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世界調整  作者: 虹某氏
1章 【愛】
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28話 報酬

「空君。早く行こ?」


 学校が終わり桃花が()かしてくる。

 今日は桃花の家で局長との待ち合わせもある。

 ここ最近は桃花の家が自分の家のように感じるな。


「そうだな。それと海は来るか?」


 一応海にも声をかける。


「興味ないわ。そんな事より白愛と過ごす時間の方が私には大切だわ」


 海はそこまで興味がないらしいな

 海らしいと言えば海らしいか。

 それにしても今日の海は少し寂しい感じがする。

 一体何があったのだろう。


「海ちゃんもそう言ってるし早く行こうよ」

「そうだな。それじゃあ明日学校で」

「ええ。さようなら」


 海に挨拶をして俺達は学校を後にする。

 そういえば海が当初と比べてかなり丸くなったな。

 どんな心境の変化だろうか。

 まぁなんでもいいか。

 俺は桃花と雑談をしながら家を目指す。

 それにしても相変わらず大きい家だ。

 そして玄関ではルークさんが待っていた。


「さて、来たね」

「はい」


 ルークさんがそう口を開く。

 この一言なのに凄いプレッシャーを感じさせる。


「それじゃあ中で話そうか」

「そうですね」


 俺達はルークさんと一緒にリビングに行く。

 そしてリビングには桃花のお父さんもいた。


「まずは陸の状態について聞いていいかな?」

「とりあえず私が手を落としといた」

「それでいい。彼の能力は危険だ。それともちろん血は回収したかい?」

「あぁ」


 そう淡々と答えていくお父さん。

 やはり神崎家の血はかなり大事な物らしい。


「それじゃあ後で身柄と血を運ぶとしよう」


 そういえば平然と居すぎて疑問にも思わなかったが佐倉家はどんな立ち位置なのだろう。

 超能力が使える血筋とも思えない。

 そんな俺の様子を察したかのようにルークさんが口を開いた。


「空君は佐倉家の立ち位置を知らないのか」


 実際その通りだ。

 しかしそれについて説明したのはルークさんではなく桃花だ。


「私達の家系は魔術師の家系だよ。質の良い魔力人とある人を掛け合わせて更に魔力が強い人を作っていくの」


 創作物とかでもよくある話だな。

 魔力が強い人同士で子供を作ればその子供も魔力が強くなるだろう。

 そしてその子供と子供がやっての繰り返しだろう。


「でも、空君は魔力もトップクラスで強いから誰にも文句言われず結婚出来るから安心してね」

「あぁ」


 魔力は質が良ければ良いほど良い。

 魔力の質が良いとイメージを伝えやすい。

 魔力とは一言で言えば画質みたいなもの。

 質の悪い魔力だと画質が悪くなり魔法の形状を伝えにくくなるためしっかりとしたイメージでなければならない。


「それに私は佐倉家歴代最強の魔法使いって言われてるしね!」

「そうか」

「むー! 信じてないでしょ!」


 果たしてどこまで魔法が出来るのか。

 俺は桃花が魔法を使ってるのを見たことがないわけだ。

 そのため、なんとも言えない……


「それでも私は宝石嬢とも言われてるんだよ!」


 桃花が頬を含まらせてそう言う。

 少し可愛い。

 もう少しからかいたくなるがそこまでにしておこう。


「さて、そろそろ話をするとしよう。佐倉家の方々は少し席を外してもらってかまわないかな?」

「あぁ」


 そう言うと二人共何も言わずに出ていく。

 何故なのか疑問に思わないのだろうか。

 そしてルークさんが話し始める。


「佐倉家の方々も行った事だし本題に入ろう。君は超能力とはなんだと思う?」


 ここからは聞かれてはマズイ話をするのだろう。

 それこそ超能力の確信をつくもの。

 何故、俺にそんなことを話すのか。

 考えても答えは出ないだろう。


「常識では考えられない超常現象です」

「その通りだ」


 超能力は物理法則を無視して何かを起こす。

 少なくとも俺はそう認識している。

 もっと言えばゼロをイチにするようなもの……


「それでは魔法との違いは?」


 言われてみればたしかにない。

 魔法も物理法則を無視した超常現象を引き起こす。

 だったら魔法も超能力で良いはずだ。

 この二つの違いはなんなのだろうか。


「分かりません」

「そうか。君は魔法に血を使うだろ?」

「はい」


 魔法は血に含まれる魔力を使用して使うもの。

 血がなければ不可能だ。


「それじゃあ超能力に血は使うかい?」

「あ……」


 親父は超能力発動させる際に血を使ってはいない。

 つ能力は魔力を使わないで使える物を指すのか。

 考えてみれば媒体もいらないり

 ではどうやって行っている。


「超能力は我々エニグマの見解だと神の祝福だと考えられてる。神の血筋だと思われる神崎家が発症したりするしね」

「なるほど」


 しかし神崎家の事は分かっていた事だ。

 局長はまだ言いたい事があるのではないか?


「しかし能力さ僕みたいに血筋に関係なく平凡な人にも能力が発症する事がある」

「え?」


 思わず間抜けな声が出る。

 一体それはどういう事だ?


「この世界には間違いなく神がいる。それで神が気に入った人間に能力を授けている」


 それだと誰が能力を発症してもおかしくないというわけじゃないか!

 変な話だが学校に行ったら全員が能力者になっていてもおかしくはない……


「能力は授かる時に夢の中で神様から渡される。なんか試練をクリアすると渡すらしい。現に僕は調停の試練をクリアして能力を授かった【調停】の使徒だ。ちなみに使徒というのは能力を血筋と関係なく神様から授かった人達の事だ」


 使徒。

 神の使いって事で使徒なのか。

 この上なく分かりやすい。


「さて、本題に入ろう。使徒同士は互いに使徒かどうか分かるんだ。目が合うと背中がヒリヒリする感じだよ」


 中々めんどくさいな。

 お互いが使徒かどうか分かるってことは能力を所持してるって事を隠せないわけだ。

 つまり下手したら戦闘にだってなりうる……


「それで今日の朝会ったら佐倉さんの娘は使徒になってんだ」


 俺は思わず耳を疑った。

 桃花が使徒?

 わけがわからない。

 使徒なら能力を使えるはずだ。

 彼女が能力を使った事はなかった。

 能力を持ってるなら親父戦で戦っていたはずだ。


「それは本当ですか?」


 思わず問い直してしまう。

 それにしてもどんな能力だろうか?


「もちろんだとも。それで君に桃花の能力を探って欲しいんだ?」


 未だに信じられない。

 でも彼が嘘をついてるとは思えない。


「もちろん報酬は払うよ。一生遊んで暮らせるだけのお金でも良いし魔法に対する知識でも望むものならなんでも構わない。僕に出来ることなら何でもいうといい」


 悪い話ではない。

 たしかにそれぐらいの報酬なら問題はない。

 むしろ貰いすぎな位だ。

 そしてそれは簡単な依頼だ。


「はい。分かりました。この依頼受けます」

「頼んだよ。報酬は何がいい?」


 ルークさんがそう俺に問いかける。

 報酬は既に決まっている。

 たしかに一生遊んで暮らせるお金も良い。

 しかし知識欲を抑えることは出来ない。

 ずっと気になっている事がある。

 桃花のお父さんがうっかり喋ってしまったアレだ。

 あれについてを報酬に貰おう。


「“異世界”について教えてください」


 それしかない。

 もしこの機会を逃したら永遠に分からないままだ。


「……どこで異世界の存在を知った?」


 ルークが初めて真剣な顔をしてそう言う。

 そんなに重要な事なのだろう。

 だとしたらかなりラッキーだ。

 この情報は間違いなく金なんかよりも価値がある。


「まぁいい。報酬は先払いということで今話しておこう」

「お願いします」

「この事は他言無用だぞ」


 そしてルークさんは話し始めた。

 異世界について……

 いや、この世界の在り方について……

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