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そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
辺境にて
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茶番

 武器屋へ着くと見覚えのある頭があった。見事に剃りあげられたスキンヘッドが眩しいハゲ頭。Bランク冒険者のダガシカシだ。


 ……仕方ない、挨拶だけでもしてやるか。そろそろアイツも影が薄くなってきている気がするからな。


 「ハゲ、こんなところで何をしている」

 「誰がハゲだっ! って何だランドじゃねぇか。見ての通り武器を物色しているところだ。しかし、お前は何してるんだ?」

 「俺はどんな武器が有るかを見に来たんだ」

 「へぇ、なんだ武器を変えるのか」

 「いや違うな。孤児院の子供に冒険者志望がいてだな。その面倒を少し見ることになった」

 「孤児院か、俺はそこに行くと怖がられるんだよな……」


 しょんぼりと体格に似つかわしくない行動をとるダガシカシ。

 可愛く無いんだよ、止めておけ。しかしまぁこの体格と顔だと流石に最高年齢十歳の子供しかいないところじゃ恐ろしいだろうな。


 「くそっ! 俺は純粋に子供と遊びたいだけなのにっ!」

 「気持ち悪いので止めてください」

 「おい、なんで敬語になった。違うからな? 年下が良いとかじゃないからな?」

 「あ、分かったのでそれ以上はこっちに来ないで貰えます?」

 「分かってねぇよな!?」


 いつまでもいつでも五月蝿い奴だ。お陰で全然武器を見ることが出来ない。無視しておこう。


 えーと、普通に剣、槍、斧、弓、短剣とかが主に有るのか。変わったものだと何故か鎖がある。


 これ武器じゃないだろ。

 あと、剣だけでも結構あるんだよな。まぁあくまで種類を見に来ただけだし迷う事は無いな、よし、このくらいで良いかな。


 「おう、なんだ買わねぇのか?」

 「どんなものが有るか見に来ただけだし、後は自分で作るから問題ない」

 「お前、鍛冶もできるのか?」

 「いや、全く?」

 「じゃあ、どうするんだよ」

 「それは色々有ってだな……ん? なんだこれ」


 隅っこの方に置いてある円盤で真ん中に大きな穴が空いている武器? を見つけた。

 なんじゃこりゃ。


 「あー、珍しいだろ? チャクラムっつったかな。なんか投げて使うらしいぞ」

 「へぇ、面白いものも有ったもんだな。じゃあ俺はこれで行くよ」

 「へいへい、あ、そうだ。ギルドに寄っていけよ、確か依頼が来てたぞ」

 「ん? 依頼? あ、領主か。分かった助かる」

 「お前、お礼なんて言えたのか……」


 エマもそうだがコイツも大概失敬だな。

 一般常識は持ち合わせてるつもりだぞバカ野郎。お前らからみて俺はどんなやつなんだよ。


 「非常識の怪物だな」

 「お前、後で覚えてろよ」


 軽く脅して武器屋から出ていき、そのまま序でにギルドに向かうとしよう。

 一々孤児院に行ってまたギルドなんて面倒だし誰もやらないからな。当然の判断だ。


 

 「あ、やっときました。此方です」


 ギルドに入るなり受付嬢に呼ばれる。断る理由もないので大人しく向かうことにしよう。


 「依頼が来たんだよな?」

 「はい、領主様から孤児院への修理依頼ですね」


 表向きにはそうなってるよね。まぁあながち間違いでもない。俺からしてみればタダ働きからちゃんとした依頼に変わったって感じがするだけだ。


 「分かった。受けるよ」

 「ではギルドカードの提示をお願いします」

 「はいよ」

 「手続きが完了しました。期限は領主様が終わるときに言うそうなのでそれまで頑張ってください」

 

 意外と鬼だな。

 なんだよ無期限な仕事って、過労死するわ。

 あ、その分お金が良いな。でも俺使わないしな。あ、武器作る材料費にでも宛てるか、あとそろそろやろうぜ鉄の体計画の為の資金にしよう。


 「じゃあ、用は済んだな、帰るわ」

 「あ、そう言えばギルドマスターがお会いしたいそうですよ」

 「はぁ……俺ごときに何の用だか」


 仕方ない、会っていくか。

 畜生、俺の武器作り時間が遠退くぜ。

 その分エマがフィル少年達の訓練に宛ててくれているだろうから一概にも悪いとは言えないかな。

 しかしギルドマスターの爺め、俺に何の用だ。


 「マスター、ランドさんをお連れしました」

 「入っとくれ」


 促されて入ると白く長い顎髭を携えた爺が座っていた。

 受付嬢はその場で礼をすると下がっていき、俺は見届けたあとギルドマスターの向かいにこちらを背にして座っている奴を見た。

 見覚えのある耳が見える。


 ……何してんのコイツ。


 「あぁ、済まんな。丁度客人もといそこそこの付き合いのある友人が来ておってな、一緒で構わんか?」

 「構いませんよ。それで? 話とは」

 「まぁまぁ、取り敢えずそこに座りなさいよ」


 指し示されるまま、俺は見覚えのある耳を持つ男の隣に座る。


 「さて、君の隣にいるのがワシの友人。名は尻尾じゃ、変わっとるじゃろ」

 「どうもぉ、よろしくねぇ」


 そう言って手を振ってくる尻尾。白々しい奴だな。これは遊んでいるな、乗ってやろう。


 「初めまして、私の名はランド。しがない冒険者ですよ尻尾殿」

 「これはこれは丁寧にどうもぉ、聞いてるよぉこの街で随分活躍してるそうじゃないか」

 「いえ、私の出来ることをしているまでです。所で尻尾殿は狐の獣人ですか?」

 「うん? そうだよぉ、見たまんまだねぇ。何か問題が?」

 「いえ、私は獣人を初めて見たもので、少し興味が沸きまして。特に聞いた理由も意味も無いですよ」

 「そうかい? まぁそれなら良いけどねぇ。それで? ギルドマスター、彼への用はなんだい?」


 他愛もない話をしながら他人行儀で喋る俺達。正直こんな事に何の意味があるのやら。


 「そうじゃの、何でも貴族と揉めとるらしいが今のところどうじゃ?」

 「情報が早いですね。今のところは問題がありません。どうやって木っ端微塵に撃退して此方に責任が伴わないかを考えていますね」

 「それは難しいじゃろ……」


 髭を撫でながら呟くギルドマスター。

 まぁ貴族とのトラブルなんて二の次だしな、今はフィル少年達の事が優先だな。

 フィル少年達が強くなってくれればこの街の問題を俺がやらなくて済むし、孤児院だって力ずくなら守れるようになるだろうし。


 「今は孤児院の子供達に訓練をしてあげてる位ですかね」

 「ほぅ? それはどういう意味じゃ?」

 「まぁ冒険者志望の子供達がいたわけですよ。孤児院を守りたいとか、有名になりたいとかで。ですから依頼を受けながら片手間に色々とね」

 「なるほどのぅ、人材が早く育つのは此方としても嬉しいらのぅ、ワシからも頼むとするよ」

 「分かった。んで、次は此方ですが、尻尾。何でこんなところにいる?」

 「えぇ、もう終わり? 楽しいのに」


 いやあまり楽しくはないからな。

 ほら見ろお前のせいでギルドマスターが口をあんぐりしてるじゃないか。

 交互に見てるぞ、どうしてくれるんだ。


 「し、尻尾、どういう事じゃ!?」

 「あはは、悪いねギルバード。私と彼は知り合いなんだよねぇ」

 「そういう事だな。尻尾のお遊びに付き合った、済まないな」

 「ほ、ほほほ、いやナチュラルに挨拶するから本当に他人だと思っとったよ。尻尾は相変わらず悪戯好きじゃな」


 ほっほっほと顎を撫でるギルドマスター。

 つーか名前ギルバードって言うのか、格好いいな。


 「ははは、君も変わらず反応が面白いねぇ。おまけにこんなに年食っちゃって笑えるよ」

 「尻尾、お主が変わらないんじゃよ……エルフでもないのに何で変わらないのかも教えてくれないしのぅ……」

 「例え友人だとしても隠し事の一つや二つあるよねぇ」

 

 隠し事って言うのは魔物だよって言うことか。

 まぁ気のおける友人にもいい辛いものはあるわ、急に裏切られるとかもう泣くしな。


 「尻尾の野暮用ってのはギルドマスターに会うためにか?」

 「ま、そうだね、久しぶりに来たんだ、顔くらいは見ておきたいよね。いつ死ぬか分かんないし」

 「お主、失礼じゃの。ワシはまだまだ死なん。そうじゃヘンリには会ったかのぅ? 今はこの街で領主をしておるぞ」

 「へぇ、あのヘンリがね、ぷぷぷ、こりゃ一度会いに行こうかな」

 「機会があれは俺が連れていくぞ、近々会うからな」

 「じゃあそのときにお願いするかな」


 ギルドマスターと領主は仲が良かったのか。

 て言うか年近いのかアイツら、ギルドマスターと領主で風貌が全然違ぇよ。


 

 「おっと、すみません。俺はそろそろ孤児院に向かうので」

 「おや残念。もっと話せば良いのに」

 「貴族との問題も有るからな。あまり離れるわけにもいかん。尻尾も来るか?」

 「私が行ったらおもちゃにされるだろう? ほら、愛くるしいし?」


 両手の人差し指を頬に当ててぶりっ子ポーズをする尻尾。

 いや、まぁ端から見ればそれなりだけど知ってる方から見れば気持ち悪いぞ。


 まぁ獣人なんてこの辺で見たことないし、珍獣扱いされそうだからな。

 だから行かないのか。なるほど。


 「じゃあ、俺は行く。ギルドマスター、また今度ゆっくりと」

 「うむ、頑張っとくれ。しかしお主はここに来て大忙しじゃの」

 「えぇ、本当に嫌になる」


 俺はため息を吐いてその場を去る。

 ため息出ないけどな!


 さて、早くやつらに武器を作らねば。

 因みに木製だ、当たり前だろう。まだ十歳の子供に鉄の武器なんぞ危ない上に重くて持てんわ。

そろそろ新しい小説書くかもです。

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