新たな仲間
翌朝、狐人間、狼、おっさん、ガケトカゲは俺と女冒険者が勝手に居座っている祠へと集まっていた。
女冒険者は先日も俺に凭れ寝ていた。
いい加減離れてほしい所だった。
「やぁ、おはよう、昨日はよく眠れたかな?」
「おはようございます! はい、バッチリです!」
「それは何より、では、私からの条件を説明するよぉ」
他の魔物達には話をしていなかったな。
だから改めて話す、そう言うことだろう。
どうして上に立つ者は回りくどい体裁を気にするのかねぇ。
何の話だろうか。
自分以外の事は少しは分かるのに俺は何故か自分の事だけは知らない。
俺は一体何者だったのか、それとも最初からゴーレムと言う魔物だったのだろうか。
だとしたらなぜもっと早く目覚めていなかった?
祠の一部になっていたこの体はいつからあったのか、そしてなぜ俺と言う自我があるのか、ゴーレムは自我のない魔物な筈、どうして……ダメだな、考えても分からない、もどかしいな。
今回の事で何か分かると良いんだが……
どうやら説明は終ったようだな、そんなに自分に着いて考えていただろうか。
いつの間にか全員がこちらを見ていた。
なんだよ、注目されるのは嫌いなんだこっち見るな。
「あの、ゴーレムさん、大丈夫ですか?」
「君は、急に変な雰囲気を出すからねぇ、少しだけ殺伐としちゃうよぉ」
「今までに見たことない雰囲気だったな」
「うむ、思わず警戒してしまった」
「正直、最初に戦った時より怖かったべ」
なに、そんなに危なっかしかったか。
確かに、分からない事が多すぎてむしゃくしゃしていたんだろうな。
俺ってそんなに外に出やすいか?
「気を取り直して、人間君、祠の中の調査をお願いするよぉ」
「分かりました。外から見るとそれほど広くない感じですし、直ぐに終わると思います」
そう言うと祠へとスタスタ入っていく女冒険者。
他のやつらはそわそわしている。
それはそうだろう、長年分からなかったことだ、と言うか昔には人間も多少は来ていただろう。
なら中はもぬけの殻って言うのもあるのではないか?
暫く皆と話をしていると(俺は一言も喋っていない)30分後位には女冒険者が戻ってきた。
結果はどうだったんだろうな。
「やぁ、お疲れ様、どうだった?」
「はい、中に入るとやはり遺跡の様でした。そして、地下室がありましたね1階となる部分には何もない空間だけだったんですけど、地下には……中にはお墓……と言うんでしょうか、祭壇の様なものに棺桶が置いてあって、そこに誰か眠っている様でしたね、開けようと思ったんですが開かなかったです」
「あったのはそれだけかい?」
「はい、あ、他には奥に扉? の様なものがあったとしか、こっちも開かなかったです」
「なるほど、分かったのは棺桶と扉か……全然予想がつかないねぇ、まあ、良いか、別れば儲けもの程度だったし、よし条件は達成だ。そしてこれより、話し合いの場を設ける」
意外とあっさりだな、もう少し深く考えて予想しても良いんじゃないか?
しかし、結局俺の事は分からずじまいか。
期待していたんだが、仕方ない。
「さて、牙、ガケトカゲは既に賛成派だね、そして角も酒に釣られて賛成した訳だよぉ」
「おい、酒に釣られたって言い方止めろ」
「本当の事じゃないか、何か問題あるかなぁ?」
「示しが着かねぇだろ! 子分達に!」
「元から無いよ、問題ない、それで、私の審査なんだけどねぇ?」
「は、はい!」
「別に居ても良いんじゃない? でも、居座る代わりにこちらの要望にはできる限り答えてもらうけどねぇ」
「!? 良いんですか! あ、ありがとうございます!」
どうやら決定した様子だ。
俺も今はコイツの事はどうでも良くなった。
祠に住み着かなければな。
「うん、よろしく頼むよぉ、改めて名を名乗ろう。私は尻尾、森の南側、妖狐を取りまとめる長だ、尻尾と呼んでくれ、エマ君」
「ん? 自己紹介か? 俺の名前は角。東側のオーガをまとめている長だ、酒の事は忘れるなよ。」
「我の名は牙、最近西側をまとめている長だ、気楽に接してくれて良い」
「オラの名前はガケトカゲ、最近ここにやって来ただ。仲良くして欲しいべ、よろしくぅ」
「改めて、私はエマ! どうみても冒険者です! ランクは低いですが、この森の力になれるなら頑張ります! よろしくお願いいたします!」
自己紹介が終ったようだな。
俺は一切喋れないからな、する意味がない。
と思ったら狐人間が紹介した。
なるほど、存在理由が分からない不思議なゴーレムと……ふむ、存在理由が分からないって引っ掛かるな、ぶん殴ろうか。
正式に女冒険者は森の住民になりました。
そして定住先に俺の祠を選択しやがった。
殺意は満タンだ、誰から死ぬ?
狐人間達の言い訳としては、「なついてるし、ここでは低級な魔物に襲われる心配もないし、雨風凌げるじゃん?」と言うことだ。
低級な魔物ってお前らの部下だろうが。
奴等は言うだけ言って逃げ帰ってしまった。
去らば俺の暮らし、今日は都会の喧騒。
都会……なんだっけ?
「改めまして、よろしくお願いしますね! ゴーレムさん!」
ニコッと可愛らしい笑顔をなんの罪悪感もなく放ってくる女冒険者。
俺がアンデットの類いなら浄化されているだろうな。
だが、残念ながら俺はゴーレム、浄化はされない!……多分。
「……そう言えばゴーレムさん、出会った時から気になっていたんですけど、横腹のヒビ、大丈夫なんですか?」
ん? ヒビ? あ、これか、忙しくてすっかり忘れていたな。
これは、俺がガケトカゲの奴のハンマーを喰らったときにできた傷……みたいな奴だな。
左の横腹の殆どにヒビが入っている。
激痛とかは感じないのだが、放置して崩れて俺死亡とか嫌だなぁ。
「ゴーレムさんもそうですけど、魔物の方々はスキルが使えないのですか?」
は? スキル? なにそれ。
俺は首をかしげて、その存在を知らないことを示す。
すると女冒険者は考える様な素振りをし、こちらに告げる。
「えーと、私達人間は自分達がそれぞれ、様々なスキルを持っているんですよ、それが魔物さん達には無いんですかね?」
それは、分からないな。
狐人間に聞いてくれ、しかし、スキルか、そんなものが魔物に有るのならなぜ皆分からない?
いや、もしや魔物の常識で俺が知らないだけか?
確かめようがないな、どんなスキルを持っているかなんて分かりようがないだろう。
「あ、そうそう、自分がどんなスキルを持っているのか確認する方法だってあるんですよ!『ステータス』って念じるんです!」
へぇー、これは、実験してみる価値はあるかなぁ?
はい、ステータス。
Lv35
スキル
『付与』[攻撃小up][防御小up][速度小up][回転][硬化][軟化][攻撃小down][防御小down][速度小down][ステータス小up][ステータス小down][音][属性耐性][付与効果範囲向上]
『物質操作』[石][土][砂]
……なんだこれ?
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