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世界調整  作者: 虹某氏
1章 【愛】
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19話 可愛い嫌がらせ

 目覚めるととそこはリビングであった。

 何故リビングにいるのだろうか。

 俺は必死に記憶を漁り一つの結論に行き着いた。

 少し考え寝落ちしたというものだ。

 そして時計を見るともう家を出ないと学校に間に合わない時間を指していた。


「やばい!遅刻だ」

「あ、空様。お目覚めになりましたか」

「ていうか白愛。何故起こさなかった?」


 いつもは白愛が起こしてくれるはずだ。

 一体なにがあったのだろうか?


「私は起こそうとしましたけど海様が起こすなと命令なさったので」


 そうだった。

 まだ白愛は海のメイド。

 つまり海の命令には絶対服従。


「あら、起きたのね。白愛がいないと起きれもしないなんて本当に情けないお兄様ですね」


 悔しいが反論出来ない。

 そもそも海は何故こんな命令を出した?


「私を受け入れるって言ったのはお兄様ですよ」


 少し語弊がある。

 俺が言ったのは“お前の復讐を受け入れる”だ。

 わざと主語を抜いて誤解を作ろうとするな。


「それにしても最初と比べるとどんどんスケールが小さくなったな」


 最初はヤンキーを使って殺そうとしたり冤罪で社会的に殺そうとすらしてきた。

 それが今となっては寝坊させる程度のものだ。


「さぁ? 学校に行ってみたら机と椅子がないなんて事もありえるかもしれませんよ」


 海がクスクスと笑いながらそう言う。

 それをやられたら少し心にくるものがありそうだ。


「まぁ今日は学校に行きませんけど。もちろんお兄様にも強制的に休んでいただきますよ」

「……どうしてだ?」


 一体今日は何があるのだろうか?

 しかしそれについては白愛が答えてくれた。


「寝坊しなかった桃花様と海様で話し合った結果流石に昨日の事件の当事者がいないとマズイだろうという話で今日は桃花さんと空様にも学校を休むという結論になりました」

「なるほど」


 たしか桃花のお父さん達が帰ってくるのは朝の九時って話だったな。

 それまでは暇なわけか。

 

「それで海はどうして学校に行かないんだ?」

「めんどくさいからです」


 それなら行け。

 ていうかそれで休ませる白愛も白愛だ。


「親父の様子はどうだ?」

「安心してください。まだ気絶したままです」


 もう目を覚ましたと思っていたがまだらしい。

 一応参考までにいつ目覚めるか聞いておこう。


「白愛はどのくらいの怪我を負わせたんだ?」

「あの怪我ですから二日と言ったところでしょう」


 二日か……

 思ったより時間がかかるな。


「それと手は完全に後遺症が残りますね」


 俺は桃花の方を見る。

 あれはやり過ぎだ。


「神崎君に手を出したんだからこの位は当然だよ。寧ろまだ生きてられることに感謝すべきだね」


 やっぱりこの場で一番やばいのは桃花だな。

 本当に殺しかねない。

 そして殺しに一切の躊躇いがない。


「そういうば朝ご飯は食べたのか?」

「はい。でも空様のだけは作るなと海様から命令があったので空様の分はございません」


 おいおい勘弁しろよ。

 その時に俺は海に何時でも復讐を受けるって言ったのは間違いだったかもしれないと少しだけ思った。


「……台所借りていいか?」

「どうぞー」

 

 仕方ないので自分で軽く朝食を作りそれで済ませた。 その時に桃花が凄く物欲しそうにしてたので桃花の分も一応作った。

 桃花が二回も朝食を取ってる事は触れないでいよう。

 

「食べ終わったみたいですね」


 食べ終えると同時に海が話しかけてきた。

 何か用があるのだろうか?


「外に出てください。白愛がまとめて戦い方を教えるそうですので」

「たしかに時間があるし何がすべきだな」


 まだ俺は弱い。

 もし親父みたいな奴との戦いになったら勝てない。


「私も教えてもらおうかな〜」


 桃花も教えてもらうのか。

 たしかに彼女はある程度強いが……


「お兄様。桃花は私達よりよっぽど強いですよ」

「……マジかよ」

「はい。昨日の昼休みに退屈しのぎに体育館を借りて勝負したら秒殺されました」


 なんだよそれ……

 桃花が試合とか褒めてたのってお世辞じゃねぇか。

 そして学校の授業とかでは手を抜いてたわけか。


「そんな桃花がなにを教わるんだ?」

「面白そうだから行くだけだよ」


 なんて適当な……

 それと桃花は暇なのか。


「いや、面白そうって……」

「ダメ?」


 桃花が上目遣いでそう言う。

 まぁダメではないが……

 そもそも何が面白そうなのだろうか?


「さて、それはそうと教える前に桃花様の実力を軽く判断したいです。お手合わせしませんか?」

「いいけどルールは?」

「無用ですよ」


 その瞬間、桃花が消えた。

 気づいた時には白愛の目の前にいる。


「分かったよ」


 桃花が白愛の首元にナイフを振るう。

 白愛は簡単にそれを回避する。


「甘いですよ」


 そして白愛が桃花の脇腹を蹴り飛ばす。

 桃花は何とかそれを踏ん張る。

 しかし相手は白愛だ。

 すかさずもう一回蹴り飛ばす。

 桃花の体が思いっきり遠くに飛んだ。

 完全に勝負ありだな。


「次は空様どうですか?」


 間違いなく桃花は規格外。

 白愛相手にあそこまで持ちこたえたのだから……

 桃花と白愛の勝負時間は大体十秒。

 俺の最高記録は二秒。

 実に五倍もの長さを生き延びたのだ。


「あぁいいぞ」


 しかし俺だって成長した。

 それを白愛に見せつけてやろう。

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