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世界調整  作者: 虹某氏
4章【嘘】
182/305

181話 海の考え方

「私の好きな言葉に“学校とは家畜部屋だ”という言葉がある」


 黒魔女戦から約一週間が経過していた。

 普段通り学校では真央の授業が行われている。


「つまり学校にいれば将来どうにかなるだろや生きる術が身に付くって思考がもう負け組なんだよ。結局のところ未来は自分の手で切り開くしかない」

「……では学校はどのように利用すればいいんですか?」

「図書館感覚だね。分からないことや学びたいことがあったら行くぐらいで良いと思うよ。まぁ言いたいのは学校に依存したら家畜同然って事だよ」


 あの日から俺と桃花はあまり話せていない。

 というより桃花が笑わなくなったのだ。


「……心底どうでもいい」

「そうか。私的には学校と家畜小屋は同意義というのは面白い考えだと思ったんだけどね。もしもそれを心の底から言う人がいたら間違いなく気が合うだろうね」


 なんていうか今の桃花の言葉には棘しかない。

 まるで周りとの関係を遮断するかのような感じの高い壁がある……


「ママ。あれからどうしてしまったんでしょう……」

「さぁな。今夜辺りにも聞いてみるよ」


 それともっと言うなら非常に夜の関係を求めるようになってきた。

 これまでも積極的な桃花であったが今は異様と思えるほどに多い。

 まるで嫌な事から逃れるために性行為してるような感じだ……


「空君。悪は好き?」

「お前が悪の道を歩むなら俺も歩むと言ったはずだぞ。俺はこの命が尽きるまでお前の隣に立つ」

「……そうだよね」


 今の桃花にはなんて言葉をかけるべきか。

 悔しいことに今の俺にそれは分からない。

 恥ずかしいことに桃花が何に悩んでるのかすら分からない。

 でも善とか悪に悩んでるのだけは言葉から分かる。


「……まぁ授業を再開するよ。そもそも家畜とは人の食料となる物だ。そして少し話は逸れるが私は知識と食料は等しい関係だと思う」


 そう言えばこれ何の授業なんだ?

 まぁ面白いからなんでもいいか。


「だからマウスなど知識を得るための科学実験に使用される実験動物も一種の家畜だと思うんだ。つまり学校は家畜部屋だとするなら生徒とは先生に実験されてるのかもしれないね」


 もうこの手の話は慣れた。

 真央の言いたいことがな。


「つまり真央。あれだろ」

「……空。どうした?」

「お前はこの学校を実験室と考えてるんだろ。そんで生徒はマウスって言ったところか」

「想像に任せるよ」


 まぁなんでもいいが。

 真央がこの学校を使って行う実験よりも桃花の方が俺にとっては重要だ。


「さて、竹林。この話を聞いてどう思う?」

「そうだな。まず学校が家畜部屋というのがおかしいと思うぞ」

「その根拠は?」

「家畜とは食物ピラミッド的に上位の者が下位の者に許された権利だ。同格同士のものがやるなんて間違いなく異常。別の言い方をすべきだね」


 竹林もだいぶ変わったよな。

 なんていうかあまり感情的にならなくなった。

 それとやたらと難しい言葉を使うように……


「ほう。それじゃあ人の中で更に細かな食物ピラミッドが構成されてるとしたら?」

「ありえないね。同じ生物でそんなのはありえない」

「……これは考え方による差異だな。互いに論破の余地はない。とりあえず保留でいいだろう」

「そりゃどうも」


 真央がよく使う“考え方の差異”。

 それは議論の余地無しという事だ。

 例えば赤と青どちらが好きかという問題。

 それなんて人によって変わるわけであり結論付けるなど不可能。

 つまり受け取り手次第で答えが複数産まれたら真央は“考え方の差異”という答えを出し議論を終わらせるのだ。


「さて、そろそろお昼にしようか。それと今日は外部講師に来てもらってるんだ」

「外部講師?」

「そうだ。流石の私でも音楽の授業は出来ないからね」


 そう言うと真央は指を鳴らした。

 それと共に空間が歪んだ。

 間違いなく転移門だ。


「久しぶりー! 本日は時間が空いたので音楽の特別講師としてやってきましたスー・エリザベスです!」


 おいおい……

 今をときめくスーパーアイドルのスーを学校の授業に呼ぶなんてどんな贅沢だよ……


「今日ここにいる事はみんなには内緒だよ」

「話すような相手はいねぇよ……」

「流石に一般に知れると大騒ぎになるからね」


 そういえば今日のスーはマゼンタの長い髪。

 つまり見た目を変えていないのか。


「少し容姿に関しては真央がうるさいからね」

「当たり前だ。スーはこの姿のままなのが一番可愛いー」

「やだー! 照れるー!」


 なんだこのラブコメ感……

 こいつらこんな距離感だったのかよ……


「とりあえず空! お昼は海鮮丼でお願い!」

「……俺が作る前提なのかよ」

「困った。今この場に魚はいない。四時間目は釣りに行くとしよう」


 ◆ ◆


 そうして何故か北海道南部の海にいる。

 真央が何故かマイ船を持っててそれと転移の応用で海へと……


「さて、とりあえずは素潜り漁と釣りにしよう。考えてみたら釣りじゃウニは取れないイメージだからね」


 実際問題釣りでウニは採れるのか。

 まぁどちらでもいいか。


「ここでウニ取れるのか?」

「とりあえずここはバフンウニの生息域だ。もしも少し場所を間違えてたら転移で移動すればいい」


 本当に転移って便利な能力だな。

 しかし素潜りと釣りか。

 俺は釣りでいいか。


「とりあえずアンケート取るよ。空はどっち?」

「釣りで」

「海」

「釣りでお願いします」

「桃花」

「……釣り」


 俺達三人は全員釣りか。

 ぶっちゃけ素潜りとか自信がない……


「ルプスは?」

「素潜りがいい!」

「竹林は素潜りか」

「っておい! 拙者の意見は!」

「素潜りは釣りよりも良い運動になるから基礎体力を付けるなら素潜りの方がいいだろ」


 なんていうか人数合わせ感が強い。

 すごく無理に入れた気が……


「ていうかウニ採るのは犯罪だと思うんだ。それにもっと言えばやってることって密漁で……」

「バレなきゃ問題ない。私がバレるようなヘマをすると思うかい?」


 ていうか犯罪関係は今更すぎるぞ。

 もう既に転移で何度も不法入国をしてるだろ。

 それに俺と桃花に関しては殺人も犯してるからな。


「もしバレたとしても私が能力でどうにかするから安心して……」

「スーさんの能力ってなんなんですか?」


 そう言えば竹林は知らないのか。

 まぁ言う必要もなかったしね。


「私を少しでも可愛いと思った人を完全な洗脳下に置くのと他社自分問わず容姿を自在な変えるだよ」

「うわ、なにこのチート……」


 それは何度も思った。

 少しスーは反則すぎる。


「あ、ちなみに私は素潜りで」

「了解した。アーサーは?」

「僕は釣りでお願いします。流石に冬の海を潜る気はしませんから」

「そうか。ちなみに私もアーサーと同じ理由で釣りにさせてもらうよ。あと空は海鮮丼に必要な具材を教えてくれ」


 そうだな……

 海鮮丼はかなり自由度の高い料理だからな……


「マグロ。ウニ。鮭。イカ。エビ。タコ。イクラにホタテと言ったところか」

「まいったな……これは川にも行く必要がありそうだ」

「そうだね。とりあえず私達はタコとエビとホタテとウニを摂るね」

「頼んだ」


 あとそうだ。

 大事な事を言い忘れていた。


「スー。エビは人数分頼む」

「りょーかいです」


 スーはウィンクと決めポーズをして返事した。

 流石アイドルだ。

 仕草の一つ一つにも気を使っている。


「ていうか普通にスーパーで買えばよかったんじゃありませんか?」

「馬鹿言うな。魚は鮮度が命だ。釣りたてが一番美味いに決まってる」

「そういうものですかね……」


 そんなことを言いながら海も釣竿を投げた。

 幸いにも真央が事前にセット済みのを船に積んでおいてくれて助かった。


「真央。海にはSSランクの魔物はいないよな?」

「安心しろ。SSランクなんて早々出るもんじゃない。あのヒュドラが異常事態だっただけだ」

「そうか」

「それに次はもう見なかったことにして逃げるぞ。あんな化け物と戦うのは一年に一度くらいで十分さ」

「一年に一度でも多いくらいだけどな!」


 あれはガチで身の危険を覚える。

 もしもそんなのに会ったら……


「そう言えば今思い出したんだが鮭とイクラの時期は秋で今じゃなかったね」

「あ……」

「仕方ないからこればかりは諦めよう。それより今はマグロ釣りだ」

「マグロを釣る気なのか?」

「もちろんだ。ていうか殆ど素潜り組が採るから私達は摂るものはイカとマグロくらいしかないじゃないか」


 まぁそれもそうか。

 そんじゃいっちょやりますか。

 マグロの一本釣り!


「まぁ最悪は私が転移を上手く使って甲板に落とすよ」

「本当に使い勝手良すぎるだろ……」

「それと場所を変えないとな。ここだと素潜りには適してるがマグロの釣りが悪い。それにこんな真冬ではイカを釣るなんて本当に限られたスポットでしか不可だ」

「なるほど」


 まぁ全て真央に任せてしまおう!

 気楽に楽しもう!


「それじゃあ私達の方は適当に摂り終わったら真央に連絡するね」

「頼んだよ」

「任せて!」


 そんなやり取りを終えると同時にスーは竹林とルプスを連れて海に潜っていった。

 それから真央は転移門で適当な場所に船を飛ばす。


「そう言えば海は恋とかしたりしないのかい?」

「……恋バナですか?」

「その認識で構わない。ほら良く学園系の創作物で運動系の部活のエースが女を食い散らすだろ」


 おい、言い方。

 もっとオブラートに包め。


「すみません。あの学校にそこまでカッコイイ人いましたっけ? サッカー部なんて私一人に全員で挑んでも負ける雑魚ですし剣道部や柔道部の人も五秒足らずで勝てますし……」

「うん。これは人に猿が好きにならないのかと聞くのに等しい問題だったね」


 流石に始祖と人を比べるとあれだな。

 そう言えば前に竹林に聞いた話だとサッカー部のエースはかなり女性人気が高くて毎日のように告白されてるらしい。


「そう言えばお兄様って告白何回されたんですか?」

「そこまで多くないぞ。四十八回だ」

「意外ですね。もっと多いかと……」


 たしかに。

 周りからはイケメンと言われることが多いがそれに見合った告白回数では……


「当たり前でしょ。私が空君に告白する前に色々と手回ししたんだから。その四十八回は私の取りこぼしだよ」


 あ、桃花のせいか。

 全て納得だわ。


「ていうか桃花は告白受けたりは?」

「嫌ってほどあるよ。でも途中から呼び出されてもバックれてたら来なくなった」

「あ、はい」


 後に聞いた話だが俺に桃花が告白した時は学校が一大事になっていたそうだ。

 桃花の告白はそれほどまでに異常な事なのだ。


「でも海は気になる人とかはいないのかい?」

「竹林がもう少しカッコよくなったらありですね」

「それは辛烈だ」

「あ、でも一人だけ凄くカッコイイ方が……」


 そんな人いたのか。

 とうとう海にも春が……


「誰だい?」

「名前は分からないんですけどスーのライブの時に少し転んでしまってその時に手を貸してくれた男性です」


 そういえばそんな人いたな。

 あれは二度と会えないだろうなぁ……


「なるほど。後で防犯カメラでライブ中の席を確認して席情報から名前を割り出そう。とりあえずチケットを買う時に個人情報は一通り入力してもらってるから十分作業さ」

「そこまではしなくていいです!」

「どうしてだい?」

「どうしてもです!」


 前言撤回。

 真央なら簡単に見つけられるようです。


「まったく……恥ずかしいじゃありませんか」

「そういうもんかね?」

「そういうものです。それにズルしてるみたいだから嫌です」

「なるほどね」


 意外とちゃんとしてる。

 なんていうか変なところで純粋だ。


「あ、釣れた」

「何が釣れました?」

「……空き缶」


 真央が空き缶を持って悲しそうにそう言った。

 うん。なんとも言えないな。

 そんな時にポトっと上から魚が降ってきた。


「……マダイだね」


 どうやら桃花が釣り上げたらしい。

 しかし桃花の顔に笑顔はなかった。

 いつもならドヤ顔か自慢してくるんだけどな……


「しかし桃花。楽しむ時は楽しむべきだと私は思うよ」

「……私に楽しむ権利なんてないよ」


 楽しむ権利がない?

 一体桃花に何があった?


「真央。桃花がこうなった理由分かりますか?」

「概ねは把握してるよ。でもこれは彼女自身で答えを出す問題で私がどうこうする話じゃない」


 ふざけるなよ……

 こんな桃花見てられるか!


「空。乱暴はよくないよ」


 俺は真央の胸ぐらを掴んでいた。

 やはり口より先に手が出るのを直さないとな。


「全て言え!」

「桃花が黒魔女を殺したのは知ってるかい?」

「あぁ」

「それに彼女は心を痛めてるんだよ」


 間違いなく桃花はそんな人じゃない。

 殺して心を痛めるような優しい人ではない。

 俺と海以外にはどこまでも冷たい女だ。


「それだけじゃないだろ」

「空。今まで桃花はどうして今まで簡単に人を殺せたと思う?」

「桃花が冷酷だからだろ」


 少なくとも俺はそう思っていた。

 まさか違うのか?


「お兄様。それだけなら桃花が黒魔女を殺して心を痛める理由はありません」

「海はどう考える?」

「……今まで信じてたものが崩れ去ったんですかね。今の桃花は私があのクズ父のことを知った私に似てます」


 たしかにあの時の海も似た感じだったな。

 虐待が親父によって仕組まれたって知った時の海もこんな感じだった……


「正解だ。あとは私が補足しよう」

「お願いします」

「桃花が人を殺せたのはそれを正義だと信じていたからだ。だからこそ自分に絡んできた人しか殺すことはしなかった」


 たしかに言われてみれば……

 桃花が誰かを一方的に殺すことはしなかった。

 それは彼女なりの正義だったのだろう。


「まさか黒魔女が正義だったというのか!」

「さぁね。少なくとも悪ではなかった」

「どういうことだ?」

「森の焼き討ちはヒュドラの毒を広めないため。それにもっと言うなら私の調べた結果あの街の人達を殺したのは黒魔女ではなかった。黒魔女は混乱を招かないために情報隠蔽のために死体を焼いただけさ」


 それと共に海が目を見開いた。

 まるで全て気付いたかのように。


「……真央。答え合わせをしてもらっても?」

「もちろん」

「あの街を襲ったのはホムンクルス。これは希望的観測ですが真央が黒魔女討伐前に私達に与えた宿題はホムンクルスについて調べるというもの」

「ふむ。続けたまえ」

「真央は黒魔女討伐の前に全て知っていたのではありませんか? だからヒントとなるように敢えて前日の宿題をホムンクルスにした」


 真央は興味深そうに聞いていた。

 しかし途中で呆れ始めた。


「でもどうしてホムンクルスなんだい?」

「真央を信じています。真央の宿題には必ず意味があります。もしも今回の事件がホムンクルス関連なら全て合点が合うんですよ 」

「かなり無理があるが正解だ。たしかに私は行く前に事件の真相を全て把握していたよ」


 なんて推察能力……

 知ってはいたけど間違いなく異常……


「そしてホムンクルスは恐らくだが全てルーク・ヴァン・タイムだ。君達もルークのホムンクルスは見てるだろ? それにもしもエニグマのトップがたくさんいてそいつらが虐殺を行ったとなれば大問題だ。それを防ぐために黒魔女は死体の識別が出来なくなるまで焼いた」

「なるほどな」


 だとしたら黒魔女は善だな。

 全て俺達の早とちりか……


「……真央。お前なら止められただろ」

「当たり前だ。私を誰だと思っている?」

「だったらどうして止めなかった!」

「桃花のためさ。殺す前にブレーキをかけれないのはまずい。だからどうでもいい黒魔女にはその命を使って桃花の勉強材料になってもらったんだよ」


 こいつ……

 人の命をなんだと思ってる!

 お前のせいで桃花が……


「例えば空と仲良くなった女の人がいたとしよう。それを見た桃花は間違いなく浮気だと勘違いして殺す」

「なにをふざけたことを……」

「そして空はその桃花を責める。その時の桃花のダメージはどうなる。そんな事になったら罪悪感から間違いなく自殺するだろうね」


 だからなんだよ!

 桃花を傷つけていい理由には……


「私だって桃花の自殺は見たくない。だったら殺すということの意味を桃花に教えるしかない。そのために桃花には黒魔女を殺させた」

「他に方法があっただろ!」

「そんものはないと断言するよ。桃花の殺しに対する価値観は間違いなく異常。それこそ力技じゃないと解決出来ない段階にまで行っていた」


 だからといってそこまで傷つく方法をすることはないだろ!

 この外道が……


「お兄様。頭を冷やしてください」

「は?」

「私は真央は正しいと思いますよ。それに他の方法があるっていうならそれを提示すべきです」

「それは……」


 ダメだ。思い浮かばない。

 まったく思い浮かばない。


「ただ黒魔女という一人の人を道具と見たのは私からしたら不快ですけどね」

「だから私は善人でもなんでもない。ただの理不尽を行う魔王だと何度も言ってる。学習や実験のために罪亡き人を殺すことに抵抗は覚えないさ。それが大切な人を成長させられるなら尚更ね」


 俺達は真央を勘違いしていた。

 彼女は自分の私利私欲を最優先する魔王だ。

 ずっと彼女が言うように全てを理不尽に奪う魔王だ。

 そこに一切の慈悲はない……


「でもまぁ取り返しのつかないことになる前に防げてよかったんじゃないんですか」

「こんなに桃花が傷ついてるのにか!」

「はい。今ここで傷つかなければ桃花は今後もっと傷ついてたかもしれませんよ。むしろこの程度の傷で最悪の事態を避けられて良かったではありませんか」


 どこまでもお前らは冷酷なんだ……

 綺麗な言葉で表面だけ正当化しやがって……

 正論が正しいとは限らないんだぞ。


「まぁみなさん落ち着きましょうよ。特に空」

「あ?」


 アーサーが煽るかのように俺達の間に入ってきた。

 この現場にもいなかった部外者が!


「母さんの魔王様ロールプレイングは今に始まったことじゃありません。そんなのは分かっていたはずです」

「……まぁそうですね」

「つまり今回の問題は桃花が傷ついたという事実です。なのに何故みなさんは中心である桃花の言葉を聞かないで話を進めてるのでしょう。空も夫であるならまず桃花の言葉を聞くべきではありませんか?」


 まぁ……そうだな。

 どうやら俺は頭に血が上りすぎてたらしい。


「桃花。お前的にはどうなんだ?」

「私は……」


 桃花が小さな口を開いた。

 やっと桃花が本心で全てを話そうとし始めた。

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