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裏声金魚に導かれし冒険譚  作者: 南波 由花
王命
27/31

管理事務者事務室にて

管理人に連れて行かれたハレイを追って事務室に来たゲイエスたち。無事誤解は解けるのか

ナガハルの墓の管理人に連れて行かれたハレイを追って、突き当たりにある磨りガラスがはめられた、事務室の木扉を開く。


整然と事務机が並んだ奥に応接セットがみえた。


そこにあるソファに憮然とした表情で座るハレイの姿をみつけ、ゲイエスたちもそこへ向かう。


ハレイの拗ねたその表情も整った顔立ちなので絵になる。ギルドのファンの女性たちが見たらさぞ黄色い声を上げるだろうな、とゲイエスはぼんやりと思った。


高級そうな長机の上には、ハレイの持ち物である剣や財布が無造作に広げられていた。


「ほれ、おめさんがたも持っているもの出しなせ!」


この男は何を言っても話が通じるようには思えなかったので、早く解放されたかったゲイエスたちは素直に長机に持ち物を並べた。


貴重品類はキンちゃんの中だが、彼はいつの間にか長机の上に置物のふりをして止まっており、何も出す気は無さそうだ。


「ほんとにこれだけだかね?まだあるんでないの?」


「俺たちが持っているのはこれで全部です」


首を振るゲイエスは、面倒臭いので大事なものはキンちゃんの中にありますとは言わないでおいた。


だって今キンちゃんは“ただの置物”なのだから。


小太りの男は机の上に乗せられた荷物の中からキンちゃんを持ちあげ、台座の部分をマジマジと眺めてからゲイエスたちに視線を移した。


「おめさんがた、あそこで何してらーて?あそこは遊び場じゃねってわかってるこて?」


管理人はキンちゃんを持ったまま尋ねてくる。


視線がゲイエスたちに向けられている時、キンちゃんはちょっとした抵抗か威嚇のつもりなのか、丸い目を半開きに来てみたりと変顔を繰り出している。


しかし管理人に見えないように変顔をするのはあまり効き目がないと思うのだが、あれが彼なりの威嚇行動なのかもしれない。


「だから……」


少し苛立ったようにまた、同じセリフを言おうとタツミが口を開いた時だった。


「お城のお役目、ですよね」


だが続きを言ったのはタツミの声ではなく、聞いたこともない渋い男性の声だったので、思わず全員がタツミを見た。


「タツミちゃん、声……オッサンみたいになっちゃって……どうしたの?」


ハレイの問いに、タツミは呆然と口を押さえ言ったのは自分ではない、と首を振った。

渋い声の正体は一体…?!

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