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 お兄様が私の王太子妃への道を阻止してくれると断言?してくれたので、私は今、自分の部屋に戻っています。


「……こんなに簡単でいいの」


 思わず、そう呟いてしまった私。


 あのお兄様が断言してくださったのだから、私がもう王太子殿下の婚約者になることはおろか、候補に挙がることもないだろう。


 それは、私にとって願ったり叶ったりの状況なのに、どうしてこんなにモヤモヤ感が残るのだろう?


 今さらですが、私はかなりネガティブな性格で、前世を思い出してからは余計に。気にしなくてもいいことをいつまでもウジウジ考えてしまって、悪い方悪い方にばかり考えてしまう。

 今は公爵令嬢という立場なので外ではそう見えないように振る舞ってはいるけど、本当の私は生涯ネガティブキャンペーン中のような女なのだ。


 よって今も一安心してよい場面なのに、全く安心できていない……ではなく、安心はしているけど違うことで落ち込んでいるのだ。


 お兄様が阻止すると言ってくれたのは、実は私が王太子妃なるなんて絶対に無理だと思っているから、あんなに自信満々だったのだろうか、とか。


 優しいのではっきり言わなかったものの「お前ごときが王太子妃に選ばれるなんてないない。絶対ない。なのに、なんの心配してんの。ブスの自意識過剰ってウ~ケ~る~」って思われてたらどうしよう、とか。


 考え出したら、切りがない。


 よく考えたら、王太子妃になりたくないなんて、なってほしいって言われたわけでもないのに随分高飛車な発言だったかもしれない。

 本当の理由は悪役令嬢になりたくないからなのだけど、私以外の人は私が悪役令嬢なんて誰も知らないのだ。


 今さらだけど、ほんとに今さらだけど……私、やっちまった。


 お兄様に聞くのが一番良いって思ってたけど、やっぱりそんな事誰にも聞くべきじゃなかったし、言うべきでもなかった。


 私は自分の愚かな行いを後悔し、ふらふらと鏡の前まで行った。


 全身が映る鏡の前に立ち、己の姿を観察する。


 漫画のティフォンヌとは似ても似つかない容姿がそこには映っていた。


 黒い髪と瞳。

 これは前世と一緒なのであまり違和感はない。

 目も二重だけど、太い眉の方が勝っている。鼻もこの世界では低い部類に入り、口も普通。


 平凡……それは、私のために作られた言葉であるかのように、ぴったりと私の容姿に当てはまる。


 いや、平凡ならまだいい。

 公爵令嬢という身分を考えれば、私の容姿は下の下だろう。

 それは、両親や兄弟たちを見ても、友達を見ても、決して卑下しているとは言えない……現実だった。


 私はふぅと小さくため息を吐いた。


 そのため息は何のため息なんだろう。


 絶望、


 惨めさ、


 諦め、


 自分でもよく分からなかった。


 よく分からないけど、これだけは分かった。


 私は絶対に王太子妃に選ばれることはない。


 例え、公爵令嬢という身分でも、私には一つ下のそれはそれは美しい妹がいるのだ。


 全てにおいて私より勝っている、妹が……


 それに、公爵家じゃなくても他の公爵家や侯爵家には王太子殿下とお似合いの可愛らしい令嬢がたくさんいるのだ。


 リリアナちゃんとか、ローザリエちゃんとか、シルビアちゃんとか……とにかく、私が出る幕などないのだ。


 お兄様に王太子殿下の情報を聞き出そうとする暴挙に出たおかげで、私は自分の思い上がった気持ちにようやく気付いた。


 私は期待していたのだ。


 平凡顔の私が、漫画の設定という力を借りて王太子殿下の婚約者という地位を手に入れることが出来るかもしれないと。


 さらに悪役令嬢ではなく、真に王太子殿下から愛される婚約者になるかもしれないと。


 もし仮に悪役令嬢になったとしても、前世で誰からも愛されなかった私がほんの一時でも、皆から羨望の眼差しで見られるかもしれないと。


 私は、そんな身勝手な儚い夢を心のどこかで願っていたのだ……










 恥ずかしい……


 めちゃくちゃ恥ずかしい……


 前世であれだけ自分の至らなさを身をもって実感していたのに、私は現世でも同じことを繰り返すつもりなのか。


 馬鹿なのは勉強しなかったから。

 人が羨ましいのは努力しなかったから。

 大切にしてもらえないのは大切にしないから。

 愛されないのは愛さないから。

 嫌われるのは人の悪口ばかり言うから。


 いつもいつも、無いものねだりの私。


 努力もしないで、自分で自分を甘やかして大事なところでいつも逃げていた。


 漫画の世界とはいえ、せっかく生まれ変わったのに、私はまた同じ過ちを犯し、また同じ人生を繰り返すのか……









 嫌だ!そんなの嫌だ!


 私は悪役令嬢にはならないし、王太子妃にもなりたくない。


 王子様に愛されて……なんて、幻を追いかけたりしない。


 現実を見て、今度こそお花畑の住人にならないように、しっかり地に足を着けた人生を歩むんだ。


 しなくてもいい情報収集を何の戸惑いもなく行動にうつし、あまつさえ、その情報をお兄様から得ようとしたことで、私は目が覚めた。






 私の目標は悪役令嬢回避ではなく、優しく思いやりのある殿方と結婚して幸せな結婚をすることなのだ!


 よし!


 主人公の権限でタイトル変更!


 次回からは「公爵令嬢の婚活事情」になります!

 よろしくね!




かなり自由に書いてます。

お許しください。

それと、ブクマありがとうございます。

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