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そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
辺境にて
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機嫌とり

 俺はエマのご機嫌取りの為に孤児院修復の作業を中断して辺境ファンの街を歩いている。

 

 「そう言えばゆっくり歩いたことは無いな」

 「以前来たときもランドさんは依頼ばっかりでしたからね」

 「うん? エマは結構歩いてたのか?」

 「情報収集と角さんのお酒を買いに行くために街くらい歩き回りますよ」


 道理で歩きに迷いが無いわけだ。歩く速度はかなりゆっくりだけど。

 角……角かぁ、今回は尻尾まで引き連れた訳だけど尻尾って良く良く考えたらあの森の統率者だろ? 一応頭の回る牙が森に残ってるとは言え、あの脳筋だらけの森は余計な騒動を起こしてないことを願おう。


 「角さん達、心配ですね……」


 丁度エマも同じことを考えていたようだ。


 「確かに、今回も早めに問題解決をして戻りたい所だな」

 「私はまだ居たいですけどね。子供達ともっと遊びたいですし」


 俺もフィル達に教えると言う大層なものじゃ無いが少しくらい出来るアドバイスが一段落するまではちょっと戻れないかな。

 帰れと言われたら泣こう。


 まぁ七三の貴族問題が解決するまで街からは離れるのが難しいと言うところだ。

 もう少しのんびりとしても良いかもしれない。いっそのことフィル達の訓練を兼ねて街の外に連れていくか? ……これは院長と要相談だな、十中八九却下される気がするけど。


 「そうそう、いつだったか忘れたが尻尾に会ったな」

 「え? そうなんですか? いったい何処で?」

 「ギルドマスターの所だな。昔から知り合いだったらしい」

 「今のギルドマスターの年齢から考えると確かに若い頃に尻尾さんがこの街に来ててもおかしくないですね」

 「もしかすると領主とも知り合いかもしれないな」

 「ははは、ランドさん。それは無いですよ」


 他愛もない話をしながらも街並みを歩く。

 ファンの街並みは雑貨屋が最初に並び、その後ろには屋台等の買い食いが出来る場所、そしてそこから少し歩いた所に食堂の様に店のなかで料理を食べる場所となっている。


 雑貨屋ではやはり色々な物が売っており、こんなもん何に使うんだと言う物もある。こう言う変な物は好きだ、特に意味がない物の筈なのに作った人の情熱を感じる素晴らしい作品だと俺は思うね。


 ゆっくり見ていたい気もするが隣から腹の虫が鳴る音が聞こえたし、ここは後で見ることにして先に食べ物でも買いにいくとしよう。

 エマが腹を空かしたことは咎めるつもりはない。何故ならエマは森でもすぐに腹を鳴らすのだから。

 一度、からかい半分で指摘したときはめっちゃ怒られた。

 全裸のときは羞恥心を見せなかったのに食べ物等による羞恥を感じるとかどんな神経しているのか不思議だ。


 「腹が減ったな、食べ物でも買いに行くか」

 「あ、はい。……ランドさん、食べる必要無いですよね?」


 そこは優しさだ、ありがたく受け取っておけバカ野郎。

 

 エマを連れて屋台か食堂かで迷ってしまった。

 屋台なら手軽に食べられるものも多く、何より安い。そして色々見て回れると言う利点がある。

 ただし、ゴミは持ち帰りましょう。


 次に食堂の方だが、此方は疲れているエマにしてみれば休みながら食事が出来るのが利点で、さらに種類も結構豊富で量もある。

 そこはエマがどれ程食べるかにも依るが、エマの奴は川でとった大きめの魚を一人で直ぐに平らげるので心配はいらないと思う。


 しかし、エマに指摘された通り、俺には食事は要らない。

 つまり、食堂に入った場合、俺はエマが美味しそうに食事を食べているのをじっと見ていなければならないと言う微妙に気まずい状況に陥るのだ。

 周りの目とか、お前は頼まないのかよと思われるのは別に構わん。

 だが、なんと言うか……エマの方が気まずくなるのでは無かろうか。


 そう考えるとどちらが良いか迷ってしまう。

 うーむ、どうしたら良いだろうか。


 「エマとしてはどっちが良い? 俺は合わせるぞ」

 「え? うーん……そうですねぇ」


 そうしてエマが出した答えは。




 


 「……食べないんですか?」

 「食べれないんですよ。必要もないです」


 食堂である。


 どうやら、初めて来たときから通っていたらしく、そもそも俺と森で会う前からここを拠点にしていたエマはそこそこ常連だったらしい。


 「よう、兄ちゃん、エマちゃんのボーイフレンドかい? 食費は大変だと思うけどよろしく頼むよ」


 料理を運んできたおっさんが俺に話しかけてくる。


 どう見てもウェイターには見えないな、明らかに料理をする専門にしか見えん。


 「余計なこと言わなくて良いです。ランドさん、こちらはこの店の店長で料理人のマスタードさんです」

 「紹介に預かったマスタードだ、宜しくな」


 ニカッと笑う料理人のおっさん。マスタードはそのゴツく発達した腕をつきだし握手を求める。

 俺はその手を握り返し自己紹介をする。


 「俺はランド、しがないFランク冒険者だ。よろしく」

 「あぁ、知ってるぜ何てったって街に来たアラブルベアをダガシカシさんの変わりに討伐したってんだからな」

 「そこまで情報が流れてるのか」

 「はっはっは、この街のコミュニティは幅が広いからな! どんな情報も筒抜けだぜ!」


 流石は田舎街だ、住人と冒険者の情報交換の伝達速度はかなり早いらしい。


 「それより、他のお客さん待ってますよ。早く行ったらどうですか?」

 「おっと、怒られちまった。それじゃ、俺は厨房に戻るぜ、ぜひ楽しんでいってくれよな!」


 そう言うとマスタードは厨房に豪快に入っていく。


 「あの人は結構変わり者で、料理も自分で運ぶんですよ。それくらいなら人を雇えば良いんですけどね」

 「面白いおっさんだな。嫌いじゃないぞ」


 エマが料理を食べ終わるまでじっと見ていたり、フィル達の事や冒険者としてどうするか等、色々な話をして昼食は終え、その後は雑貨屋の方を散歩ついでに見て回る事にした。


 「やっぱり色んな物がありますね」

 「あぁ、見てみろ。意味のわからない置物があるぞ」


 俺が指差したのは高さ5メートルにもなるであろう置物。

 4区切りになっており、顔のような物が彫られている。

 上から笑っている顔、怒っている顔、泣いてる顔、楽しそうな顔と言う順番だ。

 最初と最後同じじゃね? などと思ったが恐らく深いわけが有るのだろう。


 その後色々見ていき、ある1つの雑貨屋が目にはいる。

 いや、雑貨屋が目に入ると言うよりはその店の前にいる奴だ。


 「あ、あれって」

 「そうだな、奴だな」


 俺とエマは雑貨屋の前にいるその人物へと話しかける。


 「尻尾、何をしている」


 

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