表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界調整  作者: 虹某氏
3章【妹】
87/305

87話 人は空を飛べる

「……妥当ですね」

「桃花。国が全力で動いて夜桜を殺せるか?」

「間違いなく無理。再生されるから核攻撃も無意味だと思うし……」


 やはりそうか。

 それにしても思ったより大きくなったな……


「お兄ちゃん。佐倉家……いいえ、エニグマの子供としてどうするか分かってるよね?」

「そんな事言ってる場合か! とりあえず俺達も逃げなきゃ……」

「夜桜。その名前はお兄ちゃんでも知ってるでしょ?」


 雨霧さんが押し黙った。

 おそらく検討はついていたのだろう。


「犯人は夜桜。だったら私が逃げるわけにはいかないじゃない」


 逃げか。

 たしかにそれもありだろう。

 しかし逃げてどうなる。

 死者は増え続ける一方だぞ。


「まぁ逃げるにしてもとりあえずお父さん達の帰りを待つしかないよ」

「……そうだな」


 しかし避難勧告か。

 あの事件はどのように報道されたのだろう。

 気になったので俺は携帯で調べてみる。


「……宇宙人の侵略か」

「まぁ無難なところだね」


 やはり情報操作はされてるな。

 更に詳しくみると突如現れた宇宙人が好き勝手蹂躙してそれに国が動いた事になってる。

 そして戦場になる事が視野されるから避難勧告か。

 宇宙人はセーフで魔法がアウトな理由が気になるがそこは考えるだけ無駄だろう。


「もうそろそろここには警察というより国が来る。もちろんエニグマについて把握した話の通じる人物がね……」


 やはりそうなるか。

 考えてみたらこうなった以上、国がエニグマに対処を求めないわけがない。


「……そういえば。先週の木曜日に海外で大規模な爆発事故がありましたね」

「まさか!?」


 考えてみたらルークさんが来るのが遅すぎる。

 もしかしたらその爆発事故も魔法関連で対処に追われてるからなのか?

 そうだとしたらルークさんを足止めするために真央達が仕組んだ可能性が高い。

 どこまで用意周到なんだ……


「アリス。実際どうなんだ?」

「爆発事故なんて言うけど実際は大量の魔物が街に降りてきた蹂躙したのよ。最近はこういう事件がやたらと多いわ」


 もしかしたらエニグマは今までもこうやって隠蔽してたのだろう。

 しかし今は関心してる場合じゃない。


「とりあえず国が来たらエニグマである私が対処するわ」

「ありがとな」

「それがエニグマの仕事だから当然よ」


 とりあえず来るのを待つしかないな。

 それで場合によっては国と話して作戦を決める。


「桃花。聞きそびれたが彼等は一体誰なんだ?」

「そういえば紹介するの忘れてたね。まずここにいるのが……」


 ◆


「なるほど。それにしても神崎家まで出てきたのか……」


 雨霧さんにもとりあえず話しておいた。

 そういえば彼とアリスが組めばそこそこ戦えるな。

 夜桜や真央は無理だがアペティくらいなら……


「他に聞きたいことはある?」

「……空の能力は何なんだ?」


 そういえば言ってなかったな。

 能力を言わないと作戦を建てにくいな。


「受けた魔法や能力による攻撃を暗記して再現出来るようになるっていうやつだ」

「うわぁ……チート……」


 ずるって言われるのは心外だ。

 しっかりと試練をクリアして得たわけだしな。


「そういうアリスもチートだろ」

「たしかにサポートは出来るよ! でも直接的な攻撃には結びつかないの!」


 物語の具現化だから仕方ない。

 エクスカリバーを出したり相手の逃げ道を塞いだりと便利だが戦闘向きかと言うわれると……


「それで空君は私のお母さんの能力を使えたんだね」

「まぁな」


 かなり幅も増えてきた。

 重さ操作は思ってた以上に便利だ。

 相手を重くして動きを鈍らせるのも強いがこの能力の一番の魅力は自分を軽くして少しだけ速く動ける事だ。

 軽くすればするだけ加速(アクセル)の恩恵も大きいしな。


「今思ったんだが空君の能力で飛べるんじゃない?」

「は?」


 飛ぶのは流石に無理だろ……

 飛ばすなら未だしも……


「今この場で私が空君に飛行(フライ)の魔法を使えばそれを覚えて……」

「そんなこと言ったらお兄様は私の強化(ブースト)も使えるじゃありませんか!」


 たしかに理論上は可能か。

 氷や土みたいに何かで殴るわけでなく俺の体に影響をもたらすわけだしな……


「空様。やってみて損はないかと。それに怪我をしてもアリス様のエクスカリバーで治せば問題ありませんし」

「またそれかよ……」


 前の世界に海に何度焼かれて切り刻まれて焦がされたか。

 たしかにそれが一番役立っている事には変わりないが……


「空って名前だけに空を飛ぶって……名前は人を表すってよくいうものですね」

「その理論だとお前は海関連の能力になるぞ」

「海上歩行とか面白そうですね」


 でも名前は人を表すっていうのはあるかもな。

 桃花は桃に花と書く。

 そして桃の花の花言葉は“天下無敵”と“私はあなたのとりこ”だ。

 ソロモンの指輪を持った桃花は間違いなく天下無敵だった。

 虜の方は言うまでもないだろう。


「とりあえずやるか」

「そうですね」


 ◆


 魔法実験は庭で行われた。

 途中で髪が腰まで伸びたりかなりの上空から落ちたりと色々と災難だったがそれに見合う物は得た。

 今回覚えたのは身体能力を上げる強化(ブースト)に空を飛べる飛行(フライ)

 そして植物を急成長させたり髪を伸ばしたりと生き物の成長を促す成長(グロース)とその他もろもろだ。


「今の空君なら夜桜と互角に戦えるんじゃない?」

「たしかに空を飛んで一方的に雷を撃てば勝てるな。まぁあの問題点を改善出来ればの話だが……」


 俺はなんだかんだあり空を飛べるようになった。

 コントロールは難しいがかなり上空まで飛べる。

 分かりやすく言うとビル一つ分くらいだろう。


「しかし飛びながら他の事を考えるのはまだ難しいな」


 そもそも飛行(フライ)が三秒ぐらい人を浮かせるだけの魔法だ。

 俺が空を飛ぶのはそれを連続使用してるから。

 つまり少しでも気を逸らすと落ちる。

 こんな状態で他の魔法との併用なんて不可。

 出来て空中散歩くらいだろう。


「私愛用の強化(ブースト)はどうでしたか?」


 あれは瞬間火力はめちゃくちゃある。

 それこそ白愛の動きについていけるくらいになるだろう。

 しかしとても疲れるのだ。

 使えて十秒。

 しかも一度使えば当分の間は疲れで動けなくなるだろう。


「少し使いにくいかな」

「かなり疲れますからね」


 しかし全力で使えばの話だ。

 常に僅かの力を発動させるだけなら負担も少ないだろう。

 まぁその力のコントロールが出来ないから使い道は本当に追い詰められた時くらいだろう。

 でも絶対に持ってて損はない能力だ。


「そして成長(グロース)はかなり集中しないと無理だからまず戦闘中は使わないな」


 頑張れば植物の種を投げてそれを相手の足元で成長させて足止めとか出来るのだろうが俺はどうも成長のイメージが苦手らしい。


「でも()()役に立つぞ」

「そうですね。間違いなく()()なら大きく役に立ちますね」


 最後に海が提案してやる事になったアレ。

 下手したら夜桜も殺せるかもしれない。

 アレが一番の成果と言っても過言ではない。


「やっぱりあなたの能力ってチートよ」

「そうかもな」


 改めてこの能力の強さを理解した。

 凡庸性が高すぎる。

 それに俺にはまだ誰にも言ってない最後の切り札があるしな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ