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世界調整  作者: 虹某氏
5章【未来】
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246話 海«Destiny»

「……桃花。少しだけ待っていてくださいね」

「私も……戦うよ……」

「安心してください。この程度なら私一人で大丈夫ですよ」


 私は桃花を軽く置いて黒き鯨に向き合う。

 こいつを何とかして倒さねばならない。

 それが二人の……


「海ちゃん!」

「え?」


 しかし世の中はそんな甘く無かった。

 気づいた時には私の右手は


 ――宙を舞っていた。


 鮮やかな赤い血を放ちながら自分の腕がクルクルと回転している。

 私はそれを口を開けて見てることしか出来なかった。

 何をされたかすら理解が追いつかない。

 ただそれは数秒の出来事。

 数秒後には嫌でも理解することになる。


「あああああアアアアァァァァァァぁぉぁぁぁぁ!」


 手に鋭い痛みが走る。

 焼けるように痛い。

 目眩が激しく私を襲う。

 私は右手を抉られたのだ。

 一体何が起こった!

 私の体に何をされた?

 何度見直しても私の体に右手は付いていない。

 間違いなく無くなっている。


「海ちゃん!」

「……ぁ……ぁ……ぁ……ぁ……」


 声が枯れ始める。

 大丈夫。まだ意識は飛んでない。

 痛みはまだ残る。

 ていうか段々と増してきた。

 だが耐えろ。

 あの地獄を思い出せ!

 あの時に比べたらどうってことないはずだ!

 おまえはそういう体だろ!

 神崎海!


「はぁ……はぁ……大丈夫ですよ」

「そんな分けないでしょ! 腕が……」

「腕の一本や二本大丈夫ですよ。真央に頼めば義手もか細胞を埋め込んで再生とかやってくれますよ」


 私は腕を抑える。

 腕が飛んだ?

 どうせここを抜ければ回復出来る。

 真央ならそのくらいの技術はある。

 もし無かったら回復の能力者でも探せばいい。

 鬼化はたしかに回復能力はあるがあれは自然治癒力を爆発的に上げてるだけで無くなったものは治らない。

 それより今はどうやって腕を飛ばしたか考えねば……


「そう言えば……」


 私はマジマジと自分の飛んだ手を見る。

 そこには手首だけが落ちていた。

 しかし私の手には肩から下がない。

 じゃあ肘とかはどこいった?


「そういう事ですか。次はそうは行きませんよ」


 桃花は言った。

 あいつは口の中にブラックホールを飼っていると。

 恐らくそれを大砲のようにして飛ばしている。

 それで私の手は飛んだ。

 肘は既にこの世界に存在しないだろう。


「鬼化!」


 私は再度叫ぶ。

 傷口を鬼化で塞いで止血をしていく。

 本当の戦いはこれからだぞ!

 ブラック・ラグーン!


「ちょっとカッコよくなりますよ?」


私は更に蝶化を行う。

和都君がカッコイイって言ってくれた姿に。

赤い大きな蝶の羽。

運命すらも飛び越えていく羽。

だがそれだけじゃ足りない。

まだブラック・ラグーンには追いつかない。


強化(ブースト)!!」


昔はよく使っていた。

今では真央からなりべく避けていたら、

強化(ブースト)の代償は寿命だ。

今はそれを犠牲にしてでも……


「いきますよ?」


私はブラック・ラグーンの背中を取った。

まるで瞬間移動のような移動だ。

そのまま回し蹴りを入れて地面に叩き落とす。


「こんなもんですか?」


今度は懐に潜り腹を蹴る。

普段なら殴るところだが生憎利き手の右手が無い。

だから蹴りを使う。


「ホウォォォォォォォ!」


それからマシンガンのようにブラックホールの弾丸が飛んでくる。

流石にこれを避けるのはキツい。

だが当たったらその瞬間に詰みだ。

しかしどれ一つとして目で追えない速さときた。


「どこに打ってるんですか?」


しかしそれ以上に早く動くことは可能だった。

たしかに目では追えない。

もしも私の座標に入ったら詰みだ。

だがそれは噴射された後の話。

噴射される前に動く事は容易いのだ。

だから私はブラックホールの弾丸が飛んでくる前にブラック・ラグーンの死角を取り絶対に当たらない所まで移動したのだ。


「しかしあなたを殺す手段はありません。今日のところはこれでお預けです」


私は再び蹴り飛ばす。

その隙に左手で桃花を拾って部屋を後にする。

あんな化け物相手にしてられるか!

こんな長時間強化(ブースト)を使ってしまった。

かなり寿命が減ったぞ……

大体一週間くらい……

本当に今日はツイてない。


「海ちゃん……腕……」

「大丈夫ですよ」


あのブラック・ラグーンとの戦い。

あれ以上続けてたら私は負けていた。

強化(ブースト)を使っても決定打は無かった。

そのうち時間切れで動けなくなって一方的に喰われていただろう。

幸いにも追ってくる気配は一切ない。


「ごめんね……本当にごめんね……私のせいで……」

「泣かないでください。あれを相手に腕の一本で済んだのは安いものですよ」


あれは少し強過ぎた。

考えてみれば私はヒュドラにすら勝てない。

あれだって真央が溶岩に叩き落として殺したようなもので私は投げ飛ばしただけ。

あれも決定打には欠けていたのです。

いやぁ流石SSランク。

規格外も良いところです。

しかしあんな化け物を超えるSSSランクのルプスとは一体なんなのでしょうか?

ていうかルプス(本来の姿)ならブラック・ラグーンを理論上狩れるんですよね?

本当に強すぎですね……

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