体を作り替える
短いかもです
俺は今、エマを祠の中に放置してその代わりに辺境から帰るときに手にいれた俺の頭身程の鉄の塊を外へと運び出している。
理由は簡単だ、これより改造を行うためだ。
「よし、では、始めるとしよう。ゴーレムさんのワクドキ大改造スペシャル24時を」
材料は至って簡単だ、何処にでも誰にでも用意できる等身大の鉄の塊を用意します。
「用意出来るわけないじゃないですか!」
「ん?」
祠の中から此方にまで聞こえるほどの声量のツッコミが飛んできた。
「……寝言か、なんてタイミングで……アイツは才能があるな」
スキルのツッコミを恐らく持っているのだろう。だとしたらそれも頷けるわけだ。
さてこの鉄の塊、一体どうするかと言いますと、これまたお手元にあるスキル『物質操作』[鉄]の方を使って捏ねるだけ。簡単だろう?
今回は前回と違い最初から作ると言う事をせずに見本があるので、そこそこ簡単に作れるだろう。
それに、『物質操作』のスキルも辺境ファンでそこそこ練習しているから大体思い通りに作れるのでかなりの傑作が期待できると思う。
あと、鉄を剥き出しにしてしまうと錆び付いてしまう可能性があるので石を薄くして表面に張り付けて皮膚のようにする、そうしてしまえば錆び付くことを防げるのではないかって打算がある。寧ろ願望だ。
苦節2時間、遂に俺の体は完成した。着ける最中に1度俺の正体と言っても良いかもしれない黒い靄を見るのだがどうにも馴れないなと感じる。
それは人形であるのに馴れたのか、それとも何か理由があるのかだが……まぁ、良いだろう。
新しく出来た体で拳を突き出すシャドーボクシングをしたり体を捻って回し蹴りを行ったりして制動確認をする。問題ないな。
というか寧ろ体が何故か動きやすい、石の体の時よりも動きに無駄がない感じがする。
何で鉄なのに素早く動けるんだとか知らん。鉄に聞け。
因みに体は直ぐに出来たのだがここまで時間がかかったのは隠しギミックを搭載して楽しんでたら結構時間が経っていたのだ。
そしてこの隠しギミック、普通の武器よりも俺のスキルを使って発動するので生半可な武器よりも殺傷能力が高い。
ついついテンションがあがって作ってしまった。……そうなるとやはり、実験がしたくなるものだ。
「よし、手頃なやつで試すか」
それに暫く体を動かしていなかったしそろそろ動かないと運動不足になってしまうからな。ゴーレムなのでそんなもん存在しないけどな。
気持ち的な問題だ、たまに運動をするからのんびりしたときの幸福感が強まるのだ。
以前エマが言ってた「空腹は最高のスパイスなんですよ!」と、全く理解できなかったが恐らくこれと似たようなもんだろう。
「……東側だな」
意を決して、普段なら歩いて移動をする森の中だが、ウォーミングアップの代わりに走って行くことにしよう。どうせ体力は尽きないわけだ、そっちの方がお得だろう。
そう決めた俺は走り出す。……意外と速いな、足の早さまで変わるのか、とことん意味がわからんな。
これならファンに行くのも時間が短縮できそうだな。問題はエマが耐えられるかどうかだが。
東側を失踪している俺は角のいる場所を目指す。あの戦闘脳筋鬼なら実験にも付き合ってくれるだろう。断っても問答無用だがな。
「ん? 彼処にいるのは……」
角ではないな、だがお誂え向きの相手だ、少しでも耐久力のあるやつなら誰でも良いしな、目標変更だ。
まだ此方に気づいてないが知らん、そのまま殴り飛ばすとしよう。
俺は目標に向かい、その目標との距離がもうすぐと言うところで跳躍、拳を振りかぶりながら強い一撃を振るう。
「ウッホォォォォ!? さいきなり何するウホッ!?」
「ちっ、避けたか」
俺の目標、カウントゴリラは寸での所で気付き、転がりながら俺の拳を交わしてしまう。
さすがはBランク認定の魔物だ、ただじゃやられるわけもないか。
「いきなり殴ってくるなんて酷いウホッ! 俺が何かしたウホッ!?」
「いや、目の前に居たから……」
「あんまりウホッ!」
ウホウホ五月蝿い奴だな……まぁいい、否応なしに試させてもらうぞ、俺の力を。
その場から地面を踏み締めてゴリラへと一気に接近して再び拳を撃つ。
ゴリラはその図体に似合わず俊敏な動きで後退して距離をおく。
「びっくりウホ、また速くなったウホか……」
「そんなところだ、だから俺の性能テストに付き合って貰うぞ」
「面白い、望む所ウホッ! ここからリベンジさせてもらうウホよ!」
ゴリラはやる気になった後、胸を激しく叩き出す。すると周囲に衝撃波が走り、迂闊には近づけない。
あれは確か……アイツのスキルだったか、いきなり使うとは本気で来るらしいな。
そうでなければ此方も困るし、面白くなってきたな。戦闘凶では無いがつまらん戦いにはさせてくれるなよ?




