扉をあけたら母さんがいました。
扉の奥から聞こえた母親の声に、何が起きているのか内心ビクビクのゲイエスです。
母親がなぜ城に?
ゲイエスの頭の中は疑問符でいっぱいだ。だって母親は今頃事務員のパートのはず。
「これ、食堂はどこぞ?わらわはそこへ行きたいのじゃ!」
「あとで、あとでご案内いたしますので!!」
噛み付くように言うユベーシに、事務服のダーミアは汗を拭きつつなだめ、扉を乱暴にノックし、応答を待たずに開けた。
よほどの緊急事態なのだろう。
まぁ、母親の怒鳴り声を聞けばそれも想像がつくが。
「あの子はまだ高二なんですよ!」
「母さん!」
やはりそこにいた、会社の制服に身を包んだ母親に怒鳴るように呼びかけてその声を遮った。
「ゲイエスー!よかった、無事で!大丈夫?怪我、していない?」
大きなテーブルに乗り、対面に座っていた男性の胸ぐらを掴んでいたゲイエスの母親が飛んできて、ゲイエスのあちこちを確認する。
「それで、制服は?破れてない?!」
一番心配するところはそこか。
「だって制服高いんだもの〜」
じっとりと見ると母親はきゃっと笑った。何歳だ、と言いたくなるのを堪え、ため息をついた。
「仕事は?どうしたんだよ」
「そう、仕事ね。お昼だから抜けてきたのよ。石戸神社の神官様から連絡が来てね。サイヴッタ城に行くから学校休ませたって。詳しく聞いたら魔王討伐の王命を受けに行くとか言うじゃない?あたしもう、寝耳に水で…!」
それを止めようと、中抜けをして城に来たのだという。
早口でまくしたてる母親はよっぽど頭にきているようだ。
「なかなか色々と激しいお母様だな…」
「お、おぉ…」
ハレイは仲が悪いのも忘れ、ヴォールに耳打ちする。ヴォールもまた、呆然と返事を返した。
「あら、ミルフィちゃんと…どなた?」
「あー…」
説明するのが面倒だとキンちゃんを振り返る。
「魔王討伐の仲間だキン」
「魔王討伐っ!」
端的に説明したキンちゃんの言葉を聞いた途端、それまでお客さん用の笑顔を浮かべていた母親は目を吊り上げた。
「そう、魔王討伐だなんて、母さん許しませんからね!」
その言葉に、魔王討伐を断ろうと思っていたゲイエスは強力な援軍を得た気持ちになった。
四者面談が始まります。長いので四分割しました。




