リベンジ・角!2
遅くなり申し訳ない。
「見せてやろう、この俺のスキルをな!」
なんで2回も言ったのか理由は分からないが恐らく大事なのだろう。
この短期間で強くなったんだ、スキルの方も危険だろうな。
取り敢えず近くの石を[物質操作]で集めて腕を修復しておこう。
流石に亀裂入ったままだと勝てるかは微妙だし、身体能力なら俺に近い角のスキルだ、相当強力だろうし。
するとずっと腰に着けていた瓢箪の蓋を開けて一瞬だけ口をつけて戻した。
酒を飲んだんだろうな、こんなときに呑気なものだ、水分補給代わりだろうか。
「ほら、いくぞ」
角は先程の本気であっただろう速度と威力よりも速く、こちらへと向かってくる。
嘘だろ? あれ本気じゃなかったのか?
だとしたら驚きだし、そもそもまだまだぁ!」スキルを使ってないと言うことだろうか。
取り敢えず後退しておこうか。
すると俺のいた場所に角が来ており、俺ほどではないものの、結構大きめの穴が空いた。
でもそれって飛び散った土で前見えないじゃん、今のうちに攻撃しとこ。
「隙有り」
丁度土で視界が塞がれたところで前蹴りをお見舞いする。
これも勝負だ、大変心苦しいが仕方ないよな。
吹き飛んだ角はそのまま俺の空けた穴に落ち、俺は物質操作で再び生き埋めにする。
「全然気が進まないな、本当に反省してるぜ」
土で埋めて石で積めて折れた木を運んで蓋をする。
悪意はないぞ、ただ土だけだと脱出される恐れがあったから追加要素を加えただけだ。
あと、俺の空けた穴をちゃんと埋めないと誰かが落ちると困るだろ、親切に埋めたのだ、そこにたまたま角が落ちていって俺は気づくことが出来なかった、それだけだ。
「うわー、卑怯ですね」
外野は黙っとれ、こっちは真剣勝負なんだ、勝負に卑怯も糞もないと思う。
これは俺が角を認めているのであって決してやる気がないとかじゃないぞ。
「……よし、この辺で良いだろう。今度こそ帰ろう」
少し離れてやっぱり出てくるかもしれないと振り替えるがそんな様子は見当たらない。
地面がピクリとも動かないのでそのまま後にした。
「……お前は助けないのか?」
「いや、私にはあの穴からの救出は無理です、角さんには悪いですが、土の肥やしになってもらいましょう」
コイツの見捨てかたの方が俺よりも酷いと思う。
肥やして……
あれから3日経ちました、角が祠に来る様子はない。
普通なら何とか抜け出して祠に来ると思ったんだけどな、まさかまだ埋まってるなんてことは無いだろうはっはっは。
「……どう思う?」
「土に還ったのでは?」
「本当に人間?」
魔物より魔物っぽい、ここに住んだせいで人間の心を忘れのだろうか。
……人が変わるのは自由だろう、俺は口を出さない様にしよう。
「おーい、ゴーレムくーん、いるかぃ?」
突然向こうから狐人間が走ってくる。
4日ぶりだろうか、相変わらず胡散臭い。
「失礼なこと考えてなかったかい?」
「なんのことやら、それより狐人間、何のようだ」
「いや、3日前から角の姿が見えなくてね、勝手に人里に行ってないか心配なんだよねぇ」
それは大変だ、今の角ならまず死ぬことはないと思うが俺との戦いの後が3日で治るとは思えない。
そんな状態で人里に降りれば流石にヤバイんじゃないか?
取り敢えずエマにも説明をして角がいそうな場所を聞いてみる。
「いや、絶対埋まってると思います」
いやいやいや、角だぜ?
あの角さんが穴ごときに埋まったままなんて有るわけないだろ。
「取り敢えず行ってみるのはどうですか? 穴が空いていたらいないと分かりますし」
「そうだな」
「あ、じゃあ私も行くとするよぉ」
狐人間、エマと共に角と先日勝負した地形の変わった広場に向かう。
想像通り、穴は空いておらず、3日前とその姿形は変わらなかった。
寧ろそこそこ周りと溶け込んでいて、ちょっと探すのに苦労したくらいだ。
この森も不思議なんだよな、ある程度までの自然の成長速度が速いのに一定の成長をすると止まる。
謎だ。
「ほら、ランドさん、さっさと掘り起こしてくださいよ」
促されるままに[物質操作]を行い、木、石、土を退けていく、全く誰だ、こんなに沢山の種類の重りを作ったやつは、面倒だろうが。
おっと、なんか赤い腕が見えるな、ちょっと怖いしこれは埋めておいても良いんじゃないか?
土かけとこ。
「ちょっと! それが角だよねぇ!? 土かけないでよ! 早く救出して!」
うるさい奴だな、冗談に決まっているだろう。
腕をつかんで引っこ抜くと、白目を向いた角が出てきた、体は痩せ細っており、みる影もない。
「これは、逆に埋めてあげた方が良いんじゃないか?」
「奇遇だねぇ、私も一瞬だけそう思った、でも生きてるみたいだし助けようかぁ」
角の集落まで近いので、角を引きずりながら連れてくことにした。
途中で木の根っこなどで頭をぶつけて微かに声が聞こえた気がするが、俺は疲れているのだろう気のせいだ。
「つ、角さまぁ! 今までどこに行ってたんですか!」
集落にいるオーガ達が駆け寄り、俺は角を渡した。
「1人で土のなかに居たんだ、これはコイツの趣味なのか?」
「いえ、角さまにそんな趣味があるとは……目覚めたのですかね?」
「いやいや、君が埋めたんだろう? エマくんから聞いてるからねぇ、下らないことを吹き込むのはやめてよぉ」
ちっ、せっかく純情なオーガで楽しもうと思ったのに、邪魔しやがって。
特にオーガ達から責められる事もなかったので、狐人間、エマと共に戻ることにした。
そう言えば、ゴリラは何処に行ったのだろうか。
「ん? カウントゴリラ君かい? それなら私達の集落にいるよぉ、仲良くしてくれてるみたいで何よりさ」
「そうか、なら良い。良ければ面倒を見てやってくれ、家にはもう凶暴な魔物がいるからな」
「それって私の事じゃないですよね? 違いますよね?」
そんな笑顔でみるなよ、照れる。
狐人間は苦笑いだ。
「なぁ、狐人間、お前は一体どんなスキルがあったんだ?」
「おや? 知りたいのかい? どうしようかなぁ」
適当にはぐらかそうとする狐人間。
こう言うところが腹立つな。
「あ、そうだ、エマ君からは角が君にリベンジしな来たんだよねぇ? なら私も君にリベンジするよぉ、それで私に勝てたら教えてあげよう」
ニコニコと笑いながら語る狐人間、いや、ニコニコしてるのはいつものことだな。
大体良からぬ事を考えている顔だ。
「お前と戦ったことなんてあったか?」
初めて会ったのは覚えているが、歓迎を受けただけだし……記憶にないな、まぁ良いか。
「まぁ良いだろう、もう少しのんびりしたかったが狐人間の事だ、勝手に仕掛けてくるだろう、ならさっさと受けるとするさ」
「話が早いねぇ、それじゃあ明日勝負と行こうか、私は準備が有るから、明日の朝私の集落まで来ておくれ……辿り着けると良いけどねぇ」
クククと自信満々に笑うと狐人間は自らが住む南側へと帰っていった。
面倒だな、やっぱり受けなきゃ良かった。
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悪いところ、こうしたらどうよ? ということでも良いです。
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