リベンジ・尻尾!
狐人間に勝負を挑まれた翌朝、俺は狐人間がいる森の南側を歩いていた。
エマも一緒なのだが、別に着いてこなくても良いと思う。
「いや、目を離したら何仕出かすか分からないじゃないですか」
信用されてないから辛い。
すると隣で歩いていたエマが姿を消した。
あいついきなりスキル使うのやめて欲しいな、なんで今使ったんだか、理解ができんな。
まぁ、後を追いかけてくるだろう、先に進もう。
「ちょっとーランドさん? 助けてくれませんかね?」
「何してるんだそんなところで」
「落ちたんですよ!」
スキルとかじゃなかった、普通に落とし穴に嵌まっていただけだった。
何であるんだよ落とし穴。
取り敢えずエマを救出して再び歩き出す。
途中で矢が飛んでくると言う事も会ったが何とか避けた。
あの矢1本のみだったのは不思議だった。
しばらく歩いたが一向に辿り着く気配がない。
普段ならもう到着する筈なんだけどな。
「全然見えてきませんね、どうなってるんでしょうか」
「さぁな、俺にもわからん」
んでそんな話をしているとエマが消えるのだ。
理由はわかる、通算5度目の落とし穴である。
こいつ落とし穴にかかる才能が有るかもしれない。
「そんな才能要りませんよ!」
「才能がないよりましじゃないか?」
「それなら無い方が良くないですか?」
才能はどちらにしても無いよりは良いと思うんだけどな。
「そんなことより私達、同じところ回ってませんか?」
「そうだな、3回目辺りから気づいていた、目印に傷つけた木がずっとあるし」
「何でそれ先に言わないんですか!」
落とし穴に毎回かかるのを見るのが楽しかったなんて言えるわけない。
そんなこと言ってみろ、多分何らかの方法で死ぬぞ。
「これって尻尾さんの罠って言うこと何ですかね?」
「恐らくそうだろう、準備するとは言っていたからな、これを準備していたのかも知れない」
用意周到な狐だな、嫌な性格が滲み出ている。
さて、どうやってここを突破するかが問題だ、そもそもなんだこれ、幻覚とかの類いだろうか。
少し前に狐人間の家が燃えていると言うイタズラは受けたがそれと同じ感じか、正直突破口は見えないな。
「どうすれば抜け出せるんだ?」
「こう言うのは、大体発信源となったものが元となってるって本で読みましたよ」
なるほど、発信源とやらをどうにかすれば良いのか、発信源か……何かあったか?
「ランドさん、ここ進むことは出来なくても戻ることは出来そうですよ」
「……1度戻るか? 何か分かるかもしれないし、無理なら森を焼こう」
「焼くのは最後の手段にしてくださいね」
取り敢えず来た道を戻ってみたが森は森だ、なんとなく違うなと言う感じがするだけで景色は特に大差ない。
変なこととと言えばきのう幹に突き刺さった矢位だろう。
「これが鍵だったりしませんかね?」
ははは、何を言ってるんだ? そんなものが鍵になるわけが無い、そもそも矢をどうすると言うんだ。
矢を引っこ抜いたエマは俺を手招きして落とし穴の有った幻覚が施されてるであろう森を進んでいく。
すると落とし穴のある場所に着くときに落とし穴をかわした。
「ふふふ、流石に何度も同じ手には、って、きゃあ!」
その隣にある落とし穴に落ちた。
ははは、バカめこんなことも有ろうかと少しずつ掘っておいたのだ、楽しんでもらって何よりだ。
「何してるんですか! いったぁ~、無駄な努力をしないで欲しいです」
「それで、矢をどうするんだ?」
どうやって矢で解決すると言うのやら、エマは矢を手に持ったまま森を進んでいく。
いやいや、まさか矢を持っていただけで幻覚から解放されるなんてバカな話が有るわけがない、そんな意味不明な解除方法は見たことも聞いたこともない。
そもそもそれで、幻覚から抜け出せるなら、俺は狐人間を容赦しないぞ。
「……ほら、脱出しましたよ! 仕掛けは分かりませんが結果オーライです!」
……集落が見えてきた。
嘘だろ? 本当にそんな仕掛けで良いのか、いい加減過ぎないか。
そんな子供騙しみたいな、適当な仕掛けで俺達はさ迷っていたのか。
集落へと無事に辿り着いたが俺は未だにこの幻覚の愚痴を言っていた。
「なんだよそれ、良いのかよ、なんか腹立ってきた」
「ランドさん、その怒りは尻尾さんにぶつけて下さいね? 私じゃ死にますから」
取り敢えず広場の方に向かうことにした、以前歓迎を受けたときも広場だったからな、もしかすれば居るかもしれない。
とか思っていたらそこら中から縄が飛び出し俺に巻き付いた。
エマはこの集落に来るまでにスキルを使って気配を消していたので捕まることはなかった。
変なところで警戒をする奴である。
しかし、この縄が巻き付くのは懐かしく思うな、以前フレンドリーファイヤを受けたとき位か、今回も歓迎だろうか、ゴーレム君お帰りなさい的な。
周りの茂みからは少しずつ狐人間の部下である妖狐達が出てきた。
「やぁやぁ、待っていたよぉゴーレム君、リベンジと行こうか」
「よぉ、狐人間、また歓迎か?」
「歓迎? 何の事か分からないけど行かせてもうよ」
狐人間は手を上げ勢いよく振り下ろす。
「──塵芥戦術焔・改」
すると周りの妖狐達が火を出現させ、縄を伝って俺の体を焼く。
以前やってもらった歓迎の火は、火力が段違いで俺の体は石であるにも関わらず焦げている気がする。
これは、相当な熱量だ。
幻覚なんかじゃないな、周りも被害が少し出てるし。
「あちち!」
エマもどうも緊張感に欠けているようだ地面を足で交互に踏んで踊ったり、火のドレスをつけて地面を転がっている。
やれやれ、こっちが燃えていると言うのに心配位してほしい物だ。
いよいよ縄がもたなかった様だ、焼けて切れた。
周りにいた妖狐達も次々に火を追加してくる。
今の俺はかなり大きな焚き火になっていることだろう。
良かった、体が石で、木で作ってたら形も残らないだろう。
その事を考慮してフレンドリーファイヤなんて考えるのか、サービスが素晴らしい。
「全然燃えないねぇ、困ったよぉ」
これってそう言えば勝負だった気がする。
歓迎もある程度受けた訳だし、そろそろ此方から先に行かせてもらうとするか。
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