密命
四者と一台面談をするゲイエスたちを密かに見つめる者がいます。
「あの少年ですか?」
薄暗い空間の中、一人の女騎士が傍らに立つ王に尋ねた。
彼女の言葉に王は苦虫を噛み潰したような顔をして無言で頷く。
窓の向こうで王の視線を受けている、父母に挟まれて座る少年は、彼女の目から見れば気の弱そうな普通の高校生である。
彼は大口を開けた間抜けな面をして母親と見られる女性を凝視している。
「……王命だ。あの少年とともに魔王討伐へ行け。ただし、あの少年が少しでも国を危機に陥らせるそぶりを見せたら、消せ」
間を置かず告げられたため、感情の読めないその言葉に「なぜ」といいかけ、女騎士は口をつぐんだ。
王命は絶対である。質問など許されない。
「……確かに、拝命いたします」
女騎士に許された答えはこれしかない。
恭しくその場に跪き、女騎士は王を見送った。
「ゲイエス・タサイバか…」
同行という建前の裏に、監視と国を裏切る動きがあれば命を奪えという密命の対象となる少年の名をつぶやき、窓の向こうを一瞥すると、 マントを翻して薄暗い部屋を後にした。
面談の部屋にあった大きな鏡はマジックミラーになっていました。王命を受けた騎士は次回登場します。




