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そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
辺境にて
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お宝

「……これは! ……何だ?」


 さっぱり分からん。円盤の様な形をして窪みがある。ただそれだけのただの物だ、宝の価値なんて見えやしない。正直に言うと処理に困るゴミ……。


「やっぱり分からないか……私にも分からない私の祖母からこの孤児院を開くって時に貰ったんだが、祖母もお守り代わりだとしか言ってなかったから。恐らく祖母にも分からなかったのだろうけど」


 人のお守りをゴミ呼ばわりしてはいけないな、うん。しかし貴族か欲しがっているのは本当にこの円盤なのだろうか。もしやこの円盤の他に目ぼしいものが倉庫に有るかもしれないな。


「本当はその円盤以外の物を狙っているのかも知れない。院長が分からないだけで価値が高いものが有るかもしれないぞ」

「なるほど、確かにそうかも知れないですね。私から見てもその円盤は大層な物には見えませんし……探してみても良いですか?」

「構わないよ、私だってこの円盤に価値があるなんて思ってないからね。私に分からなくてもアンタ達が他に価値のあるものが分かるかもしれない。探しておいてくれないか? 私は子供達の様子を見たい」


 そう言うと院長は隠し倉庫から出ていき、残された俺とエマは辺りを捜索してみる事にする。





「これはどうだ?」

「それは……何ですか?」


 俺は箱形の物体をエマへと渡す。と言うか箱だ。

 俺から箱を受け取ったエマがその箱を開けると、なかからはこの街にもたまに居る奇抜な格好で白塗りの顔をした。道化師というパフォーマーに似た人形が勢い良く飛び出す。


「うひゃ! 何してるんですか! お遊びじゃ無いんですよ!」


 驚いたエマは尻餅をつき、手に持っている箱を俺に投げつける。

 これ、一応孤児院の物だからね? 壊しちゃダメだぞ。


「ははは、根詰め過ぎるのは良くないぞ。リラックスが大事だ」


 実はただのおふざけのビックリ箱なんだが、反応が見たくてついつい渡してしまった。この倉庫は中々面白い物が沢山有るんだよな。

 あ、街にあった喜怒哀楽の顔の物まである。……トーテムポールだっけか、これじゃね? 価値のあるやつ。


「ランドさん、なに考えてるか知りませんがそれは価値ないですよ」

「良く分かったな。お前何者だ?」

「しがない冒険者と森の仲間達の一員ですよ。ランドさん下らない事考えてる場合は分かりやすいんですよ、前にも言いましたが……」


 察しが佳くて俺は大変困るな。よし、真面目に探すとしよう。ユーモアの欠片もないエマに合わせてやろう。


 そうして捜索を再び開始するも、価値の有りそうなものは見つからなかった。


「殆どがガラクタばかりですね」

「お宝の宝庫だっただろ?」

「それは、ランドさんがガラクタ好きなだけですよ。私には分かりませんね良さが」

「ユーモアの足りないエマには分かる筈もないな」


 倉庫内でガヤガヤとやっていると、院長が様子を見に来たようだった。そんなに時間が経っていたのだろうか……倉庫のなかは薄暗いからな、時間の感覚が狂っているのかもしれないな。


「お疲れ、どうやら終わった様だね。どうだった? 何かあったかい?」

「院長、スミマセン……特に価値の有りそうなものは見つかりませんでした」

「そうかい……振り出しに戻った感じだね。まぁ、良いさ、取り敢えず上がりな」


 院長は俺達に出るように促し、俺とエマも大人しく着いていく。

 外へでると昼寝をして体力を取り戻した子供達がはしゃいで外を駆け回っており、先程の静けさが嘘のようだった。

 フィル達は……確か筋肉痛で動けなかったな。忘れてた。


「院長、七三は最初は孤児院の土地を買い取ろうとしていたんだよな?」

「ええ、そうよ。それが何か?」

「いや、もし円盤がお宝だとした、お宝と分かっていたとしたら直接お宝をくれと言うはずだろう? なんでわざわざ土地を買い取ろうと考えているんだろうな」


 そう、円盤が欲しいなら直接交渉をすれば良いし、わざわざ土地を買い取らなくてももしかするも安上がりになる筈だ。それなのにそうしない理由は? 円盤は見た目通りお宝ではない? と言うことは土地そのものに価値が有ると言うことか?


「ランドさんの言いたいことはつまり、狙いは土地なのではと言うことでしょうか?」

「そうだな、もしかすると円盤は関係ないかもしれないな。しかしこの土地に何があるのかもなーなんて」

「もしそうだとしたら何が有るんでしょうね」

「それは俺らが知るよしもないな」


 俺たちの会話を静かに聞いていた院長は考えるように腕を組んでいる。

 暫くすると顔をあげて呟き出す。


「私はこの地下にそんなものがあるなど聞いた事はないな。だが王都では噂になっているらしいし、一体どうなっているのかしら」

「あくまでも想像の範疇だ、あの七三がただ孤児院を潰そうと考えているだけかもしれないし。現にアイツが原因で孤児院への支援金が減っているのは領主からの情報だしな」


 未だに七三が孤児院を潰そうとしているのか、噂のお宝を狙っているのか、或いは丁度良いから両方に手を出しているかもしれないな。

 いっそのこと俺がお宝が有るか掘り起こしてみるのも手だが、これはオススメしてないからやめておこう。勝手な真似をして損害賠償とか笑えない。


 あと、お宝が有るだなんてそんな傍迷惑な噂をたてた奴の事も気になりはするが、それは恐らく王都に行かないと判明しないし、今の俺じゃ手の出しようがない。忘れておこう。


「事が運ぶまで時間はまだあるだろう。俺はまだやることが有るからな。孤児院の修理をしながら地道に考えていこう」

「そうですね、今の所動かせる事態は有りませんし。貴族が来たときに捕らえて脅す手もありますしね」


 やだ何この野蛮人、貴族に手を出しちゃアウトって言ってたの自分じゃん。よし、俺は全責任をエマに押し付けるぞ。


 面倒事はごめんだ。


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