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世界調整  作者: 虹某氏
3章【妹】
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91話 チェック

 それからすぐに国の人達は帰った。

 彼等の言った作戦は各自で建てろというもの。

 はたから見たら凄く適当に感じるだろう。

 でもそれは夜桜に盗聴されてる事を視野に入れての提案だ。

 主に作戦は桃花と海と白愛と俺の四人に分けて各自で建てる事により知られにくくする。

 もしも必要な物があれば国に伝え国がもってくる。

 作戦は漏洩を防ぐために仲間同士でも伝達は禁止。


「ほんとに効果あるのか?」

「少なくとも現実的よ。四人が別々なら把握出来たとしても対処は困難を極めるでしょ」

「……そうだな」


 そしてアリスは待機。

 もし怪我をしたらアリスの元へ行きエクスカリバーで回復。

 再び戦線にあがるという作戦。

 もし真央の転移でアリスの方へ来たら雨霧さんと潤さんに国の軍で連携して倒すとの事だ。


「かなり穴があるよな……」

「仕方ないよ。夜桜相手に完勝する作戦を建てるなんてほぼ不可能だし」


 戦うのは明日の夜。

 真央達は夜になると毎度のように宴を開く。

 その隙を狙う。


「確認するが真央を狙うのが桃花一人。夜桜を俺と海と白愛の三人で相手だな?」

「そうだよ。もし私がハートキャッチで殺されたら白愛が真央を殺しに行って」


 たしかハートキャッチは一度きり。

 ハートキャッチさえ無くせば真央を殺すのは簡単だ。

 白愛なら転移される前に殺れる。


「そういえば桃花のお父さん達は?」

「伝え忘れてたね。とりあえず私と動いて真央を狙う予定だよ。もしもアルカードとかスーが真央の近くにいた時のためにね」

「スー?」


 アルカードは分かる。

 しかしスーとは誰だろうか。


「アリスからの情報よ。スーは人魚で使徒。警戒はしといて損ないでしょ?」

「……使徒か」


 という事は能力持ち。

 もしかしたらかなり厄介な能力を持ってるかもな。


「こっちは移動時間の関係でルークさんとか来れないのに相手は転移でそういうの考えなくていいのホント癪!」


 アリスが軽く愚痴る。

 少しだけ酒が入ってるな……


「そもそも綾人君がいたらどうにかなるのよ!」

「……綾人?」


 どこかで聞いた名だが思い出せない。


「柊綾人。エニグマの副リーダーに当たる人だよ」


 桃花が補足するように言った。

 思い出した。

 彼については最初の世界で聞いたんだ。

 たしか異世界からの帰還者だとか……


「そうよ! 綾人君は戦闘能力だけで言ったらルークの野郎を差し置いてトップクラスなんだから!」


 最強か。

 ルークさんの時間止めは最強だがそれが通用しない相手にはアレだしな。


「それに綾人君のお嫁さんのケレブリルさんと合わせたら天下無敵の地上最強よ」


 夫婦でエニグマか。

 そういえば桃花の父親の智之さんも夫婦でエニグマだったな。

 珍しくないケースなのだろうか。


「ケレブリルさんは綾人君が異世界から連れてきたエルフ族の女性なんだけど銃の腕前が凄いんだよ〜。綾人君が近接戦で足止めしながらケレブリルさんが狙撃する。本当に鬼のように強い組み合わせだよ」


 狙撃か。

 もし彼女がいたら真央を簡単に殺せたな。

 いないのが少しだけ悔やまれる。


「いないものは考えても仕方ない。とりあえず現状の戦力で考えるぞ!」

「そうだね」


 ◆


「随分と頭を使うねぇ」


 舞台は変わりとある家。

 そこでは今日も賑やかな宴会が開かれていた。


「真央。明日にはアイツらが攻めてくるんだから酒は控えろよ」

「分かってるよ。だからまだ三瓶しか飲んでないよ〜」

「飲みすぎだ!」


 この場にいるのは空達が明日殺そうとしている者達だ。

 そして彼女達も空達が明日攻め込んで来るのに気づいている。


「いやぁ本当に殺されなくて良かったよ」

「無茶しすぎだ。馬鹿野郎」

「馬鹿とは心外だ! お陰で明日の勝利が確実な物になったじやないか!」


 真央達が訪れたのはそれなりの理由がある。

 空達を確実に殺すための……


「空だけは殺すなよ。お前が前の世界で王候補に選んだ奴だからな」

「分かってるよ。私はちゃんと空の一週目と二週目に何があったかすべて把握してるしね」

「それにしても内輪揉めを誘導させる。しかしそれはフェイクで本当の狙いは別のところにあるとか俺でもドン引きするわ」

「相手の嫌がることをするのが勝負ってものだよ。まぁすぐにバレてしまったけどそれも想定内だよ」


 今のところは完全に真央の作戦通りだろう。

 しかし一度だけ彼女達は失敗しているのだ。


「それと夜桜! あんなに目立って!」


 その失敗。

 それは夜桜の虐殺だ。

 本来ならもっと後で舞台が整ってから行う予定だったのだ。


「……それはすまねぇ」

「計画が全て台無しだよ! お陰で全部練り直しになったじゃないか!」

「新しい計画練るのに八分かかってないだろ」

「だって私は天才ですしー。部下のミスくらい簡単にフォローしますしー」


 失敗した事により大幅な計画変更。

 あまりにも大きな損害。

 それでも真央の最終到達地点に変更はない。


「……夜桜。世界平和のためにはどうするべきだと思う?」

「とっくに答えは出てるだろ」

「そうだよ。世界が平和じゃないのは人が多すぎるからだ。だから私は減らすんだよ」


 最終的な目標は世界平和。

 真央は考えた。

 世界平和にするためにはどうするか。

 そしてある答えに行き着いた、

 人口を減らすしかないと。

 それが旅で得た答えだった。


「それで最終的には何人くらいにする予定だ?」

「二千人くらいかな」

「そうか」


 今の総人口は七十五億。

 つまり裏を返せば七十四億と九千万八千の人を殺すと真央は言っているのだ。

 あまりにも突拍子もない考え。

 しかし彼女にはそれを現実にするプランがある。


「とりあえず遠い未来の話より明日の動きを教えてくれ」

「空と海と暗殺姫。その三人が君の元へ行くみたいだ」

「空以外は殺して構わないんだな?」

「あぁ」


 夜桜側に切り札はある。

 彼はそれを使えば暗殺姫と戦えると自負していた。


「念の為にアルカードを護衛につけとけ」

「分かった。その忠告は大人しく受け入れるよ」


 完全に手は割れている。

 そんな状況での勝負だ。


「……共有を使ったんだよな?」

「そうだよ。私は先程のバーベキューで空と暗殺姫と共有したのだよ。その際に記憶も共有したから空についても把握したよ」


 真央の三つ目の能力。

 その能力は最高で三人の人と状況を共有できるというもの。

 共有はON/OFFの設定も出来る。

 例えば真央が聞こえる音や見てる景色を共有した相手に渡すことも出来る。

 渡す設定をオフにしたら自分の音は漏れずに一方的に盗聴出来る。

 すなわち共有した人の聞こえる音は全て真央にも伝わる。

 しかし真央の音は相手には聞こえない。

 そして記憶の共有も可能。

 それにより相手の戦況の把握。

 しかし能力の真価はそこではない。

 この能力の真価は……


「それにしても一周目の桃花。神崎家じゃないのに神器と契約するとか凄いね」

「なんだよあれ……話を聞いた限りだと完全に規格外じゃねぇか」

「そうだね。でも関係ない話だ」


 真央は空の記憶を見たことにより一周目の桃花も知っている。

 それと真央は口には出さないが面白い結論を導き出していた。


「いや、関係あるだろ。頑張れば民間人でも神器を出せるのが分かった。それにより姫を助ける可能性がまた増えた」

「そうだけど腹の中で胎児を成長させて分解して自分の一部にして強引に自分の格を神崎家と同等まで引き上げるなんて狂気は桃花にしか出来ないよ」


 あれは桃花だから出来たこと。

 それは真央達も重々承知している。

 しかし夜桜は考える。

 それが出来る能力を見つければ良いのではと……


「それと本当に手は完全に打ち終わってるんだな?」

「もちろん! あとそれにより君との共有を切ったから何かあった時に助けに行けないから覚えといてくれ」

「了解。それと空が毒で俺を殺しにくるのは分かったが暗殺姫はどうなんだ?」

「正面突破。そして不安なことに海と桃花は不明。ある程度の検討は付いてるからその対策はスーに任せるつもりでいる」


 共有の能力は強い。

 しかしデメリットもあり使えるのは同時に三人まで。

 空と暗殺姫に使ってしまい桃花と海の音が拾えないのだ。

 だからその二人の手だけ分からない。

 それが彼女にとって唯一の不安要素だった。

 しかし気に留める程でもない。

 そして残りの一人は真央は絶対に外せない。

 今後の作戦に支障が出るからだ。


「それと空の能力は受けた魔法攻撃の再現。だから壊死は使わず茨や血の固体化みたいな再現出来ない能力だけを使うのを勧めるよ」

「分かってるよ」


 もし空達が彼女達に勝つなら方法は一つしかなかった。

 それはバーベキューの場面で殺す。

 そこだけは真央の賭けであった。

 しかし勝利の女神は真央に微笑んだ。

 真央は賭けに勝ったのだ。


「さぁ蹂躙を始めようか」


 残るのは一日。

 絶望的な戦いが始まろうとしていた……

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