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裏声金魚に導かれし冒険譚  作者: 南波 由花
ナァリスとティギシー
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二大ギルドの精鋭の力

パーティの戦闘力は一気ひ上がりました。サイヴァッタまでスムーズならいけると思ったら、そうは問屋がおろさないみたいです。

「いやー、ほんと、楽だキンねぇ」


さすがに二大ギルドの精鋭である。


サイヴァッタ城に向かう道中の敵はハレイとヴォールが全て倒してしまう。


はじめはともに戦おうとしていたゲイエスとミルフィだったが、あまりの戦力差に、足手まといになるよりはましか、とゲイエスたちはそれを木陰で体育座りして彼らの戦闘をながめていた。


穏やかな陽気が心地よい。


「あれ、ミルフィ、その弓…」


「ご神弓よ。えへへ、持ってきちゃった…でも必要なかったかもね」


実家の神社の神像が持っていた弓まで持ってきたのに、と少し残念そうに笑った。


「ゲイエス君はその竹刀でよくここまでこれたね」


そこへ戦闘を終えたハレイとヴォールがやってきた。二人ともいい運動になったとばかりの爽やかさである。


「いや、途中全然エンカウントしなくて…」


無傷で来ることができたのは、奇跡と言ってもいいくらいだ。


「なんならこのまま魔王のところまで行けそうだよねー」


本当にそう思うので、ミルフィの言葉にゲイエスはうんうんと頷いた。


「あら、ヴォールさん、ちょっと肘見せてください。怪我していますよ」


「これくらい平気さ。大丈夫だよ」


「いけません」


そう言うと、ミルフィはヴォールのひじに手のひらをかざした。


「癒し給え、清め給え…」


ミルフィの言葉に応じて、ふわりと白檀のような香りが漂う。


光の粒子がヴォールの傷口にまとわりつき、それが消える頃にはすっかり跡形もなく消えていた。


「うちの神社でお祭りするユベーシ様のご利益です。怪我した時は遠慮なく言ってくださいね。無理は駄目ですよ」


「は、はい…」


にっこりいうミルフィに、ヴォールは頰を心なしか赤くしたように見えた。


「ロリコン」


それを目ざとく見つけ、ハレイが嘲るように言った。


「あ?!んだともっかいいってみろコラ」


「ロ・リ・コ・ン」


「てめぇ!」


ヴォールがハレイの胸ぐらを掴んだところで、ゲイエスは止めに入った。


「もー!やめてください、こんな道の真ん中で」


「こんなロリコン野郎より、この俺の方が役に立つと思わないか?」


「何勝手なこと言ってるんだよ!」


ゲイエスの肩を組んでハレイがひそひそというと、激昂したヴォールが叫んだ。地獄耳か。


「あーちょっとうちの勇者に近づかないでもらえますかキン?」


「何だよキンちゃん」


仲良くしているように見えてやきもちを焼いたのか、キンちゃんがハレイとゲイエスの間に割って入ってくる。


ていうか、勇者って呼ぶな。断ろうと思っているのだから。


「やきもちでも焼いたの?可愛いね」


おやおや、と言うハレイの言葉にまじか、と目を疑う。


この金魚台輪が、可愛い、だと?


「イケメン枠はキンちゃんだけで十分キン」


こっちはこっちでイケメンなどとほざいているし。


「そんなに見つめられると穴が開いちゃうキン」


イケメン…?目の前の金魚台輪を凝視するが、どう見ても金魚台輪である。


「もう、何も出ないキンよ」


金魚台輪界での話だろうか。


「仕方ないキン、飴ちゃんあげるキン」


「いらない…」


思わず何度も見つめることになり、なぜか照れたキンちゃんから、陽光にさらされて少しベトベトした飴を渡された。

ハレイとヴォールの喧嘩が書きたくてかいた蛇足とも言えるものです。早く城につかなきゃいけないのに、彼らが揉めるので進まない進まない…次回は城下町には入ります、

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