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裏声金魚に導かれし冒険譚  作者: 南波 由花
王命
22/31

お化けだぞーーーー!!

ようやくナガハルの墓の奥にたどり着きます。ですがそう簡単には武器は手に入らない、というのがセオリーですよね。

そこからはずっと、ユベーシにどやされつつ、ゲイエスが前線で魔物と対峙することになった。


ハレイやヴォールは思ったように活躍が出来ずに不満そうにしていたが、ゲイエスは戦闘を繰り返すうちに剣も手に馴染み始め、魔物の弱点もそこそこ突けるようになっていた。


思った以上に広く、長い道のりを進んでいくとようやくナガハルの家紋である、あやめが描かれた石扉の前に出た。


「ここが、ナガハルの遺骨などが安置されている場所です」


「など?」


宝刀ほうとう亜弥瑪あやめもこちらに」


ハレイの疑問に、そう言ってタツミは扉の正面に掛けられていた額縁の下に隠されていたボタンを押した。


すると、岩の扉がこすれる音を立てながらゆっくりと開いていく。


中はやはり広く、一番奥にはナガハルの鬼のような肖像画と。骨壷だろうか、札の貼られた茶色い小さな壺が置いてあり、その傍らには金の箔押しがされた紫色の鞘の刀が立てかけられている。


おそらく、あれが宝刀亜弥瑪だろう。


「ナガハルは剣術に長けていたようで、暇さえあれば弟と手合わせをしていたとか」


部屋の四方には剣道の道具一式と竹刀まである。


「道具は墓の管理人が手入れをしています。刀は千年前のものですが、それ以外は古くなったものは供養のために新調しているので、使えるはずです」


「なんでそんなことをする必要があるんだ?」


「おそらく、ナガハルは荒神として恐れられ、その怒りを慰めるためにそのようにしておるのじゃろう。故人の好きなものを供える、これが一番の供養じゃからな」


ユベーシの言葉に飾られていた肖像画を振り返り、ヴォールはなるほどと手を打った。


「うーん、うるさいなぁ…」


突然声がして、辺りを見回す。


男の声だったため、ゲイエスら男性陣はたがいに顔をみあわせて違うとそれぞれに首を振る。


「私の眠りを妨げるのは、だーれーだー…」


「っひぃ…!!」


再び聞こえてきた低い声に、思わず耳を塞ぎ、背を丸める。


「む…?何者じゃ?面妖な…」


「ひゅーどろどろどろ……」


訝しがるユベーシに、低い声で効果音をいう声とともに重たい音がしてナガハルの骨壷が開いた。


その隙間からは半透明の白いものがひらひらと覗いている。


それを見た途端、ユベーシを除いたゲイエスたちの顔からは血の気が引いた。


そしてジリジリと入り口までゆっくりとあとじさったが、突然大きな音を立てて、開けっ放しにしていた石扉が閉じてしまった。


これがポルターガイストというやつだろうか。


「扉は開けっぱなしにしたらダメでしょ。開けたら閉める、これ、ナガハルが教えたげられる大切なこと」


骨壷の隙間から霧のようなものが出始め、人の形を作っていく。


タツミは蒼白な顔をしながらも槍を構え、ヴォールはハレイに飛び乗り、ゲイエスは腰を抜かして尻餅をついた。


「お…おば…おばおばおば……」


「お化けだぞーーーー!!」


「ギャーーーーーッ!!!」


「これ、そなたら待ちやれ!」


やがて姿を現したのは、壁にかけられているナガハルの肖像画と同じ姿をした男だった。


それを見て、蜘蛛の子を散らすように方々に散らばる。


「あ、あわあわわわ…」


「待ちなさい。そこの少年」


腰を抜かしたゲイエスは、這ったまま逃げようとしたが、首根っこをつかまれ、ひやりとしたその感触にぞわりと鳥肌がたつ。


「は、はなせ…つ!」


首をブンブン振り、逃れようと必死にもがくが、その冷たい手が離れる気配は全くない。


「ゲイエス殿!」


タツミの声にゲイエスは覚悟を決めた。手を合わせ、心からナガハルの成仏を願う。

だが首に触れる冷たい感触は相変わらずだ。


きっと後で見たら、首のところに幽霊がつかんだ手型のアザができていたりするんだろうな、と、ゲイエスはどこか冷静な気持ちで思っていた。


「落ち着きなさい、誰も取り憑きはしないから」


「……へ…?」


「この刀が必要なのだろう?」


ナガハルが刀を示して言うが、ゲイエスな涙目で言葉に頷くことしかできない。


暑いわけでも、ジメジメとしているわけでも無いのに、叫びすぎてもう喉がカラカラで声も出ないのだ。


「では、私と勝負して勝ったら貸してあげよう」


「へ?」


唐突な提案に目を丸くする。しかも亜弥瑪をくれるのではなく、あくまでもレンタルらしい。


「当たり前じゃない。私の大事な刀なんだから」


思考を読んだのか、ちゃんと返してよね、と腰に手を当て、憤ったふうに言う。


目の前に立つナガハルは、先ほど飛び出てきた様子とは打って変わり、肖像画とは似ても似つかず、ユベーシが言っていた荒神というイメージからは想像もつかないような優男だ。


「…勝負って?」


ようやく、恐怖が薄れてきたゲイエスは、ナガハルにたずねると、半透明のナガハルはにっこりと微笑んだ。


「もちろん、これだよ」


ナガハルが示したのは石壁に立てかけてある竹刀。


つまり、剣道で勝負しよう、ということのようだ。


次話!ゲイエス対ナガハルの剣がぶつかりあう!

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