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そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
騒動
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戦後処理的な。

 尻尾がオーク、トレントの親玉コンビを捩じ伏せた後、その場で座らせここから今回の戦いについての賠償などを決める。


 因みに降伏の方は燃やした後にちゃんと改めてさせていた。

 降伏したように見せかけて攻撃したのはまぁ得策では無いがコイツらに出来る最善の手だとは思うがここまでボロボロにされているのだから、うちのリーダー格に挑んでも負けることくらいは分かる筈なんだがな。


 どうもコイツらは無駄にプライドが高そうだ、と言うよりは世間を知らない感じか? そんな感じがする。

 井の中の蛙だ。


 「じゃあ快く敗北宣言を受けたところで話をしようかぁ」


 尻尾は手を叩いてニッコリと微笑む。


 その笑顔は普通の笑顔ではない、悪どい、悪いことを考えている時の顔である。


 因みにこの場には俺、尻尾、親玉コンビだけだ。

 普通なら角も牙も呼ぶのだがアイツらには残っている敵が攻めてこないように見張って貰っており、ガケトカゲも森と平原の境目で見張りだ。


 ゴリラとエマは……知らない。


 兎に角、今回の事については交渉が出来る尻尾に丸投げしている。

 俺は退屈なので話を聞きながらちょっかいを出そうかなとか思っていたりいなかったり。


 そんなこんなで話は進んでいる。


 まず、今回の戦争は原因としては向こう側が使者を送り付けてる時点で向こうには攻めてくる意志が有った訳だが、此方はどこかのゴーレムのせいで喧嘩を買う真似をした事だろう。


 結局どっちが悪いんだか分かりゃしないが負けた方が悪いようで。


 「今回は負けた俺達が悪いと言うことになる訳か」

 「そうだよぉしっかり反省してくれたまえ」


 ニコニコと笑いながら返す尻尾。


 「おい、それよりもここは魔物の森の筈だろう、なんで人間がいるんだ」


 そう言って此方を見てくる親玉オーク、はて後ろに誰かいるのだろうか、エマ?


 「いや、てめぇだよ! フルフェイスの冒険者みたいなお前!」

 「あぁ、俺か。俺はこの森の雇われ冒険者だ。主に情報収集を行い今回の戦争の引き金を引いたうっかりものだ」


 俺は真面目に答える。


 「いや、ランド君、そんな嘘か本当か良く分からない事を言って混乱させないでおくれよ。因みに彼は人間じゃなくて魔物。ゴーレムだよ、だからこの場にいても何ら問題はない」


 おっと嘘がバレてしまったか。

 さすがは尻尾、バレるなんて一ミリも思わなかったぞ。


 「な! コイツ魔物なのか!? ゴーレム? そんな者がなんでここにいるんだよ!」

 「そんなこと今の君達には関係ないでしょ、それから君達の処遇何だけどねぇ」


 そう言うと親玉コンビは真剣な表情を作る。

 若干顔に緊張が走っているのが分かる。


 そりゃあな、あのまま降伏していればそこそこの処分で済んだかもしれないがやっちゃったからな。

 軽いものではないだろう。


 「今回の処遇は私達の森の従属と言うことで手を打とう」

 「な!?」


 ふむ、従属? それってつまり俺らの森の支配下にコイツらを置くと言うことだ。

 そんなことに一体何の意味があるんだ? それに親玉コンビは驚いてるぞ、そりゃ、負けたからって下に着くのは躊躇うよな。うん。


 「そんなことで良いのか!」 

 「そう、あと別に従うではなく私達同様の地位と言うことで」


 思ったのと違う。

 まさか喜ぶ方だったとは、それに尻尾はさらに同格で良いと言う条件を出した。

 何がしたいんだコイツ。


 「なぁ、どう言うことだ?」

 「いや? 別に深い意味はないよ? 彼らが協力してくれるなら戦力も森の規模も大きくなるしより身を守れるようになる。あとゴブリンやオークの労働力にトレントが出す木の実とか色々利益は手にはいるしさ」


 なるほど、森を活性化させたい訳ね。

 それなら配下にした方が良いのではなかろうか、いやそれだともしもの時に裏切られるか? なら同じ地位を与えて不満を溜めないようにするのは正しいことか。


 まぁ尻尾に丸投げしているのでどうするのかは尻尾に任せよう。


 「本当はお茶目なゴーレムが間違えて喧嘩売りましたって事は言わないで良いのか?」

 「君ねぇ、わざわざそんな場を荒らすような真似をしようとしないでよ。然り気無く楽しんでるね?」

 

 尻尾はジト目で俺を見る。


 だって普通の話とかつまらんからな。


 「それにこんな事話したらなんの利益にもならないでしょ、世の中知らない方が良いこともあるんだよぉ」

 「知ってる」


 ひそひそと話している俺らに少しでも話を進めたいのか正座の状態の親玉オークはソワソワしている。

 違うな、これは足が痺れているんだろう。

 長時間の正座は辛いからな、痺れないのに気持ちは分かるぞ。

 因みに親玉トレントは座れないので直立不動である。


 「それで、そんな厚待遇で良いのか? 仮にもこれは戦争だったんだが……」

 「別に構わないよ、ただし、君達が私達に危害を加えるなら今度は滅ぼすけどねぇ」


 睨みを聞かせて尻尾は親玉コンビを見る。

 親玉コンビはその威圧に体をビクッとさせるが、尻尾の尻尾は振られている。


 これはちょっと楽しんでるな。

 俺には楽しむななどと言っておきながら自分はやるのか、解せぬ。


 「もちろん、そんなことはしねぇ! な、トレント」

 「そ、そうよ! 流石の私も反省したわよ! 勝てっこ無いじゃない!」


 そこ! 俺を見て震えるな! 俺が何をした!

 ただ素晴らしいアトラクションを提供しただけだろう!


 「あ、君達オーク、トレント、ゴブリンはこちらの森に移住して貰うよ、トレントの力をもってすれば規模も広げられるでしょ?」

 「それは、別に構わないけど……いいの?」

 「良いの良いの、情報伝達するのに近場の方が楽だからねぇ、森の開拓にもなるし」


 こりゃ森は倍近く大きくなりますな。

 

 尻尾が言うには今の森を覆う様に森を広げ、その広げた部分にコイツらを定住させるらしい。


 これなら冒険者とか来ても最初にコイツらを当てられそうだし、こっちの戦力を見せなくても良いかもしれないな。


 ただ、広げた事により、人間に見つかってしまえば結構驚異に見られるのでは無いだろうか。

 まぁ、その時はその時で相手にすれば良いしそんな直ぐに来ることもないだろう。

 恐らく尻尾に至ってはコイツらにスキルの事を教えて強化しそうだ、俺でもそうする。


 尻尾の真意は分からないが今は俺の安全さが増すので特に気にかかる必要は無いだろう。


 「と言うわけで、彼らが仲間になる曉には名前をあげなきゃだよねぇ」

 「名前と言うと、尻尾や角みたいにか?」

 「そうだよぉ、そうすれば分かりやすくなるし、進化も目立つんじゃないかな」


 確かに、尻尾や角は他の妖狐やオーガと違って風貌が違うな、しかし牙どうなんだろうか? あれは受け継いだやつらしいから良くわからんな。


 「名前は受け継げるから牙はそのまま後に体つきが変わったんだよ」

 「なるほどな、しかし名前って自分でつけられないのか?」

 「そこが不思議なんだよねぇ、自分どころか魔物が魔物のに名前がつけられないんだ」


 名前は魔物がつけることはできない?

 いや待てよ?


 「ん? なら前達は一体なぜ名前があるんだ?」

 「あぁ、そこかい、それはかつての仲間から貰ったのさ、大事な大事な名前だ」

 

 どことなく儚げに胸に手を添える尻尾。

 一応美形だとは思うが男なので別にグッと来るものはない。


 「じゃあどうやって名前をつけるんだ」

 「そこはエマ君だね、かつて私達が名前を貰ったのは人間からなんだ。だから同じ人間なら大丈夫なんじゃないのかな?」

 

 へぇ、人間から貰ったのか。

 ならどうしてエマが訪れたときは敵意を剥き出しにしていたのやら。


 そんなことを考えていると俺の後方の茂みから2つの影が出てきた。


 エマとゴブリンだ。

 

 ゴブリンの存在を忘れていたがまぁ良いだろう、それよりもなぜ二人でいるのやら。


 「ランドさん、このゴブリンどうにかしてくださいよ、しつこくてしつこくて」

 「おい! この暴力女どうにかしろよ! あと良くも落としてくれたな!」


 どうやらエマは此方に独断で向かっている途中にゴブリンに遭遇したらしい。

 言葉が通じないのによく一緒に来れたもんだ。


 「エマ君、良いタイミングで来てくれたよぉ」

 「へ?」


 エマは尻尾から事の成り行きを聞き、俺もウザイゴブリンを慰めるような事はせずに今起こってることを説明した。


 親玉コンビが「人間がなんで!?」と先程と同じような事を言っていたので面倒だが説明すると納得した。

 序でに名前をくれてやる説明もすると歓迎していた。

 良いのかそれで、あっさりと掌返しやがって。


 「おい、尻尾。オークとトレントは代表が居るから良いがゴブリンはどうする?」

 「いやぁ、実はゴブリンの方は角が勢い余って殺しちゃったからね、新たに代表を決めなきゃいけないわけだよ」


 ふむ、角めしくじりやがったな。

 しかし代表か……聞くところによると死んだ親玉ゴブリンは頭が悪かったらしいし。

 

 ん? ここに丁度良いのが居るじゃないか。

 確か頭が生まれつき良くてあと一応は仲間を思う心は有るし、コイツで良いんじゃね? 時間かけるのも面倒だし。


 「ゴブリンはコイツで良いだろう。俺の実力も分かってるし格差をつけといたから無駄な争いを起こしたりはしないだろう。起こしたら俺が責任をもってオーク、トレントと共に葬ろう」

 「ん? まぁ確かに、ゴブリンにしては知性が感じられるね。時間もかけたくないし、ランド君の推薦でいこうか。ちゃんと始末の約束もあるしね」


 利害は一致したな、あと始末の件をあっさりと決める辺りコイツも俺もヤバい奴だな。


 「と言うわけだ、下らん事で反乱起こしてみろ、どいつが起こそうと全滅させるからな」

 「そりゃあんまりだぜ!」

 「横暴よ!」

 「そうだそうだ!」


 と親玉トリオが喚くが甘やかすのはいけないわけだよ。


 「回すぞ、飛ばすぞ」

 「「「すんませんっしたぁ!」」」


 ちょっと冗談を言ったら大人しくなったのでまぁ良いや。


 「ちゃんと仲良くしろよ、差別とかするんじゃねぇぞ」

 「わかった」

 「もちろんよ……回されたくないし」

 「うっす」


 承諾も貰ったわけだ。

 エマに変わり名付けタイムが始まる。


 「そうですねぇ~尻尾さん達みたいな名前が良いですし、この戦いを聞いて思った名前にしたいですね」


 うーん、とエマがうねり数分後。

 決まったのか手をたたく。


 「決まりました! ゴブリンさんは『棍棒』オークさんは『槍』トレントさんは『鞭』でいきましょう!」

 「その心は?」

 「はい! 尻尾さん達はそれぞれ体の特徴から名前に来てると思うんですが、私としましては今回、武器からいれようと思いまして」


 なるほど、ゴブリンは主に棍棒を使い、オークは槍、トレントはその蔦から鞭の様な攻撃をするからそう言うことか。


 「まあ良いんじゃないか?」


 俺はエマが名付けた名前を親玉トリオへと教えた。


 「「「ありがとうございます!」」」


 親玉トリオは、揃ってエマへと頭を下げ、その後尻尾の指示に従い、森に戻ってもらいそこから移住の準備をするように言われて、解散となった。


 親玉トリオが部下を引き連れ戻ったあと、俺は尻尾と話していた。


 「今日は助かったよぉ、まさかあんな移動手段があるとはねぇ、お陰で1日で終わったよ」

 「あまり長引くと面倒だからな、例には及ばんぞ」


 そう、戦争は1日で終わった。

 だが辺りはすっかりと暗くなっており、そらそろ周りは見えなくなる頃だ。


 「明日はまた皆で集まって今後の話をするから参加しておくれよ? ちゃんと紹介もしなきゃ行けないからねぇ」

 「まだやることは多いと言う事だな」

 「そう言うこと、ではまたね」

 「あぁ」


 尻尾は手を振ると夜の森に紛れて消えた。

 

 ……アイツらに名付けた人間について少し聞きたかったがまぁ何時でも機会はあるだろう。


 「帰るぞ」

 「あ、ずっと無視させれてるかと思いましたよ。退屈だったんですからね、ちゃんと祠に帰ったらお話してくださいよ」


 俺とエマは長いような短い様な戦いを終えて帰路に着いた。


 エマは日中寝てたらしく、朝方までずっと起きて俺の話を聞いていた。

 お陰で俺は不眠である。


 寝る必要はないのだが。


 

この章はこれで終わりでございます。

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