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裏声金魚に導かれし冒険譚  作者: 南波 由花
サイヴァッタ城でまさかの四者面談
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伝承の続き

四者面談長いです。伝承には続きがあるようです。マツヤの言う伝承の続きとは?

「世界が危機に瀕す時、赤き神の使い現れ、選ばれし者を導き虹をかけるであろう。これが広く伝わる伝承です。ですが、この伝承には続きがあります」


「ナガハルの願い聞き届け、アヤメの花開く時、真白き光を持ちて闇を打ち砕かん」


観念したかのように母親がマツヤの言葉に続けて呟いた。


「なぜ王宮神官様がそれを…というか、あたくしがナガハルの子孫だとなぜご存知なのです…?」


一人称を普段使わないような丁寧なものに言い換え、母親はマツヤをじっと探るように見つめた。


マツヤはその視線を避けようともせず、笑んだ。が、その目だけは笑っておらず母親とにらみ合うようにも見え、見えない火花を感じたゲイエスは密かに緊張した。


「私はずっと、国の危機に関わることとしてこの伝承の研究をしてきました。そしてナガハルのことも古い文献にみつけ、子孫を調べ上げたのです」


さっきから二人はナガハルという言葉をみんなが知っている前提で会話をしているが、ゲイエスには聞き覚えのない名前で、父親共々置き去りにされている。


「ナガハルって何?」


「かつてサイヴァッタの地を治めていた主の名です。忌み名として口に出すのを恐れられ、今では知る人などほとんどいないでしょう」


疑問を口に出すと、母親に向けている厳しい視線が嘘のように、穏やかな声でマツヤが答えた。


「何でですか?」


「その昔、サイヴァッタ王の祖先と争い、負けたからだキン」


「その時、ナガハルはサイヴァッタから一族の命を救う代わりに、国の危機には贄になれ、そう命じられたのよ。だから…」


「にえ?」


「犠牲になれってことよ!」


「え、俺、死ぬの?!」


難しい言葉で伝わらず、もどかしい思いで母親が悲鳴のように叫んだ言葉に驚いて立ち上がる。


そんな話聞いていないし、もともと断ろうと思っていたことだ。こうなったら断固断るしかない。


来週にはセシリアちゃんの写真集も出るのだ。


しかも、初めての水着グラビアが載っているという。それを見ずに死ぬわけにはいかない。


まあ、それを見たら死んでもいいというわけでもないが。


「犠牲になるっていうのは言葉のあやだキン。正しくは先頭に立ってサイヴァッタのために尽力せよ、という言葉だキン。長い年月で変わって伝わったんだキンよ」


ゲイエスを心配してか、胸ビレで肩をたたいて落ち着くように促してくる。


「それでも危険な目に会うことには変わりありませんわ…そうだ、いっその事あたくしが…あたくしもナガハルの子孫ですし…!」


「申し訳ないキンが、奥さんじゃ役不足だキン」


キンちゃんの言葉に母親は顔を赤くした。それが役不足だと言われたことの恥のためか、怒りのためかはわからないが。


キンちゃんによって提案を即座に却下された母親は納得いかないように乱暴に腰を下ろす。


「あなたはなぜそこまでご存知なのです?伝承の“赤き神の使い”だからですか?」


今まで伝わってきている歴史の認識にかかわるかもしれない。


マツヤは興味津々とキンちゃんに問うが、キンちゃんは首を振るように左右に揺れた。


「キンちゃんは金魚神さまの使いだキン。神の世界は人の世の時の流れとは無関係。神は昨日のことのように何千年も前の人の世のことを知ることができるキン。」


「なんと!やはりその話、よろしければ詳しくお聞かせきますか?」


「ダメだキン。それは禁忌だキン。人の世はすでに動いているキン。あーっ…あっ、あっ電波がおかしいキン…おかし…おかしい…き…ん…」


突然ゆっくりと喋るようになったと思ったら、ぽとりと机の上に落ちてただのお土産物のマスコットのように動かなくなってしまった。


すみません。四者面談ながくて。でも大事な部分なのでもう少し続きます^_^;


マツヤが母親に厳しい視線を向けたのは、ナガハルの子孫だからです。


この後に及んで、という気持ちかもしれません。

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