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世界調整  作者: 虹某氏
4章【嘘】
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187話 未来を掴み取れ

 あれから一時間が経った。

 色々な人がいた。

 魔王の言ってた“夜桜”を探そうとする者。

 ひたすらに遺書を書く者。

 魔王の足元まで言って命乞いしようとする者。

 しかし魔王に近寄ろうものならマリンによって迷わず頭を撃ち抜かれ屍に変えられてしまう。

 そんな感じで生徒は既に半分近くしかいなかった。


「残り五十分だ」


 魔王様はどこからから出したか分からないが玉座に座りながら足を組み俺達を観察していた。

 まるで実験でもしてるかのように。


「……慎也はどうしたい?」

「魔王を殺したい。殺せば全て終わる」

「とは言っても勝てるビジョンがねぇだろ」

「それでも!」


 あれから俺達は近くの人達。

 もっと言うなら生きる事を諦めてない人達と一つのグループを作っていた。

 一人は闇王煉獄という冷静そうな先輩。

 もう一人は鈴木拓也という陽気な先輩。

 二人共二年生だ。


「まずは状況整理しましょ」


 それから黒音可奈という二年生の先輩。

 とりあえず戦意のある二年生は三人だ。

 残りの三人は同級生。

 俺と修一と小太郎だ。


「とりあえず真央には勝てないOK?」

「あぁ……」

「はぁ。この場に桃花さえいたらどうにかなると私は思うんだよねぇ……」


 彼女曰く桃花も相当らしい。

 なんでも前に足の爪を全部剥がされたとか。

 しかし話題人にこんな裏があったとはな。

 小説より現実の方が奇とはよく言ったものだ。


「拓也。もしも桃花がいたらどうすると思う?」

「とりあえず力技で扉を破壊して逃げるだろ。あいつは戦力差を理解しないほど馬鹿じゃねぇし鉄くらいなら素手で砕く力はある」


 それから拓也は“まぁ彼女はこの事態を察したら休んだんだろうけどな”と笑って付け加えた。

 しかし逃げるという手段もあるのか。

 とは言うものの扉を破壊出来る手段なんてないが。


「ていうか魔王をどうして殺せないと決めつけている」


 俺は遠慮なく思ってることを言った。

 相手が人間なら間違いなく殺せるはずだ。


「馬鹿か。真央に近づいた時点でマリンの洗脳で返り討ちに決まってるだろ」

「つまりマリンさえどうにかなれば……」

「たしかにマリンの気を逸らすのは可能だ。しかし我々に武器はない。良くて一発殴るくらいだ」


 たしかに……

 せめてナイフの一つでもあれば……


「あの、すみません」


 そんな中で小太郎が口を開いた。

 なんか良い案があるのだろうか。


「夜桜を探して殺した方が早いんじゃないですか?」


 たしかにそうかもしれない。

 でも俺は魔王を殺したい。

 恵を殺した憎き魔王を……


「ていうかお前らは本当に夜桜なんていると思うのか? 俺は夜桜は魔王のブラフだと思うね」


 そんな中で闇王先輩が発言した。

 たしかに夜桜がいるという確証はない。

 それに魔王側からしたら入れるメリットはない。


「しかし夜桜がいるとしたら夜桜がいるって力説する奴だろうな」

「……なるほど」

「とりあえず今は夜桜について置いておけ。今はどうやって生き残るかを考えろ」


 そんな事を言うが本当にあるのだろうか。

 間違いなく生きる方法など……


「この体育館。一箇所だけ壁が薄い場所があるんだ。それこそ人力で蹴破られるほどにな」

「……どうして闇王先輩が知ってるんですか?」

「調べたからだよ。魔王がバレンタイン祭の時にテロリストの話をしたから素直に従って対策をしただけだ」


 なるほど……

 まさかあの時の言葉を本気で受け取った人がいたのか。


「しかし魔王が気付いてないとも思えねぇ。俺は罠だと思ってる。それに体育館の壁を蹴破ろうものなら目立ちすぎて魔王に殺される」


 たしかに……

 ならやっぱり魔王を殺すしか!


「それともしも逃げるならこの場に残れよ。夜桜」


 それから闇王先輩は冷たく拓也先輩の方を見た。

 ……どういう事だ。


「夜桜。あんたポーカーフェイス下手だろ。小太郎君がおまえの名前を出した時に一瞬だけ眉が動いたぞ」

「なるほど……たしかに俺が夜桜だ。しかしどうする?」

「どうもしねぇよ。あの魔王の部下っていうくらいだ間違いなく人間が勝てる相手じゃねぇだろ」


 待ってくれ!

 話が全く掴めない!

 何がどうなっている?


「……真央!」

「どうした?」

「闇王は生かしていいか? こいつかなりの見込みがある」


 な!?

 こいつなにを……


「夜桜が気に入ったなら仕方ない。一人くらい生かしても構わないしね」

「君達悪いね。この場で生き延びるには魔王様のご機嫌取りをするしかないからね。それと壁の話は本当だから安心していい」

「随分と頭のまわるガキじゃないか。考える事を放置しないで生きるために前を向く。私好みと言えば私好みだ」


 こいつ裏切るのか……

 それが人のすることか!


「そう言えば魔王様。竹林殿はどうなさってるのですか?」

「興味あるのかい」

「はい。あれでも私の友人ですから」

「そうかい。彼なら私の弟子として私の元で色々と学んでるよ。たまにセクハラがウザイけどね」


 いや、今はチャンスだ。

 とりあえずこの場は生き延びろ。

 復讐はあとから考えろ!


「とりあえず君は家に帰るといい」

「失礼ながら魔王様の能力は何なのですか?」

「転移さ。とりあえず君の家に繋いでおいたから全て終わったら迎えにいくよ」

「分かりました。今は自宅待機とさせていただきます」


 俺は駆け出した。

 とりあえず蹴破れる壁を破れ!

 そこから逃げ出せ!

 それしか方法はない!

 場所は分からないから賭けだ。

 頼むから合っててくれ!


「おや?」

「彼は逃げる気ですよ」

「安心したまえ。ちゃんと外にも兵はいる。放っておいて問題ない」


 俺は必死に祈って壁にタックルした。

 そして運命の女神は俺に微笑んだのか無事に壁を破る事にした。

 体に太陽の光が染み渡る。

 でも今は走れ!

 俺は自分にそう言い聞かせてひたすらに走った。


「おや、逃げ出せる人がいたとは」


 体に鞭打って走ってた時だった。

 俺の体が吹き飛んだ。


「……金橋先生?」

「済まないね。魔王様から一匹も逃すなと命じられてるものだ」


 どうやら俺は先生に払い飛ばされたらしい。

 しかも不思議な事に先生の体は5m近くあった。


「私の能力は巨大化。さぁ死ねぇぇぇ!」


 それから俺の真上に拳が落ちてきた。

 あれに潰されたら間違いなく死ぬな……


「……大丈夫ですか!」


 そう思った矢先だった。

 拳は変な方向に飛んでいった。

 そこに目をやると幼女がいた。

 綺麗な銀髪の幼女だった。


「私の名前は神崎ルプス! 間に合ったかな」


 それからバイクが降ってきた。

 銀色のかなりカッコイイバイクだ。


「間に合ったようだな。体育館に全員いるってことであってるか?」

「あなたは……」

「拙者は竹林響! 主人公だ!」

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