《銀色。桜と空と、もう一つ。》
キーン、コーン、カーン、コーン。
1時限目終了のチャイムが、響く。
すぐさま、赤坂明奈が近づく。
明奈「さぁ、ナギー、早速行っちゃいますかぁ、ナギーお勧め、パワースポットに。」
九十九『誰が、パワースポットと言った、誰が。』
神野涼子と、皆木香は、教室の出入口で、手招きしている。
九十九「ふぅ、では、行っちゃいますか。」
明奈「GOGO!」
??「この、寒い中、何処に行くんだい、五月病の、渚君。
さっきの、四月って返しも、教師向かって、失礼だと思うよ。どうだい、渚君。」
九十九が、立ち上がろうとした、
その時、背後から、話しかける、男子生徒。
影峰光、
しかし、休み時間の喧騒に、影峰の、やたらと小さな声は掻き消され、九十九は、気付かない。
そのまま、歩きだす。
影峰「あっ、待って、チョット」
右手を、九十九の肩に伸ばすも、空振り。
しかし、明奈が、気付いた。
明奈「ナギー、影影が、呼んでるよ。」
九十九『影影?誰だ?』
九十九が、振り返ると、影峰は、慌てて手を引く。
九十九「あ、影峰、何?」
影峰『何故、呼びつけなんだ、俺は、君付けしてやったのに。』
*キーン:九十九が、片目を閉じる。
『いや、君付け、頼んでないし。してやったと、思われてもね』
影峰は、呼びつけに、威圧されたのか、更に、小声になる。
影峰「あっ、嫌、何処に行くのかな、とおもって。」
影峰『チッ、何度も言わせるな。』
片目状態の九十九
『先のは、聞こえなかったし、そもそも、こちらの確認もなく、勝手に、喋られても、意思を共有できないよ。』
九十九「あぁ、チョット購買部にね。」
影峰「こんな寒いのに、物好きだね。」
九十九は、閉じた片目を、戻すと、
「人またせてるから、またな、神野さん、行きますかね。」
明奈「ぶー、早くしないと、休み時間が、終わちゃうよ〜。」
九十九「ハイハイ、でも、この時間が、正に大事だったりするのだよ。」
明奈「ナギー、訳分からん。やっぱりヤバイ人だぁー」
と、九十九をヤバイ扱いして、涼子と皆木に、向かって走っていく、
そして、それを追う、渚九十九。
不意に、遠くに視線を移す。
九十九『貴方になら、先の、時間の話し、わかりますよね。』
『この後、何故、影峰とのやりとりが必要だつたか。神の采配とも似た、時間配分を、目の当たりにします。』
『感想は、その時、お聞かせ下さい。』
『しかし、影峰光、実に残念なベクトルだ。まぁ、僕の価値観ですけどね。』
『しかし、彼女達、速すぎですね。そんなに、慌てると、時間がズレてしまう。
まあ、これも一興ですか。貴方は、どう見ますか?では、乞うご期待』
皆木「渚君、1分23秒、遅いです、ハイ」
九十九「ハァハァ、速すぎでしょ」
涼子「九十九君、運動不足ですかぁ〜。
運動部に、入る事を勧めます。」
九十九「帰宅部が、最強です。」
明奈「ナギー、どの変?」
九十九「中学時代は、いったて平均です。」
と、答えた瞬間、九十九はおもいっきり、腕を叩かれる。
明奈「ナギー、ウケる。空の場所だよ〜、ナギーの、運動不足なんて、興味ないし。」
九十九『今の流れは、運動の話しだろ。』
涼子「で、九十九君、どの変?」
皆木『⁉︎』
皆木が、何かに反応する。
九十九「場所は」
*キーン:九十九が、片目状態に、世界が反転する。
【反転世界】
九十九「場所は、ココ、上を見れば分かるよ。」
4人が、揃って、空を仰ぐ。
明奈「ナギー、なんか、普通。」
涼子「んー、確かに、桜も、空も素敵だけど、普通かなぁ」
皆木「渚君、安い感動で、生きてるのね。」
九十九『ほら、速すぎたぁ、世の中、パーフェクト、オブ、タイミング。」
『焦ったり、無理に、意思を集中すると、タイミングを逃す。
即ち、ターニングポイントの、選択に影響がでるんだよね。』
『貴方にも、経験ありますね、忙しい時にかぎって、信号まち。駐車場が、空いていない等。』
『いつだって、自分に、最高のタイミング。パーフェクト、オブ、タイミング。』
『超能力者なら、普通ですね。貴方も、超能力者なのだから、使うといいですよ。では』
九十九が、片目を開くと、通常世界に戻る。
九十九「場所は、」
九十九『後、30秒くらいか。』
涼子「九十九君、どうしたの?」
九十九を、覗きこむ。
九十九「あっ、場所はね、ココなんだけど、タイミングがね。」
涼子「タイミング?」
明奈「って事は、この上かぁ、」
と、明奈が、空を仰ぐ。
明奈「ナギー、なんか、普通。」
そうつぶやく、明奈につられ、涼子と皆木も、空を仰いだ。
九十九『パーフェクト、オブ、タイミング』
その時、開いていた、校舎の窓が一斉に閉まった。
窓は、銀色に輝き、桜と、空を映す。
雪月花、いや、銀空桜と名付けたい程の、美しい世界が、広がった。
皆木「渚君、満点です。」
涼子「わぁー素敵。」
明奈「ココアじゃ、安すぎだよ、これ」
九十九「じゃぁ、コーヒーでも、おごってもらおうかな。」
涼子「でも、なんで、急に窓が閉まったのかなぁ?」
と、その時。
「キーン、コーン、カーン、コーン」
2時限目3分前の、予鈴が響く。
明奈「うわ、授業始まちゃうよ。」
皆木「渚君、知っていたわね。授業が始まる前に、窓がしまる。」
涼子「えっ、そう言えば、さっき、タイミングとか、言ってたよね。」
九十九「ふっふっふ」
『本当は、偶然。考えない、感じるままに、パーフェクトオブタイミング』
皆木「涼子、あなたにも、疑問があるの。」
涼子「えっ?」
皆木「渚君に、場所の質問をしていたわね。ベランダから、渚君を呼び止めた、涼子が、場所を確認するのは、不思議だわ。」
涼子「えっ、えっと、それは、」
明奈「そう言えば、ナギーが答える時、妙に慌ててたよね。」
涼子「あれは、だから、」
九十九
『おっ、来るぞ、パーフェクト、オブ、タイミング2』
「キーン、コーン、カーン、コーン」
2時限目開始の、チャイムが響いた
九十九「さっ、ダッシュで、戻るぞ。職員室から、教室までの、距離を考えれば、間に合うハズだ。」
明奈「走るのが、遅い、ナギーの計算なら大丈夫だね。」
九十九『君達が、速すぎです。』
皆木「次は、世界史、先生が、予鈴のタイミングで、職員室を出ている確率、75%」
九十九「あっ、」
明奈「なんか、嫌な感じの、"あっ"なんですけどぉ。」
涼子「まさか、そこは、計算外?」
九十九「うん。」
4人とも、慌てて教室へ、ダッシュ。
九十九『全てが、パーフェクトオブタイミングとは、いかないようですね。
下手な計算も、パーフェクト、オブ、タイミングがズレれるようですね。』
『貴方も、経験ありまかね?やはり、感じたままに、任せるが良さそうです。それでは、本気で走ります。』
涼子が、ペースをおとし、九十九に並ぶ。
涼子「九十九君、なんか色々、ありがとう。今度、コーヒー、おごるね。」
そう言うと、涼子は、ペースをあげて階段を、駆け上がっていった。
九十九『速!あっ、桜色』
そして、ゴールの教室
世界史の教師「渚九十九、遅刻。追加課題を覚悟しとけ。」
教室から、笑い声がたつ。
影峰「いい気味だ。」
九十九『まぁ、三人は、間に合ったようだから、よしとしますか。
超能力者にも、この程度の事は、ありますよね。貴方にも、ご理解頂けたと、判断します。
それとも、涼子さんとの、距離を縮める為の、タイミングだったのかもしれません。
それに、桜色の、、おっと、失礼、では、また』