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裏声金魚に導かれし冒険譚  作者: 南波 由花
夢だか幻だかわからねども…
2/31

伝承に導かれし者

いま書いているのが終わったら書こうと思っていましたが、どうしても書きたくてアップしてしまいました。


地元である新潟県の某市をモデルに書いていこうと思います。コメディ強め、シリアス少なめでいきます。


世界が危機に瀕すとき



赤き神の使いが現れ、



選ばれし者を導き



虹の橋をかけるであろう



挿絵(By みてみん)


ーーー



「大変だキン、大変だキン!」


男の裏声のような声がして、ゲイエスは辺りを見回した。


そこには真っ暗な周囲に、明るく輝く金魚が浮いていた。


いや、金魚ではない。その下には青い箱のような台座と車輪が付いている。


子どもたちが祭りで引く和紙で作られた金魚台輪というものだ。


鮮やかな赤に白で模様がつけられている、ゲイエスには子どもの頃から見慣れたものだ。


祭りで練り歩くのは大きなものだが、土産物屋にあるような手のひらサイズのものが目の前に浮いていた。


「金魚台輪?」


思わず見たまんまを口に出す。何故こんなところにあるのだ。そして、何故喋っているのだ。


(あぁ、夢だからか…)


しかしすぐに納得した。夢ならば金魚台輪が喋ったり飛んだりしていても何ら不思議ではない。


「サイヴァッタがこのままでは大変だキン!」


しかし甲高い耳障りな声で叫ぶ金魚台輪の口から、自分の暮らす国の名前が出てきたのには驚いた。


(サイヴァッタが危険…?)


そういえば魔王エリスとか何とかいうのが、西の都市サヴァヤスに現れたとニュースでも見た覚えがある。


「魔王エリスからサイヴァッタを救えるのは君だキン!君しかいないキン!」


ヒレでビシッとゲイエスを指し、至近距離に近づいて言った。


「だぁ〜いじょうぶキン。不安に思うことはないキン。このキンちゃんがそばにいるキン!」


(うわ、いらねぇ…)


自信満々、胸を張るように言った金魚台輪に心からそう思った。


男の裏声で話す金魚台輪にまとわりつかれるなんてどんな罰ゲームだ。


「なんか文句あるキン?」


ゲイエスの顔から何かを読み取ったのか、地声と思われる男性の野太い声で尋ねられ、思わず首を振った。


「素直でいい子だキン〜」


再び金魚台輪から上機嫌な男の裏声が聞こえたと思ったら、徐々に意識が落ちていった。


「まぶし…」


窓から差し込む朝日が顔を照らしてそのまぶしさに目を開いた。


外からはスズメのさえずりが聞こえる。ぼんやりと辺りを見まわすと、そこはいつもの自分の家の自分の部屋だった。


「ゆ…め……、か…」


よかった、とホッと息を吐く。


ふと顔を上げると、壁に貼ってある大好きなアイドルのポスターが目に入った。


「おはよ、セシリアちゃん」


「…うっわぁキン」


いつもの日課であるアイドルに微笑み、声をかけ、ベッドから降りる。変な声がしたが気のせいだろう。


「きょうも素敵な笑顔だね。朝から君の顔が見られるなんて、俺は幸せ者だよ」


ゲイエスはポスターのアイドルに壁ドンをしながらそう言っておはようのキスをした。


「お、オェ………みてはいけないものを見てしまったキン…」


また変な男の裏声が聞こえたが、気のせいだろう。


高校の制服に着替え、部屋を出てキッチンへ行く。


パンをトースターにセットし、その間に目覚めのコーヒーを飲む。


親は既に出勤した後だ。


パンが焼け、イチゴジャムを満遍なく塗る。

それをかじりながら、父親が読んだ新聞を自分も広げた。といっても、見るのは番組表とその裏にある四コマ漫画だけだが。


しかし一面の見出しに気になる文を見つけた。


“魔王エリスの群勢、サヴァヤスから着々と侵攻中 サイヴァッタ軍応戦中”


昨夜の夢を思い出し、まさかな、と呟いた。コーヒーを一口飲んで気持ちを落ち着かせる。


“魔王エリスからサイヴァッタを救えるのは君しかいないキン!”


夢の中で金魚台輪に言われた言葉が頭の中をぐるぐる回る。


「魔王エリスから、サイヴァッタを救う…?この俺が?」


まさか、と笑った。


ただの高校生である自分が世界を救うなんてことがあるわけがない。


それに、いまもサイヴァッタ軍が魔王エリスと戦っていると新聞に書いてある。


新聞を閉じ、残りのトーストを口に放り込むと、湧き上がる不安をコーヒーでトーストと一緒に流し込んだ。


食器を洗って片付けてから、洗面台で歯を磨き、顔を洗った。


「はい、どうぞだキン」

「ありがとう…」


渡されたタオルで顔を拭いて、ふと疑問に思った。


自分にいまタオルを渡したのは一体誰だ?この家には自分しかいないはず。


恐る恐る顔を上げて、鏡を見ると、そこにはーーーーー。


「おはようキン。やっと気づいたキン」


鏡にうつった自分の隣には、夢で見たあの金魚台輪がいて、鏡越しに挨拶をしてきた。


「お、お前は何なんだ?!」


「おいらは金魚台輪の妖精のキンちゃんだキン。気軽にキンちゃんと呼んでくれキン」


「キンちゃん…じゃなくて、なんでここにいるんだよ!」


「夢で話したキン。もう忘れたキンか?」


「夢…?」


「そばにいるって言ったキンよ〜」


キャッと照れたように言うキンちゃんの言葉に、ゲイエスは慌ててカバンを担ぐと、髪も整えずに家を飛び出した、


「どこに行くキン?!待つキン!」


ちらりと様子を伺うと、その後ろからは小さな金魚台輪が飛びながら追いかけてきている。


どういう仕組みで浮いているんだか。

後で改造してみたいものだ。


「今不穏なものを感じたキン…!」


ゾッとしたようにいうキンちゃんの声がして、絶対改造しようとゲイエスは決意した。


金魚台輪、くらいしか地元を連想させる文は出てきていませんが、ご存知の方いたら嬉しいなぁ…^_^

方言もどんどん使えたらいいなと思います。

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