背後に注意
面倒だ、実に面倒だ。
ガケトカゲが現れ、鎮圧し、調子に乗った狐人間の家を破壊して数日たった、1週間程だろうか?
本当に広いぞこの森。
ガケトカゲは今日も張り切っているし、他の奴等もなんか活気があるな、そんなに楽しいだろうか。
俺は楽しくはない、疲れてるんだ。
いや、体力に限界はないよ? でもさ、精神的な疲れって奴だな。
あー、帰りたい。
さて、狐人間の家もあの後3、4回くらい破壊されてはいるが今は無事に建設が終わっている。
と言うか建設の速度が凄まじい。
魔物の癖に建物に住んでいたり、作ったりできるのは魔物の間では普通なのだろうか。
俺はいつの間にかゴーレムだったからなぁ、常識がわからない。
口が聞けないってのは結構大変だな、いつか喋れるようになろう。
「ん? 何を不思議そうに見てるんだい? あぁ、家かい? おかしいでしょ、魔物が家を建てるなんてさ、私達は私が時々人里に降りるのさ、その時にちょっと拝借したりするねぇ。それを私が皆に伝えてるのさ」
都合のよいことにこちらの意図を感じ取ってくる狐人間。
こいつはどうなってるのか不思議で仕方がない。
「あぁ、そこ、違うよぉ。そんなんじゃ建てた後に老朽化が早くなってしまう。だから、違うって! ちゃんと話聞いてよ角ぉ!」
「小難しくてわかんねぇよ! こう、ドガーンとやってズバーンて説明しろ!」
「そんなことで分かるのは角だけだよぅ! 他のオーガは理解してくれるよ! 全くそれ終わらなきゃ今日の酒はないからねぇ!」
「それはあんまりだろ! 仕方ねぇさっさと終わらすぜ!」
「だから違うっていってるじゃないか! それさっき言ったばかりだよ!」
よし、こんなアホどもは放置だ。
暫く歩いた所には狼とガケトカゲがいた。
何話てるやら。
「ほぅ、崖の上にはそのような植物が、なるほど、特に草木がないのに育つのか、不思議であるな」
「だべぇ? でも、崖から初めて降りたオラからしてみればこんなに草木が生えてるのが不思議でしょうがねぇべ」
「ふむ、その土地によっては常識と言うものが違うのだな、これもまた興味深い」
なにやら文化交流をしているな。
1つ言っておこう、そのトカゲここ破壊した本人、その狼、自分の陣地破壊されてますからね。
アホなのかな。
なに仲良くなってんだよ。
俺がおかしいのか?
麻痺してくるな、離れよう。
作業は滞りなく進んでいるし、後は最終的な家の調整したり、まだまだ残ってる木を運んだりで結構時間がかかるがそれも後数日程で終わる。
俺がやることは木を集めて運ぶだけだ。
因みに集めた木は全部祠の空いた土地辺りに置かれている。
おい、仮にも俺の家だぞ、物置じゃないと言いたいが喋れないからな、やられたい放題だ。
今は森の集まった木を祠に運んでいる最中だ。
殆どの魔物が西側に集まってるからな、誰にも会わない。
他のオーガや妖狐等は自分達の家の補修をしている長年使ってるし、ついでにリフォームをするらしい。
まぁ、幸い木は沢山あるからな、とって捨てるほどに。
「ちょ、ちょっと! どう言うことですか!? 私の特訓に付き合うとおっしゃったじゃないですか!」
「へっへ、だからよ、戦闘の特訓とは言ってねぇぜ?」
「ここは人目につかねぇし国からも大分離れてる、つまり、そういうことの特訓なんだよ」
「おいおい、ここは一応魔物は出るんだ、早くやっちまおうぜ、けどよ。へへ、やっと遊べるぜ」
「は、放して!」
ん? なんかうるさいな、聞きなれない声だ。
どうやら、男3人、女1人か、うん、人間だ、初めて見たけど懐かしいような。
なんで懐かしいんだろうな。
まぁいい、おそらく冒険者だろう、でも様子がおかしいな。
揉めている様な感じがする。
おいおい、こんなところで油売ってて魔物に見つかったらどうするんだよ、あ、魔物俺だわ。
え、どうしよう、このまま襲ってみる? 俺初めて人襲うなぁ、緊張する。
いやまて、俺は善良なゴーレム。
この森ではそこそこの強さだが冒険者からしたらゴミのように払われるかもしれない。
「じゃ、とっととおっ始めますか! おい、テメェらちゃんと見張っとけよな」
「わかってるよ! でもちゃんと交代しろよな」
「くぅー! 既に興奮してきたぜ」
「や、やめてください! じょ、冗談ですよね?」
「あ? 冗談な訳ねぇだろ、お前はここで俺らのオモチャになるんだよ」
「い、いや! だ、だれか! 助けモゴッ」
「うるせぇんだよ! 魔物が来ちまったら萎えんだろ!」
あー、これはあれだ、うん、言わない。
何故か知識としては知ってるが何で知ってんだろうな、俺はアホなのか。
あー、大変だな、女冒険者さんお疲れ様です。
じゃ、自分関係ないんで帰りまーす。
って、よく見たら進行方向にいるじゃん。
邪魔だなー、さりげなく通ったらすんなり行くんじゃないかな。
よし行こう。
決めたことはすぐ実行、後回しにして良いことなどない! と思うんだがいかがだろうか。
と言うかあいつら全然気づかない。
女冒険者の服を1枚1枚丁寧に取って興奮してるから注意散漫だ。
アホか、俺が善良なゴーレムじゃなかったらこの木の束投げてるところだぞ。
……ちょっとやってみようかな?
「うひょー、良いねぇ、お前なかなか良い趣味してるなぁ! これは興奮もんだぜ」
「だろだろ? こう、自分達も焦らすことで想像力をって、おい、見張りしろよ」
「だって脱がすのはお前しかできねぇじゃん、俺らも見たいの! な?」
「ああ、それになんの音もしねぇし全然来る気配はねぇよ、それにここには体した魔物もいねぇ、余裕余裕」
好き勝手言い放題だな、どこぞの狐人間か。
因みに俺は接近してるのだが、足音はゆっくり歩いてるため聞こえないようにしてるし、気配はただの石なので全くしません。
足音を消してる理由は、遊び心だ、急に俺が現れるとどんな反応があるかと気になるからな。
はい、もう既に後ろに居るわけだ。
シムラがいるなら教えてあげたい。
シムラって誰だよ。
「へっへ、もうすぐお楽しみだぜ?」
「あ、ああ……」
「ははっ! 怯えて声もでねぇか!」
「けへっ、その顔! あぁ! 楽しみてぇ!」
男の一人が見え辛かったのか、場所を移動し顔さえ上げれば俺が見える場所に移動した。
あ、目があった、2度見だ。
腰を抜かしてあわあわ言ってる。
「おい、どうしたんだ、あわあわして」
「シ、シムラ、後ろぉ!」
「は? 後ろにゃなんもいね…え…」
シムラってお前かよ。
ホントにいるとは思わなかった。
さて、全員が腰を抜かしたんだが、この後の事は全く考えていない。
始末しておくか、遅かれ早かれ人は殺すだろうし。
いやぁ、善良なゴーレムさんにはキツイお仕事だが、この森の為だ肥料となれ。
森の事はどうでも良いけど。
大きく振りかぶって……殴りましたぁ!
──ドッガァァァァァァァァァン!
凄まじい爆風と爆音で全員が飛んでいった。
殆ど裸同然だった女はそれはもう盛大に見せては行けない物を見せながら飛びましたよ。
因みに人は殴っていない。
真下の地面だ、でも正直余波が強すぎて冒険者は傷ついてたけどね。
歩けない程じゃないし、なんとかなるだろ。
さて、威嚇はしてみたがここで帰ってくれなかったらちょっとなぁ、ピンチかも。
「な、なな何でこんなクソ森にゴーレムがいるんだよ!?」
「俺が知るか! に、逃げるぞ!」
「ま、まて、腰が、腰が抜けて」
はっはっは、どうやら成功だな。
森的にはここで始末した方が良いんだろうか。
コイツらが他の強い冒険者とか呼んできたら流石に負けそうだし。
先を見据えて行動するのも大事だよな。
よし、死んどけ。
「ひ、ひい! お、お助け、くべえっ!」
「シ、シムラ!? ハブルッ!」
「う、嘘だ! ま、まっべけっ!」
上から振り下ろされた俺の拳は、もぐら叩きよろしく、冒険者どもをぺしゃんこにして影も形も残さなかった。
回りには血飛沫と骨の残骸と肉の破片が飛び散っている。
うん、やり過ぎたと思わないでもない。
反省はしないけど。
さて、女冒険者の方だけどどうしよう。
多分、生かしておいても問題ないかな。
だって他の冒険者呼ぶにしてもこの状況と自分がなぜ生き残ったかとか説明しなきゃならないし、それに、女の服も切られてる。自分が何をされたかなど言いたくはないだろう。
放置だ、決定。
祠に戻るとしよう。
「え、あ」
何か言いたそうだけど、所詮俺は魔物だからなぁ、迷ってるんだろうな。
てか、こいつ、放置してたら他の奴等に見つかるか? 俺には関係ないな、当初のとおり、放置で。
「あ、あの! ありがとうございます! 助けてくれて!」
お礼言われた。
何でだよ、目の前にスプラッタされたお仲間いたんだよ?
善良なゴーレムさんがわざわざ殺したんだぜ? お礼とかする?
なるほど、この女はグロいのが好きらしいな。
大方、こんなグロいの久しぶりです! 眼福です! 的なあれだな。
理解した。超怖い。
十人十色とは言うし、俺も生物はみんな違ってみんな良いとは思う、けどこれはちょっと笑って許容できない。
嫌だこの娘、将来不安。
放心状態の女冒険者は放置だ。
家では飼えません、誰が散歩させると思ってるの!
さて、仕事に戻るか。
あー忙しい忙しい。
ブックマーク、してみませんか?
す、少しで良いんですよ、でもちょっと高望みするなら、誰かに紹介してください。
調子乗りましたすみません。
評価お願いします。




