表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏声金魚に導かれし冒険譚  作者: 南波 由花
王命
18/31

あやめの花

数日後、ゲイエスたちはサイヴァッタの東にある、ゴジューコーノへきていた。


ここにはナガハルの菩提があり、年中あやめが咲き乱れる潟がある。


紫、白、黄色といった色とりどりのあやめが咲く中、足場の上を進み、あやめの花畑の中央にある一基の墓の前にゲイエスたちは居た。


それは小さく、元々の石の色がわからないくらいに苔むした小さな墓だ。その中央にはアヤメの家紋が描かれているのがかろうじてわかる。


「ここがナガハルの墓?」


ゲイエスの問いにキンちゃんが頷いた。


「ナガハルはアヤメの花が大好きだったキン。討たれてからは、ナガハルの魂を鎮めるため、お墓の周りに植えられたのだキンが、不思議なことに、ナガハルが弔われたこの地ではアヤメのの花が季節を問わず咲くようになったキン」


「ふーん…」


まるで怪談だとしか思えないが、美しいアヤメの花を見ていると不思議と恐ろしさは感じない。


「アヤメの紋ってサイヴァッタの紋章にもあるよね?」


ミルフィはタツミの方を見ながらキンちゃんに聞いた。

タツミの鎧の胸には菱形の中にアヤメといったサイヴァッタの紋が刻まれている。


「サイヴァッタの紋にアヤメを入れたことで、ナガハルの子孫が恩義と使命を忘れないようにしたんだキン」


ナガハルの伝承は、国を出る前にミルフィたちに説明しておいた。


忌み名と言われる名だが、時が経つにつれ忘れされた存在のことはやはり誰も知らず、その名を恐れることもなく伝承の内容とゲイエスの身の上を理解してくれたようだった。


「で、俺はここで何をすれば良いの?」


「お母さんが言っていた伝承の続きを覚えているキンか?」


「ナガハルの…えーと…」


突然の問いに記憶を探る。暗記系と歴史系は苦手なゲイエスは伝承を知らず知らずのうちに聞こえないふりをしていたようで、記憶の欠片も思い出すことができずにいた。


「…ナガハルの願い聞き届け、アヤメの花開く時、真白き光を持ちて闇を打ち砕かん…だキン」


確かにそんな内容だった、と手を打つと、少し前の話も覚えていないのか、とキンちゃんに白い目で見られた。


「アヤメの花はナガハルの刀の暗喩だキン。ゲイエスにはその刀を手に入れてもらうキン」


そう言いながら、キンちゃんはお墓に刻まれているアヤメの紋に胸びれで触れた。


何かのスイッチが押される音がしだと思ったら、地鳴りがしてナガハルの墓の周りの地面が動き始めた。


「何?!なんなの?!」

ミルフィはどさくさに紛れてゲイエスに抱きつく。魔物でもでるのか、とハレイとヴォールはそれぞれ構え、タツミは槍の柄に手をかけた。


やがて揺れが収まると、アヤメの咲き乱れる中に地下へと続く階段があらわれていた。


「さぁ、地下墓地の奥に進んでナガハルの刀、 亜弥瑪あやめを手に入れるキン」


地下墓地に行く、まるで肝試しに行く気分になり、ゲイエスはその不気味さにぶるりと体を震わせた。

なかなか進んでくれないので、次の目的地に飛ばしてしまいました。

少しキンちゃんがいつもと違って元気がないです。不機嫌ささえ感じとれます。

その原因は後ほど明かされます。

次回は地下墓地探検です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ