖にカッコつけやがって」


 お返しにローキックだ、ちっ交わしやがったか。後で覚えてろテメェ。

 

「なぁ! ダガシカシさん、師匠とどっちが強いんだ? 俺達じゃ一撃も当てられなかったんだけど」

「どっちが強いかは……分からんな、戦ったことは無いからな」


 嘘つきめ、俺の冒険者登録の時に戦っただろうが、ボコボコにしてやったわ。何を無かった事にしようとしてんだコラ。


「へぇ! じゃあ、見てみたいな! 戦ってるところ!」

「あぁ、参考にもなると思う。どうだろう師匠」


 おや? フィル君、スティーブ君? どうして目が輝いてるのかな。俺の目が濁ってるからそう見えるだけだと良いな。

 聞いてくださいよアルカさん、男の子って本当に野蛮だよな。


「化け物とBランク冒険者の試合なんて見る機会は早々ないし、私も見たいわ」

「えぇ、スティーブの言う通り私達の経験にもなるかと」

「接近戦は私にも勉強になるから見たいよ師匠!」

「ぼ、僕も参考に」


 全員が乗り気な様だな。おい、ダガシカシ、お前はどう……うん、準備運動中か。なんの準備なのか俺には分かんないな。


「ほら、ランド。早く準備しろ。それともなにか、俺にビビってるのか?」


 コイツ本当にムカつくな。さらっとリベンジマッチ挑んでくるなよ。見てみろ、俺のやる気の無さを、やる気の無い相手と戦って楽しいか? 俺は楽しくない。不毛だぞ? 止めるなら今だぞ?


「まぁ、お前がダガシカシさん! 私じゃ貴方に勝てないので止めましょう! とか言って頭を下げるなら良いぜ?」


 よし決定。ぶっ殺す、貴族の前にテメェから墓に送ってやんよ。不毛? 知るかこのやろう絶対許さねえぞ顔覚えたかんな!


「良いだろう、戦闘力53万の力を見せてやろう戦闘力5の虫けらめが、打ち上げ花火にしてやるからな」

「何言ってるのか良く分からんが決まったのならやるぞ。子供達、少し離れて居てくれ。危ないからな」


 ダガシカシの注意によりフィル達は距離をとり、地面へと座る。完全な傍観モードだ。


「そんじゃ、良いか?」

「あぁ、良いぞ」


 準備を終えた俺はダガシカシへと応える。まぁ準備をするものなんて無いんだが、いや有ったな。ちょっと気になるものがあって試したくなったのでダガシカシを実験台にするのだ。

 Bランク冒険者を実験台にするとは贅沢の極みなのだが、俺にはそんなもんどうだって良いのだ。あるものは使うそれだけです。


「じゃ、行くぞ!」


 ダガシカシは大槌を構えてその巨体に見会わないほどの速度で接近してくる。本人は大槌をバトルハンマーだとか言っていたが槌は槌だ。名前なんて意味はないだろ。


 振り下ろされる大槌を受け止めるなんて事はせずに回避を選択。威力だけは馬鹿にならないし体にヒビが入るのも宜しくない。今回は遠距離から確実に勝たせて貰おう。


 俺は懐からあるものを取り出してダガシカシへと投げつける。


「ぬっ!? 飛び道具か!」


 俺が投げたものを難なく弾き、奴は再度接近をする。ここまでは狙い通り、さぁ、後ろにご注意だ。


「っ!? 危ねぇ……これは、さっき投げた……チャクラムか!」

「当たり」


 そう、武器屋で見つけて気になったので鉄で作りました、その切れ味はヤバイぞ。


「なんで叩き落としたのに飛んでくるんだよ!」


 原理は分かってないようだな。まぁ直ぐに分かるだろう、こんな不可解な現象はスキルでしか起こせない。

 簡単に言えば俺のスキル、『物質操作』[鉄]により動きを制御、手放しで追尾する武器に変え、『付与』[回転]により切れ味がますと言う恐ろしい武器になっちゃった訳だ。非常に相性が良い武器になったので嬉しい誤算だ。

 因みに切れ味はかなり太い木をスパッと切る位。そして俺のさじ加減で何処までも追ってくると言う悪魔の武器である。


 ダガシカシは武器の警戒をしながら近づいてくるがどうも意識は切り離せないらしく、戸惑っている。その状態で俺に攻撃をしてくるのだからBランクは伊達じゃない。


「んじゃ、もう1個追加で」

「なぁっ!?」


 馬鹿め、1つしか無いなんて誰が言ったんだよ。操作するのは集中力がいるから結構キツイが練習と実験なので惜しみ無く投入。

 そして時間が経つ毎にチャクラムを増やしていき、最大6つのチャクラムがダガシカシを襲う。まぁここまで出すと操作が単調になるから対処も簡単になるけどな。


 だが、相手が慣れるのを待つほど甘くは無いのだ。チャクラムの操作をしながら俺はダガシカシに向けて走りよる。俺に気づいたダガシカシはチャクラムの攻撃を受ける覚悟で俺に大槌を振り下ろす。

 ギリギリ大槌が振り下ろされても当たらない場所で急ブレーキをかけて、大槌が通り過ぎた後に大槌を足蹴にしてダガシカシの厳つい顔面に向けて蹴りを入れ、大きく吹き飛ばす。


 飛んでいった先にチャクラムを操作して、ギリギリ操作が届く範囲で俺も着いていき、首回りに叩きつける。

 起き上がるダガシカシは何も出来ない。あと、脅しも含めてチャクラム同士を軽くぶつけて火花を散らすと手を上げて降参する。


「俺の負けか……行けると思ったんだな」

「戦いにおいて大切なのは相手になにもさせないことだからな。多分」

「お前は喜んで卑怯な手を使いそうだからな」

「何か問題でも?」


 俺とダガシカシのリベンジマッチは終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ