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そのゴーレム、元人間につき  作者: HIGH
始まりはいつも突然
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主との決着

 ゴリラとの戦闘は苛烈を極めている。

 

 ゴリラはその図体とは裏腹に素早く、更には木を使い方向転換や緩急をつけてくるので厄介なことこの上ない。


 ……全部かわしてるんだけどね。

 おまけに攻撃が外れたと同時にカウンターで軽く転がしてる。


 でもゴリラも強いぞ、正直アラブルベア何かよりも余程だ、化け物だと思う。

 避けてるから良いけど当たったら流石に吹き飛びそうだ。

 

 今も前方から走ってきたかと思えば俺を飛び越え、俺が後ろを見たときには木をバネがわりにして加速してくるんだから面倒だ。

 

 予想はしてたんだけど、想定よりは早い、これでスキルを使ってないと言うんだから正直やってられない。

 面白いけどな。


 「流石ウホね、本当に何の魔物なんだ?」

 「勝てたら教えよう」


 それにやる気を滾らせたのか攻撃に鋭さが増す。

 今までのも本気ではなかったと言うことだろう。

 

 俺は今かわすことに専念しているが、それはあくまでもゴリラの実力を見たいからだ。

 今もゴリラは地面をわざと殴って土を撒き散らして目潰しに使ってくる、本当に嫌なゴリラだ。


 木を使い縦横無尽に動き回り、加速した野老で死角からの攻撃、それを体を捻らせて避け、蹴り飛ばす。

 その反動すらも利用して木を使って方向転換し再度突進、上半身を地面につくかつかないかの距離まで後ろに仰け反り、通過した所で勢いよく起き上がって鳩尾にヘッドバットをする。

 回転しながら少しでもダメージを減らそうとして空中で体勢を整えているが着地したときには流石に膝を着いていた。


 こいつ、戦闘センスが恐ろしいな。

 以外と間一髪な所が時々あるぞ、本気じゃないとはいえ、ここまでやるとは本当にBランクなのだろうか。


 「やるウホね……そろそろ俺も本気を出す」

 

 そう言ったゴリラは勢いよく自分の胸を殴り付けている。

 ドラミングだな、攻撃力が上がると言うスキルだ、やはり本能の部分で理解しているんだろう。

 かれこれ戦闘開始から1時間が経過しているがまだまだ余裕そうだ。


 ……俺もそろそろ攻撃に出るか。


 するとドラミングを終えたゴリラは体つきが明らかに違う。

 まず、ただえさえ丸太のように太いその腕が3倍ほど膨張している。

 その上なんだかサイズもでかくなっている気がする。


 明らかに存在感が増した。

 これは油断してるとやられかねんな。

 と思った直後だ、それはもう先程のとは比べ物にならない速度でゴリラが突っ込んできた。

 流石にヤバいと思い、迫る拳にあわせて両腕を前に出し防御するが勢いが強かった、初めて殴られて浮いたぜ。


 空中で姿勢は崩れないものの、10メートルほどは飛ばされた。

 なんちゅう破壊力だよ、人間だったら死んでるぜ。

 両腕の服にヒビが入ったじゃないか……あ、腕も欠けてる。

 ……ガケトカゲ以来のダメージだな、痛みとか無いけど。


 しかし、そう何度も受けて良いものじゃないな、腕がもげるし……よし、危険だ、終わらせよう。


 そう決意している最中、ゴリラは俺の回りを動き回っていた。

 ……ちっ、ドラミングの効果で力は上がるが知能は低下するなんて期待は無くなったな、よし、次の攻撃で決めよう。


 十分に速度を上げてお得意の死角からの攻撃を繰り出そうとするゴリラ。

 だが、そんな攻撃が何度も通じる訳がない、速度、威力共に段違いだが、慎重な俺の想定と想像を超えることはない。

 

 そちらがスキルを使うならこちらも使おう。

 俺は自らのスキル『付与』の[硬化]を自分自信に付与、そして[攻撃小down]をギリギリでゴリラに付与することができた。


 ゴリラの渾身の1発は俺に直撃するものの、こちらはびくともせず、ゴリラは戸惑った。

 その間に[軟化]を付与し、動けるようになった所で[攻撃小up]を俺に、[防御小down]をゴリラに付与して油断と戸惑いで反応が遅れたゴリラへと拳を叩き込む。


 「ウホォォォォァァァァァ!!」


 周囲の木々を薙ぎ倒しかなり遠くまで飛んでいったゴリラ。

 道が開拓できたな、まぁ体を強化しているゴリラだから多少は大丈夫だろう、それに俺の腕もボロボロだから大した威力にはなってないだろう。


 



 5分程たった、戻ってこないな、様子を見てくるとしよう。


 


 案の定、ゴリラは気絶していた。

 話が進まないので叩き起こすことにしよう。


 「……はっ! 俺は、負けたウホか」

 「そうだな、俺の勝ちだな」

 「強すぎるウホよ、全然ダメージも通った感じがしないウホ」

 「バカめ、俺の両腕を見ろ、ボロボロだぞどうしてくれるんだバカ野郎」


 直すの面倒なんだぞ、5分くらいで終わるけどな。

 だが、何となく腹が立ったので八つ当たりしてみる。


 「ご、ごめんウホ。つい楽しくなって……」

 「い、いや、言い過ぎた、そこまで気にしてはいない」


 なにこのゴリラ、すげぇ素直な良い子じゃん。

 俺が悪者だぜこれじゃあ。

 

 さて、この後の事だが、コイツには俺らが帰るまではこの森に滞在してもらおう、その後一緒に戻ると言う寸法だ。

 その事を提案すると。


 「分かったウホ」


 すんなり受け入れてくれた。

 そろそろ冒険者の連中も起きるかも知れないし戻るとしよう……ゴブリンも狩ってないしな。



 


 ゴリラに別れを告げ、冒険者の元へと向かったのだが、これまたコイツら起きてこない訳だよ。

 少しイタズラするか。


 


 「……ん、ううん、ここは?」


 リーダーの男が目覚めた、俺は木陰に隠れてこっそり見ている。


 「んっ……」


 リーダーの隣で寝ている魔法使いの女が艶っぽい声を出す、それはそうだろう、リーダーは魔法使いの女の胸の位置に手がある状態なのだから。


 そりゃ起きて間違えて揉む事もあるよね、全部俺の仕業です。

 危機意識をもってもらいたいんだよ、決して悪意がある訳じゃないぞ。


 「あ、」

 「えっ!?」


 目が冴えたリーダーと魔法使い、そして目が合う、リーダーの手は魔法使いの胸に、そして魔法使いの目はリーダーが揉んでいる胸に目が行き、だんだん顔を赤くしていく。


 「す、すまない、不可抗力だ、目が覚めていたらこうなっていた」

 「……っ! いつまで揉んでるのよ」


 今が良いタイミングだろう。


 「……あれ、リーダー、何してるんだ、え? こんな朝っぱらからですか、夜出来なかったからって皆寝てるからってそりゃないでしょ」

 「げ! ランド! これは違う!」

 「違うのにいつまでも胸に手を置いてるじゃないか、それはそう言う気持ちがあったんだろう?」

 「違うって! それに起きたらこうなっていたんだよ!」

 

 熱弁しているがその間も手は魔法だ胸だ、しかも揉んでる、魔法使いは顔を赤くしているが、何か悶えているような気もするが、こんな朝から発情なんてしていないだろうな。


 「いつまで揉んでるのよ!」


 乾いた音が周囲に響いていた、魔法使いがリーダーにビンタをしたのだ。

 そしてその音で次々に目を覚ましていく冒険者達。


 まぁ、多少は面白いものが見れたし良いか。

 

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